年金時代

日本年金機構の水島理事長が年頭訓示―年金給付業務の抜本改革に取り組む

日本年金機構の水島藤一郎理事長は1月4日、新年の仕事始めにあたり、同機構の1万1千人の職員に向けて年頭訓示を行った。

集中取組期間3年目の節目

日本年金機構は、平成28年に再生プロジェクトを立ち上げ、組織改革に取り組んでいる。平成30年度は、3年間の集中取組期間の最終年に当たる節目の年だ。

水島理事長は冒頭、昨年の基幹業務の実績を報告。国民年金保険料の現年度納付率は昨年末で65%を超えたほか、厚生年金保険の新規適用事務所は10万件を大きく上回り、中期計画の目標を前倒しで達成した。水島理事長は「評価に値する結果を達成した」と述べ、職員の努力に感謝の意を表した。

再生プロジェクトに基づく改革の進捗状況では、人事労務関係業務の統合(平成28年4月)、経理関係業務の統合(平成28年10月)に続き、昨年3月には現場管理・支援関係業務の高井戸本部への統合を完了。「かつて批判された、いわゆる三層構造は過去のものになった」(水島理事長)。

業務面では、取扱いの不統一の解決に向けた取組みを進めた。また、障害年金センターの全国集約、機能集約拠点の拡大等の改革を進めたが、「職員が改革の果実を実感するにはまだ道半ば」との認識を示した。

人事面では、役員まで展望したキャリアパス、役職定年制度の導入と若年管理職の積極的採用、あるいは65歳までカバーした処遇体系の検討等により、「変化の実感が共有されつつある」と述べた。

その一方で、昨年9月に公表した振替加算の支給漏れ事案については、「痛恨の極みであり、年金給付業務の徹底的な見直しの必要性を改めて突き付けられた。年金業務の抜本的改革に取り組んでいかなければならない」と強調した。

5点の重点取組課題を説明

年金機構の平成30年度の組織目標は、「機能を完成させる―制度を実務へ―」。この組織目標を実現するための重点取組課題として5点を説明した。

①年金給付業務の抜本改革(正確な事務処理の徹底)

正確な年金給付業務は、信頼の原点であり、次の4点を進める。

・給付審査業務の事務センターから年金事務所への移管を30年度中に完了

・給付に対する責任体制を明確にするために、中央年金センターを中心した責任体制の再構築を図る

・給付業務研修強化室を設置し、研修を強化する

・給付業務の正確性に関するチェック体制を確立する

②お客様チャネルの再構築(お客様サービスの拡充)

予約率は50%に達し、一定の成果を上げている。県単位で行われてきた年金事務所の設置について、人口動態の変化に応じて全国ベースで見直しを行う。

③事務センターのビジネスモデルの確立(基幹業務への注力)

システム刷新の効果を現場に及ぼすことに全力をあげる。正規職員と非正規職員の役割を見直し、1000人規模の正規職員を現場にシフトする。正規職員が無期職員、非正規職員、派遣等の人材を管理して効率的な事務処理を進めるビジネスモデルを確立する。

④公正な公権力行使業務の再構築(信頼される強い組織へ)

公権力を行使して公正で公平な年金制度を運営することが当機構の使命。徴収専門の本部組織を設置し、徴収事務を集約する。

⑤更なる現場重視の人事改革(組織一体化の促進)

これまで進めてきた評価、資格処遇等の制度を着実に進める。制度、実務、運営について精通し、志を持った職員を評価する。

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