年金時代

[ねんきん最前線 市区町村 VOICE]滋賀県栗東市福祉部保険年金課

平成30年度
市区町村国民年金事業功績厚生労働大臣表彰受賞!
ワンストップの年金相談と独自のチェックシートで
住民サービスの向上を

4月21日、平成30年度市区町村国民年金事業功績厚生労働大臣表彰が行われ、滋賀県栗東市のほか3市区町村(秋田県南秋田郡大潟村・富山県南砺市・兵庫県神戸市)が受賞。国民年金事業に対する功績が特に顕著で、他の市区町村の模範となると認められた。東京で開催された表彰式に、栗東市からは野村昌弘市長が出席。表彰状が授与され、受賞の市区町村を代表して謝辞を述べた。今回は厚労大臣賞を受賞した滋賀県栗東市を訪ね、国民年金事業の取り組みについて、同市福祉部保険年金課の山本康子課長と同課年金係の竹山和代係長にインタビューした。

*この企画は、年金住宅福祉協会ホームページの「年金広報=ねんきん最前線 市区町村 VOICE」(2018年6月号)を再掲載したものです。http://kurassist.jp/nenkin-kouhou/index.html

 

栗東市のデータ

〇人口
68,817人(うち、20~59歳は37,191人、65歳以上は12,798人)
*平成30年3月末現在

〇第1号被保険者 6,756人
任意加入被保険者  55人
*平成30年3月末現在

〇免除者数
2,863人(うち、法定免除は435人、申請免除は2,428人≪全額免除942人、一部免除231人、納付猶予315 人、学生納付特例940人≫)
*平成30年3月末現在

〇国民年金受給者
老齢基礎年金11,727人
障害基礎年金 154人
遺族基礎年金 104人
*平成28年3月末現在

〇国民年金担当者数
本庁4人(年金係長1人、正規担当職員1人、臨時職員2人)
*平成30年4月1日現在

資料①栗東市の特色

滋賀県の南部に位置し、市の北部は平坦地、南部は緑豊かな山地となっている。国道1号・8号の通過、名神高速道路栗東インターチェンジの設置など、交通の要衝として、製造業・商業・流通業など数多くの企業が立地している。
また、平成3年、JR琵琶湖線栗東駅が開設されたことにより、京阪神への通勤圏となり、大規模な住宅整備が進み、人口増加が続いている。
平成13年10月1日、滋賀県内8番目の市として「栗東市」が誕生。「ひと・まち・環境ともに育む『健やか・にぎわい都市』栗東」の実現に向け、まちづくりを進めている。
*栗東市のホームページより引用・編集。
http://www.city.ritto.lg.jp/shisei/gaiyou/4398.html

総合窓口でのワンストップサービスで転入時に確実な年金相談につなげる

――厚生労働大臣賞を受賞された栗東市では、国民年金事業において、①総合窓口でのワンストップ年金相談体制②独自のチェックシートを用い、届出に誤りを発生させない取組み③可搬型窓口装置の導入について、近隣市にも推奨し、年金事務所への照会件数の減少に貢献――の3つの取り組みが評価されたと伺っています。そこで、まず、「総合窓口でのワンストップ年金相談体制」ということでは、どのように取り組まれているのでしょうか。
山本課長:栗東市では平成16年に、住民異動に伴う手続について、窓口を一元化した総合窓口を設け、住民が庁内を移動することなく各種届出・手続ができるように、窓口業務のワンストップサービスを始めました。転出入のため、来庁されるお客様に対して、総合窓口において、たとえば国民年金に関係することであれば、保険年金課の年金係につないでもらうのですが、年金に限らず、障害福祉、生活保護、子育て支援など、それぞれ担当する課は違っても、ワンストップサービスということで、お客様に担当課ごとの窓口に移動してもらうのではなく、それぞれの担当課の職員が総合窓口に出向いて対応するようにしました。
国民年金保険料の納付率が、ここ2、3年伸びが近隣市の中でも大きいということ(資料②参照)も表彰では評価され、これまで続けてきたワンストップサービスが、転出入が多く、人口も増加している栗東市にあって、効果的に納付率の向上につながり、それが数字の伸びになって表れた結果だと感じています。

資料②国民年金保険料の納付率の推移(現年度分)

平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度
栗東市 63.2% 65.5% 68.2% 70.0% 72.8%
滋賀県 65.7% 67.1% 69.5% 69.7% 71.4%
全国 59.0% 60.9% 63.1% 63.4% 65.0%
*厚生労働省ホームページより。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/toukei/index.html


