年金時代

[ねんきん最前線 市区町村 VOICE]東京都町田市いきいき生活部保険年金課国民年金係

市独自のパンフレットを作成して
国民年金制度をわかりやすく住民に説明
窓口業務は専門知識を持つ社労士・年金事務所の実務経験者が対応

 

市独自の国民年金制度のパンレットを作成し、正規職員を専門性のある嘱託職員に切り替え、窓口対応の強化を図ってきた町田市。年金事務へのマイナンバーの導入時には、関東ブロックでの自治体向けの事務説明会の開催に奔走。法定受託事務を各市町村が担うに当たっては、国と自治体との間で連携・協力の事務をスムーズに遂行させ、国との間を取り持つ組織やしくみの必要性も強く感じたと言う。町田市いきいき生活部保険年金課の清水聡司高齢者医療・国民年金担当課長と青木和巳国民年金係長に同市の国民年金事業について聞いた。

*この企画は、年金住宅福祉協会ホームページの「年金広報=ねんきん最前線 市区町村 VOICE」(2018年11月号)を再掲載したものです。http://kurassist.jp/nenkin-kouhou/index.html

 

町田市のデータ
〇人口: 428,761人(うち、20〜59歳は215,622人、65歳以上は113,995人) *2018年9月1日現在
〇第1号被保険者: 55,661人 うち、任意加入被保険者: 993人 *2018年3月末日現在
〇保険料免除者数: 21,580人(うち、法定免除は5,269人、申請免除は8,609人、学生納付特例7,702人)
*2018年3月末日現在
〇国民年金受給者:老齢基礎年金106,785人、障害基礎年金 6,576人、遺族基礎年金 665人 *2018年3月末日現在
〇国民年金担当者数:本庁 13人(係長1人、正規担当職員4人(うち1人育児休業中)、嘱託職員6人、臨時職員2人)、市民センター 6ヵ所(忠生・鶴川・南・なるせ駅前・堺・小山) *2018年9月末日現在

■資料1 町田市の特色

町田市は東京都の南端にあり、半島のように神奈川県に突き出ています。多摩丘陵の西部から中央部を占める位置に立地していて、東西22.3キロメートル、南北13.2キロメートル、面積は71.55平方キロメートルです。
市制は1958年2月1日に施行され、東京都で9番目に生まれた都市です。古くから横浜に向かう街道は「絹の道」とも呼ばれ、交通の要衝、商都として繁栄してきました。近隣からも多くの人たちが集まり、商圏人口200万人の一大商業都市へと発展しています。
*町田市ホームページ(https://www.city.machida.tokyo.jp/kanko/shi/index.html)より。

目的別に独自のリーフレットを作成して窓口での相談に活用・配布
保険料徴収の年金機構への移管で窓口業務を専門性高い嘱託職員に切り替え

――町田市では、窓口においては、どのように年金事務や相談業務に取り組まれていますか。特徴や重点的な取り組みについてご紹介ください。

清水課長 国民年金への加入や学生納付特例、申請免除制度、障害基礎年金の手続きについては、市独自のリーフレットを作成し、窓口での説明に活用したり、お持ち帰りいただき、住民の皆さんが国民年金の制度や手続きについてご理解いただけるよう役立てています。また、電話で国民年金関係の届出書類をお取り寄せになる方にも、書類に同封して関係するパンフレットをお送りしています。

■資料2 パンフレット「学生納付特例とは」

(クリックして拡大)

 

■資料3 パンフレット「申請免除制度とは?」

(クリックして拡大)

 

■資料4 パンフレット「障害基礎年金の手続きについて」

(クリックして拡大)

 

――窓口でのお客様対応にはどのような体制で臨まれていますか。

清水課長 国民年金の事務については、保険料徴収が日本年金機構に業務移管されて以降、窓口業務に対応する職員も、正規職員から嘱託職員への切り替えを進めてきました。業務の内容についても手続きや相談への対応が中心になってきたことに対応して、専門的な知識を持つ人材を採用するようにしてきました。特にご高齢の方は、年金制度のことでご不明な点があると、市役所にお出でになる方が多いので、年金機構の所管ではありますが、厚生年金についての知識も含め、幅広い年金の知識を活かして情報提供することも求められていると思います。

