年金時代

[ねんきん最前線 市区町村 VOICE]岐阜県大垣市福祉部窓口サービス課国民年金グループ

年金事務所との協力・連携関係は良好
人手不足も法定受託事務は精一杯努力するも
国には実情にあった交付金のあり方を要望

 

今年で市制100周年を迎えた大垣市。2年後に完成する新庁舎ではワンストップサービスをさらに徹底させた行政窓口の配置で、住民サービスのさらなる向上を図る。その一方、法定受託事務とされる国民年金事業では限られた人員のなか、国には実情に合った交付金の配分を求める。炎天下の7月中旬、岐阜県大垣市福祉部窓口サービス課の柳瀬孝優保険年金・医療課長と同課国民年金グループの浅野清美主査が取材に応じてくれた。

*この企画は、年金住宅福祉協会ホームページの「年金広報=ねんきん最前線 市区町村 VOICE」(2018年8月号)を再掲載したものです。http://kurassist.jp/nenkin-kouhou/index.html

大垣市のデータ

〇人口
161,534人(うち、20〜59歳は79,211人、65歳以上は43,315人)

 *平成30年6月30日現在

〇第1号被保険者
17,248人( うち、任意加入被保険者 195人)

 *平成30年3月31日現在

〇免除者数
6,588人(うち、法定免除は1,162人、申請免除は5,426人 <・全額免除2,086人、一部免除373人、納付猶予619人、学生納付特例2,348人>)

 *平成30年3月31日現在

〇国民年金受給者
老齢基礎年金 40,934人
障害基礎年金   1,854人
遺族基礎年金    85人

 *平成30年3月31日現在

〇国民年金担当者数
本庁6人(国保兼任係長2人、正規担当職員1人、非常勤嘱託職員2人、臨時職員1人)
区役所・支所(出張所)8箇所35人(他業務兼任係長6人、他業務兼任職員10人、 他業務兼任再任用職員8人、他業務兼任臨時職員11人)

 *平成30年7月30日現在

資料1 大垣市の特色
大垣市は、日本のほぼ中央に位置し、古くから中山道や美濃路などの主要街道が通る交通の要衝であったことから、東西の経済・文化の交流点として栄えるとともに、時には天下分け目の関ヶ原合戦などの戦いの舞台にもなってまいりました。
俳人・松尾芭蕉が「奥の細道」の旅を終えた地としても全国に知られており、今なお俳句文化が息づく、文化の香り高いまちでございます。
また、「水の都」と呼ばれる所以である豊富で良質な地下水を利用しながら、岐阜県内有数の産業都市として発展を遂げ、西濃地域の中核としての基盤を着実に築きあげてまいりました。
平成30年には、市制100周年を迎えますが、郷土・大垣の更なる飛躍と将来像「水と緑の文化・産業・情報・交流都市」の実現に向け、これまでに築きあげてきた本市の魅力を最大限に発揮するとともに、引き続き「地域活力創造」、「安全・安心」、「環境・エネルギー」、「子育て日本一」、「かがやきライフ推進」の5つの重点プロジェクトに、全力で取り組んでまいります。
*大垣市役所発行『大垣市勢要覧2017』(平成29年8月)「ごあいさつ 大垣市長 小川敏」より抜粋。

 平成32年冬に市制100周年記念施設の新庁舎が完成
ワンストップサービスで住民サービス向上に期待

――大垣市では、国民年金の業務については福祉部窓口サービス課国民年金グループがご担当だということですが。

 柳瀬課長:現在、市制100周年記念施設ということで、新庁舎に建て替え中ですが、いまの旧庁舎では、1階の玄関入って右手が窓口サービス課(市民)で、戸籍の届出、住民票等の交付、住民基本台帳に係る届出等を受け付けています。また、その奥になりますが、玄関から入りまっすぐ行った突き当たりが窓口サービス課(保険年金・医療)で、こちらでは福祉医療、後期高齢者医療、国民健康保険、国民年金の事務を担当しています(資料2、3参照)。平成32年冬に新庁舎が完成すれば、1階の玄関入って左手に、窓口サービス課が一つに統合され、異動等に伴う届出と住民生活に密接にかかわる保険年金・医療との部署のワンストップサービス化が実現し、いっそう住民サービスの向上が図れると期待しています(資料4参照)。

市制100周年のポスター。

資料2 福祉部窓口サービス課の業務の内容


*大垣市ホームページより。

 

資料3 旧市役所本庁舎1階案内図[現在]

*大垣市ホームページより。

 