――具体的には、どのように総合窓口でのワンストップによる年金相談を実践されているのでしょうか。

竹山係長:来庁されたお客様が、たとえば第1号被保険者である方の転入であれば、免除申請の手続をしているのかどうか、保険料の未納期間がないかなどをすべて確認したうえで、総合窓口に年金係の職員が移動して、必要な手続やお客様に関係する案内について説明します。そうした場合、このたびお客様が窓口にいらした用件とは直接関係なくても、行政の立場から総合的に判断をさせていただき、必要な手続があれば、総合窓口から担当する課につないで、ご案内するようにしています。国民年金事業で言えば、転入届の際にはもれなく国民年金への加入や、該当する方であれば、免除制度についてご案内しています。このときに活用しているのが、お客様が記載しやすいように工夫して同市において作成した「国民年金被保険者 各種届」(書類①)と保険料免除のチラシ(書類②)です。

 

書類①国民年金被保険者 各種届


書類②保険料免除のチラシ【表面】

書類②保険料免除のチラシ【裏面】

――転入届などで来庁する住民を総合窓口でのワンストップサービスにより、年金相談にご案内することで、本人が自覚していなくても、必要な届出や手続ができるわけですね。では、直接、保険年金課の窓口に来た住民に対しては、どのような対応を心がけていますか。

山本課長:栗東市の保険年金課は、国民健康保険係、高齢者医療係、当市が実施する医療費の一部助成を行う福祉医療係、国民年金事業を担当する年金係の4つの係からなりますが、同課内においても各係間の連携によるワンストップサービスを実践して、住民本位の利便性の高い情報や届出等の案内を担当職員から提供しています。特に国民健康保険と国民年金とは関連する届出や手続が多いので、国保の加入だけをメインで来られるお客様が結構多いのですが、そこはもれなく、必ず国民年金にもいっしょにご加入いただくよう案内しています。

独自のチェックシートは業務を円滑に進め、住民のもれなく確実な届出をサポート

――2つめの受賞理由に「独自のチェックシートを用い、届出に誤りを発生させない取組み」とありますが、独自のチェックシートは、どのように活用され、効果を挙げているのでしょうか。
竹山係長:たとえば、障害年金についての手続や相談であれば、「障害年金等 相談受付票」というチェックシートを活用しています(書類③)。これには、来庁したお客様に、氏名・生年月日・住所・連絡先・家族構成・障害者手帳の有無・傷病名・初診医療機関等を記載してもらい、そのうえで、窓口に来たお客様から聞き取った内容を、このシートに年金係の職員が記載します。また、この相談受付票の裏面は、「障害基礎年金請求 必要書類等一覧表」(書類④)になっているので、職員が障害基礎年金の請求で必要となる書類にチェックを入れ、それをコピーして、相談に来たお客様にお渡ししています。お客様には、チェックの付いた書類をご用意いただき、次回、提出書類をお持ちいただいたときに、年金係にある控えと照らし合わせ、提出書類に不備がないかを確認します。そうすることで、届出の際に添付する書類のもれがなくなり、必要な書類が添付されていないなどの理由で、年金事務所から請求書類が返戻されるケースがほとんどなくなりました。
――障害年金の相談や手続は、1回の来庁ではなかなか手続等が済まないケースも多いと聞きますが、こちらではいかかがですか。
竹山係長:こうしたチェックシートを活用することで、次回、お客様が年金係の窓口に来たときにもスムーズに、前回からの手続事務や相談を引き継いだ対応ができます。また、年金係では、相談受付票に記載された受付番号により相談内容を端末で管理しています。チェックシートと管理システムの両方を使って相談対応できるので、お客様には安心して手続をしていただいておりますし、必要な届出等も確実にご提出いただいております。
そのほか、未支給年金でも独自のチェックシートを活用しています。未支給年金の請求では、請求者との身分関係を確認できる書類が必要となりますが、窓口に来られるお客様にとりましては、「謄本」と「抄本」の違いがわからない方も多いのです。そこで、お客様には、提出書類がどのような理由で必要なのかということをワンポイントアドバイスとして記載したチェックシートのコピーをお渡しして、納得していただいたうえで、大切な証明書類等を提出いただいております。

書類③障害年金等 相談受付票


注:「※」以外を本人が記載。「※」は年金係の担当者が聞き取りに基づいて記載する。


書類④障害基礎年金請求 必要書類等一覧表

 

