年金時代

平成30年度における年金相談にはこう対応する!(三宅 明彦さん)

今年6月15日の年金支払日には平成30年度の4月分と5月分の年金額が支払われます。すでに、今年3月5日からは、それまで基礎年金番号による年金の手続がマイナンバーでもできるようになっています。そうした年金制度や年金の手続に関連した相談に対応する際のポイントについて、平成30年度版『年金マニュアルシート』の著者でもある社会保険労務士の三宅明彦さんが解説します。

三宅 明彦(みやけ あきひこ)/社会保険労務士

東京都社会保険労務士会所属。
金融機関等での豊富な年金相談経験をもつ。多数の年金セミナー・年金研修等の講師を務める。現在、東京都社会保険労務士会の年金講座講師。著書多数。『年金マニュアルシート』(社会保険研究所)は約50万部の大ヒット。

1.平成30年度の年金額について

――年金額は昨年度から据え置き、マクロスライドは繰り越し

年金額の改定については、法律上、賃金水準の変動がマイナスで物価水準の変動がプラスとなる場合には、年金を受給し始める際の年金額(新規裁定年金)、受給中の年金額(既裁定年金)ともにスライドなしとすることが規定されています(図表①の⑤のケース参照)

図表①年金額の改定(スライド)のルール

出所:第1回社会保障審議会年金部会2018年4月4日資料2-1(以下同)

平成30年度の年金額は、年金額改定に用いる名目手取り賃金変動率がマイナス(▲0.4%)で物価変動率がプラス(0.5%)となったことから、新規裁定年金・既裁定年金ともに平成29年度から据え置きの金額となっています。また、マクロ経済スライドによる調整は行われず、未調整分は繰り越されます(図表②参照)

図表②平成30年度の年金額の改定

◆マクロ経済スライドの未調整分

平成28年に成立した年金改革法により、マクロ経済スライドによって前年度よりも年金の名目額を下げないという措置は維持した上で、未調整分を翌年度以降に繰り越す仕組みが導入されました。これは、マクロ経済スライドによる調整を将来世代に先送りせず、できる限り早期に調整することにより、将来世代の年金の給付水準の確保を目的とするものです。この年金額改定ルールの見直しは平成30年4月から施行され、平成30年度以降に発生したマクロ経済スライドの未調整分が繰越しの対象となります(図表③参照)

図表③マクロ経済スライドによる調整ルールの見直し

マクロ経済スライドの未調整分の累計(▲0.3%*注)

(注)スライド調整率(▲0.3%)

=公的年金被保険者数の変動率(0.0%)+平均余命の伸び率(▲0.3%)

[平成26~28年度の平均]

2.個人番号(マイナンバー)の取扱いについて

平成30年3月5日から基礎年金番号による手続きが、個人番号(マイナンバー)でもできるようになりました。

年金の請求手続においても、個人番号(マイナンバー)がわかるもの(マイナンバーカード・マイナンバー通知書・マイナンバーが記載された住民票)を持参することにより、年金手帳や生年月日を明らかにできる書類の添付が要らなくなっています。

書類①事前送付用の年金請求書〔14頁目〕 書類②年金請求書(101号様式)〔1頁目〕
(クリックして拡大) (クリックして拡大)

事前送付用の年金請求書には個人番号(マイナンバー)の登録状況が記載されるようになりましたし、汎用の年金請求書(101号様式)には個人番号または基礎年金番号のどちらでも記入できるように変わっています。また、年金請求書以外の届出用紙もほとんどが個人番号または基礎年金番号のどちらでも記入できるような記入欄に変わっています。

3.平成30年度版『年金マニュアルシート』では…

①何年加入したら受けられる?
平成29年8月より老齢年金の受給資格期間が10年になっていますので、その受給資格の説明と注意が必要な遺族年金の受給資格期間について掲載しています。

 

②いつから受けられる?
国民年金と厚生年金に分けて、繰上げ・繰下げや厚生年金の支給開始年齢を表にしてわかりやすく見やすく掲載しています。
また、「ねんきん定期便」の見方の説明も掲載していますし、加給年金額と振替加算についての説明もバッチリです。

③働きながら受ける年金
厚生年金の在職老齢年金について、早見表を用いてわかりやすく説明しています。60歳以降も継続勤務する方が多い中で、一番相談が多い項目です。

④雇用保険との調整
厚生年金と雇用保険の基本手当との調整及び厚生年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整をわかりやすく完結にまとめています。

⑤60歳台前半の老齢厚生年金と繰上げの老齢基礎年金
繰上げ受給する場合の繰上げのしくみを表にしてわかりやすく説明しています。

⑥年金請求書(事前送付用)記入例
新しく変わった事前送付用の年金請求書について、書き方見本(記入項目の注釈付き)とともに手続先や添付書類を説明しています。なかなかわかりづらい年金請求書を記入する際に参考になる、との評判を頂いています。

⑦年金手帳と年金証書
年金手帳と年金証書の見本(縮小版)と年金コード及び受取機関変更届の書き方も掲載しています。

 

☆年金のしくみの説明を行う際や年金請求をする際には、非常に役立つツールだと思われますので、社会保険労務士の方、金融機関の年金担当者の方、年金に関心のある皆様のご利用をお待ちしております。

非常に求めやすい価格になっています。

 

■年金マニュアルシート 平成30年度版

規格:A4判・8頁・カラー・観音折り・PP加工(特殊表面加工)
発行:平成30年3月
商品No:33621
定価:本体380円+税
著者:三宅明彦・社会保険労務士

 

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