資料4 新市役所本庁舎1階案内図[平成32年冬竣工予定]

*大垣市ホームページより。

 

浅野主査:国民健康保険と国民年金の窓口は隣同士になっているので、国保の窓口に来られて手続を終えた方には、そのまま引き続き、国民年金の手続も済まされるようご案内しています。国民年金のみの手続では、免除制度や納付猶予制度の申請手続等で来られる方が多いですね。特に7月は、免除申請の更新月でもあり、障害基礎年金の受給権者の方の所得状況届の提出やそれに伴うお尋ねも多くあるので、窓口に来られる方は1日100人を超えることもあります。ただ、5分程度で済む方もいれば、障害年金の請求に関わるご相談などでは1時間から1時間半ほどかかる方もいらっしゃるので、来所者数だけで忙しさを語れないのも年金業務の特徴だと言えます。

――第1号被保険者について、近年目立った動きはありますか。

浅野主査:年々、第1号被保険者数は減っています。その理由、好況期で雇用そのものが増えたこと、また被用者保険が短時間労働者等に適用拡大されたことなどの影響だと思いますが、第2号被保険者が増えてきているためだと思います。

――国民年金グループはどのような人員体制ですか。

浅野主査:正規担当職員は私一人で、そのほかは嘱託として元日本年金機構職員が2名、臨時職員が1名の計4人体制です。

人員削減と相談業務に対応した人材配置を支えるよう
国民年金等事務取扱交付金のあり方を見直してほしい

――国民年金事業について、工夫して取り組まれていることなどがあればご紹介ください。

浅野主査:残念ながら、現在の国民年金グループはぎりぎりの人員体制なので、日々の業務をこなすだけで精一杯で、なかなかそれ以上のことに取り組もうというモチベーションが生まれにくい状況にあります。その日窓口で受付けた書類等の処理に追われつつ、同時進行で、当市を管轄する大垣年金事務所や名古屋事務センターが受け付けた書類に対して、市のほうで所得状況を確認したり、当市の被保険者台帳に反映させるための入力をしたり、あっという間に1日が終わってしまいます。また、交付金に関する事務や制度改正に伴うシステム開発の委託契約なども、国民年金グループが担当しています。
そんな中、ここ2~3年意識的に取り組んでいることがひとつあります。それは、障害年金受給者の申告率を上げるということです。というのは、所得状況の確認については今のところ、来年度消費増税に伴って予定されている年金生活者支援給付金に使うシステムを利用し、日本年金機構が直接所得確認することになるわけですが、基本的に、障害年金を受給されている方は、住民税を申告する必要がない方が多いので、そういう方には何か所得の申出書のようものを提出していただくことを検討されていると聞いてます。機構は、受給者と機構の間で完結させるつもりだと言っていますが、市への問い合せが殺到することは明らかですし、最悪支給が止まってしまうことにもなりますので、なるべく今のうちから、障害年金を受給している方には所得を「0円」として申告するように、と推奨しています。課税課には負担をかけていますがね。

――今年3月5日からはマイナンバーを年金の手続でも利用できるようになりましたが、こちらでの利用状況やお客様への対応などはどう変わりましたか。

浅野主査:マイナンバーを利用することで、実務面ではだいぶ助かっています。住民票の異動があった場合、年金機構のほうでマイナンバーを利用して、住所異動を確認することになり、市としての事務量も減りましたし、お客様にとりましても、一つ手続の手間が省けましたので、比較的待ち時間等も短くなりましたね。

――国民年金事業において、年金事務所とは具体的にはどのようなやり取りをしているのでしょうか。

浅野主査:大垣年金事務所とは距離にして2、3キロ離れているのですが、とりわけ国民年金担当課とは連絡を密に取り合っています。被保険者の最新の年金記録を確認するときなどは、電話で親切に教えていただけますし、年金相談でもレアなケースに当たったときにも、その都度、電話で対応していただいております。
しかし、請求関係の手続でときどき、年金事務所から市役所に行くよう指示されて窓口にいらっしゃる方のなかには、よくよく聞いてみると、国民年金という言葉だけで法定受託事務とされていない手続まで市役所でできると言われていたようなのです。お客様には、事情を説明して、再度、年金事務所に行っていただいているのですが、そうしたトラブルが一番多いですね。

