年金時代

在職老齢年金制度のあり方について議論―社会保障審議会年金部会

厚生労働省の社会保障審議会年金部会(部会長=神野直彦・日本社会事業大学学長、東京大学名誉教授)は11月2日、第6回の会合を開き、在職老齢年金や被保険者期間等のあり方などについて審議した。

「支給開始年齢」「受給開始可能期間」「受給開始時期」を整理

厚生労働省は、年金に関する報道等で「受給開始年齢」という言葉が使用されていることなどを受け、①報酬額や加入年数に基づいて算定される給付額を受け取ることができる年齢を「支給開始年齢」、②支給開始年齢の前後に実際に年金を受け取ることができる期間を「受給開始可能期間」、③受給開始可能期間のなかから受給者本人が年金をいつから受けるか選択する時期を「受給開始時期」――と整理したうえで議論を進めることとした。また、受給開始可能期間に幅をもたせるかどうかという議論と、支給開始年齢の引き上げという議論は非常に混同されやすい傾向があることから、年金局は「常にこの点を意識しながら審議を進めていただき、無用の誤解や批判を受けないようにしていきたい」と委員に注意を促した。

繰下げ制度の利用率は約1%

公的年金の受給開始時期は、繰上げ・繰下げ受給によって60歳から70歳の間で自由に選ぶことができ、65歳より前に繰り上げた場合は年金額が減額されるが、66歳以降に繰り下げた場合は増額される。繰下げ制度の利用率は約1%程度となっており、繰下げ受給が選択されにくい要因としては、60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金を受給している場合、繰下げを選択すると65歳になったあとでいったん受給をやめる形になってしまうことを指摘した。また、老齢厚生年金の加給年金額や老齢基礎年金の振替加算が支給されないことや、在職老齢年金により支給停止相当部分の年金は繰下げによる増額の対象にならないことも繰下げが選択されにくい要因として示された。委員からは「繰下げ制度をよく知らないまま特別支給の老齢厚生年金から引き続いて年金を受給する人がほとんどなのが実態だと思う。今後は厚生年金の支給開始年齢が65歳に統一されてわかりやすくなるため、繰下げ受給についてはそれを踏まえて議論してはどうか」、「どれだけの人が冷静に受給開始時期について考えているのかといったことや、周知不足についての意識調査を行ってみるのも手だと思う。また、65歳以上の雇用保障が進んでいかなければ、繰下げ時期の柔軟化をしたとしても絵に描いた餅に終わってしまう」といった意見が出た。

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