ウインドウ・マシーンの導入で記録確認は迅速化、その一方で、年金事務所との間に意思疎通の溝も

――可搬型窓口装置、いわゆるウインドウ・マシーンを日本年金機構から貸与して、窓口の年金相談に活用しているということですが。
竹山係長:昨年7月、栗東市を所管する草津年金事務所から、滋賀県の市町村ではまだどこもウインドウ・マシーンを貸与されていないということで、当市での利用を勧められました。使ってみると非常に便利なシステムで、それまで、年金の記録はすべて電話で年金事務所に確認をしていたので、非常に手間も時間もかかり、しかも年金事務所に電話がつながらなかったりすると、お客様を待たせることにもなり、大変ご迷惑をおかけすることにもなっていたのですが、ウインドウ・マシーンを利用するようになって、年金事務所への記録照会の電話もだいぶ減りました。そうしたことから、滋賀県内の市で組織する国民年金部会におきまして、近隣市にもウインドウ・マシーンのメリットをお伝えし、導入を推奨しました。
しかし、ウインドウ・マシーンを導入したことで、確かに仕事もやりやすくなり、効率化も図られたのですが、その一方で、記録照会などで年金事務所には電話を掛けにくい雰囲気になってしまいました。事務所にしてみれば、「ウインドウ・マシーンを貸与しているのだから、加入記録の確認はできるはずだ」という思いがあるのでしょうが、電話を通じた情報連携が閉ざされ、意思疎通に溝ができてしまったかのような印象を持ちます。

年金事務所には迅速な情報伝達と定期的な意見交換会の開催を

――国民年金事業を円滑に推進していくため、日本年金機構・年金事務所との連携についてはどうお考えでしょうか。
竹山係長:日本年金機構・年金事務所から情報が下りてくるのが遅いということはいつも感じています。今年3月5日からの年金の手続でのマイナンバーの利用についても、非常に情報が遅く、早くから変わることはわかっていて、それに向けてのシステム改修などの情報は早めには伝わってきていたのですが、実際の事務のやり方は、質疑応答のQ&Aだけで、しかもQ&Aの内容も頻繁に変わったりしていました。そのうえ、直前になって、大量の事務連絡が送付されてきたものですから、こちらとしても限られた時間ですべてに目を通すのも一苦労しました。そうしたとき、京都市と神戸市が、厚生労働省からも担当者を呼んで、年金事務説明会を開催してくれたので、いろいろと説明を聞くことができました。国や年金機構でもマイナンバーの事務対応については、早めに統一した内容での周知をしていただきたかったです。
また、障害年金の対応では、年金事務所に手話ができる職員がいないということで、市のほうに行くように言われた住民が年金事務所から回されてくることがあります。常時、手話通訳者を待機させておくことは難しいかもしれませんが、年金事務所でも予約制による年金相談ができるようになっているので、予約に合わせて、対応できるよう体制を整え、住民サービス向上の観点からも取り組んでいただきたいと思います。
山本課長:先ほど係長からも申しあげたところではありますが、ウインドウ・マシーンをお借りしているとは言え、顔の見えたところでの連携はどうしても必要です。意見交換会のような形で、お互いの業務内容が分かり合えるような機会があれば、スムーズな意思疎通もが図られるのではないかと思います。

まちづくり出前トークで住民が集まる場に出向いて年金を広報

――住民の皆さんに公的年金制度への理解を深めてもらうため、取り組んでいることがありましたら、ご紹介ください。
山本課長:市では、「まちづくり出前トーク」という取り組みを実施しています。市が行っている事業を、市内に在住、在学、在勤する10人程度の団体やグループのご要望に応じて、市の担当職員が出向いて説明するというものです。そのなかに国民年金の概要というテーマもあり、「国民年金制度のしくみ」「各種届出の手続きと必要性」「免除申請」などについて説明する機会を持ちました。
竹山係長:障害をお持ちのお子さんの保護者の方々がお集まりの場に行き、障害年金のしくみについてご説明し、意見交換をしたこともあります。また、去年は年金給付についての出前トークで年金事務所の職員に講師になっていただき、出前トークにご協力いただきました。

http://www.city.ritto.lg.jp/shisei/machi_kyodo/4059.html

――興味や関心を持つ住民の方々が、庁舎に来るのを待って説明するだけでなく、むしろ、市の職員が積極的にまちに出て行って、情報提供していくことも大切ですね。きょうはどうもありがとうございました。

 


栗東市福祉部保険年金課の皆さん。右から山本康子保険年金課長、齊藤智生課長補佐、竹山和代係長、丸山義子さん、片山洋子さん。

 


保険年金課の四谷枝未華さん。
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