――年金機構からウインドウマシーンを借り受けて窓口業務に活用していますか。

浅野主査:今のところ、年金事務所とは電話をすればつながり、情報提供もスムーズに行っていますので、ウインドウマシーンは必要ありません。また、ねんきんネットが使用できる環境ではあるのですが、ねんきんネットは立ち上げから確認したい年金記録まで行き着くまで、結構手間がかかります。アクセスするたびに暗証番号が変更され、それを入力しなければなりませんから、むしろ電話で、目の前にいるお客様の基礎年金番号を伝えれば、年金事務所からすぐに答えが返ってくるので、当市では手っ取り早く対応できる電話での確認を中心としています。

――近隣市との国民年金事業についての連携はいかがですか。

浅野主査:新しい事業が始まると、システム改修をどうするかということが話題になったりしますが、岐阜県では大垣市は県庁所在地の岐阜市に次いで人口も多く、このあたりは西濃地域と言うのですが、この中では一番大きい自治体ということで、むしろ他市町との連携と言うよりも、参考とするため当市の対応を聞かれることのほうが多いです。

――法定受託事務ではどんなことが課題となっていますか。

浅野主査:国民年金等事務費は100%交付金で賄うとされていますが、実際使った額と計算した額の少ない方の額が交付されています。時代に合わせて仕事の内容が変わり、対応する職員も正規であったり、非正規であったりします。そういう実情に応じた交付金の出し方を、検討していただきたいと思います。たとえば、自治体では職員を減らして臨時職員を増やしています。それは当市でも事情は同じですが、交付金での扱いは人件費の枠と物件費の枠があり、臨時職員は物件費枠となっています。したがって、人手が足りなくても、臨時職員では人件費枠が使えません。
また、さまざまな事務内容がシステム化され、電子媒体化も進んで、データでのやりとりも一般化しています。所得情報についても将来は市を通さず、年金機構が直接確認できるようになると、市の業務量もだいぶ減ることになるでしょう。そうしますと、入力作業のような単純業務はなくなっていく一方で、高齢化社会の影響もあり、受給に関わる相談等の業務が増えてくるのではないかと思います。いわゆる国と市町村との協力・連携のもとで行う協力連携事務ですが、こうした業務に対応していくにはある程度のスキルを持ったスタッフを確保しておかなければなりません。内容によっては、数年で異動する正規職員では不可能な業務ですね。ここでも交付金のあり方が問題になってくるのですが、厚生労働省には、スキルを持った臨時職員を人件費枠で確保できるよう、交付金のあり方を見直していただきたいと思います。または、交付金という形ではなく、希望する自治体へは年金機構の職員を派遣していただくなど、大胆な発想も期待したいです。

役所から街に出て、市民に「かがやき出前講座」で
年金制度のメリットを再確認してもらう

――住民への年金情報の提供ということでは、どのように取り組まれていますか。

柳瀬課長:大垣市では、市民の皆さんが生涯を通じて、それぞれの意欲や興味に応じた学習活動に取り組むためのきっかけとして、「かがやき出前講座」を開催しています。この講座では、市民が講師を務める講座のほか、市の職員が講師となり、市の取り組みや暮らしに役立つ知識や情報を紹介する講座も用意しています。そのなかの「国民年金制度について」という講座では、浅野主査が講師となって、国民年金の基礎知識を市民の皆さんにお伝えしています。「かがやき出前講座」へのお申し込みは、大垣市内在住・在勤・在学の方で構成された原則10人以上の団体・グループであれば可能です。出前場所は原則市内で申し込んだ団体が用意した会場で、講座時間は午前10時から午後9時までの間の原則2時間以内。市の職員が講師をする場合、講師料は無料です。講座開催日の3ヵ月前(市の職員が講師の場合は6ヵ月前)から3週間前までに、所定の出前講座の申込書を当市かがやきライフ推進部市民活動推進課にファックス、電子メール、郵送、直接持参のいずれかの方法でお申し込みください。

浅野主査:先日は、ある自治会に呼ばれて、国民年金についてお話をしてきました。15名ほどの参加があったのですが、一般の方々は、年金制度についてあまり正確に理解されていないということをあらためて実感しました。そこで、民間の個人年金よりもずっとお得なんですよ、という話をしたところ、「国民年金って、そんなにいい制度とは知らなかった。近所の人にも、年金の保険料は払っておいたほうがいいと伝えたい」と受講者から感想をいただき、お伝えして、本当に良かったと思いました。

――市役所の窓口だけでなく、積極的に出向いて、年金制度についての正しい情報を提供していくことは大切なことですね。本日はどうもありがとうございました。

 
右が福祉部窓口サービス課の柳瀬孝優保険年金・医療課長、左が同じく窓口サービス課・国民年金グループの浅野清美主査。
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