青木係長 特に、障害年金については制度や手続きも複雑なので、窓口業務では、社会保険労務士や年金事務所で実務経験のある職員が対応しています。知識や経験のある専門性の高い職員が担当することで、年金事務所に近いクオリティーで年金相談や手続きのご案内をすることを目標としています。

――障害年金の対応についても力を入れているということですが、具体的にはどのような取り組みをされているのですか。

青木係長 町田市には、都立の特別支援学校が1校ありますが、毎年2月に高校2年生の父兄を対象に説明会を開催しています。障害者手帳などの取得や手当などの説明は市の障がい福祉課の職員が説明していますが、障害基礎年金の制度や手続きについては、国民年金係の職員が担当しています。その際には、20歳前に初診日がある方についても、20歳にならないと申請ができないので、今のうちから、これまでにかかった医療機関や初診日の確認について、整理しておいていただくようお伝えしています。

――平成29年8月から、資格期間が25年から10年に短縮されましたが、適用関係においては、どう対応されましたか。

青木係長 国民年金の事務については、これまで、生活保護を担当する市の地域福祉部生活援護課とも連携して取り組んできました。同課では年金調査員として2人の嘱託職員を配置して、生活保護受給者の年金記録を調べたり、年金の各種手続のお手伝いや、場合によっては年金事務所に同行して、年金請求の手続きをサポートしたりしています。そうしたところ、生活保護受給者の年金受給率がだいぶ上がり、その結果、生活保護費は市が4分の1を負担しているのですが、その圧縮にもつながっています。
そして、資格期間の短縮が平成29年8月に実施されましたが、その際にも、新たに受給権を得られた方が約2,300人いらっしゃいましたが、そのなかには生活保護受給者もかなりいました。そのときも、複数の年金記録をお持ちの方については記録を一つにまとめることで10年の資格期間を得られる方もいて、この機会に生活保護受給者の年金受給権の確保ということでも大きな成果を上げることができました。

――1日平均してどのくらいの住民が、国民年金の窓口にお見えになるのですか。

青木係長 だいたい80人くらいですが、手続きなどが集中する繁忙期だと150〜160人くらいになります。国民年金の窓口は通常3つのブースで対応していますが、混雑してくると4つ目のブースを開設し、さらに混雑してくると隣の係の窓口も借りて対応するなどして、繁忙期であっても、可能な限り待ち人数が10人を超えないように工夫しています。
また、障害年金の申請については、この3年は20件ぐらいずつ増えており、平成29年度は227件を受け付けました。障害年金の手続きや相談は、1回では済まないケースが多く、その対応にも今後さらに力を入れていかなければならないと感じています。

――国民年金の保険料は自主納付であることから、制度への理解ということが重要ですが、年金制度への理解を深める広報活動についてはどう取り組まれていますか。

青木係長 町田市の広報誌には国民年金の情報について定期的に掲載していますが、特に、町田市が開催する成人式のつどいでは20歳になった新成人に年金制度に少しでも興味を持ってもらうように、パンフレットを配布しています。20歳になると、国民年金に加入しなければならないこと、また、国民年金保険料の納付書が送付されることを、この機会にお伝えしておくことで、職権適用や納付書が送られてきたことに対する受け止め方も違うでしょうし、人生の節目の機会だからこそ、国民年金の意義や重要性について知っていただき、制度への加入や保険料納付についても、ご理解いただけるものと思います。

都市協では年金機構との連携強化がテーマの分科会のリーダーに

――国民年金の事務については、年金事務所との協力・連携が重要ですが、年金事務所との協力・連携についてはいかがですか。

清水課長 町田市は八王子年金事務所の管轄となるのですが、同事務所とは良好な協力・連携関係にあり、同じ管内である八王子市も含めた3者で研修会や勉強会、懇親会なども行い、お互い顔の見える関係での協力・連携関係を築いています。

――今年8月に大分市で開催が予定されていた全国都市国民年金協議会は台風の影響で、中止となってしまいましたが、町田市は「日本年金機構との連携強化」をテーマとする第2分科会のリーダーをされていました。第2分科会では、年金機構にどういった意見提案をされていたのでしょうか。

青木係長 今回の都市協では、新たな取り組みとして、各分科会に所属する各都市から示された意見に対して、日本年金機構が事前に用意した回答を当日の「分科会資料」に掲載して、それに基づき、分科会での議論を始めることにしていましたが、残念ながら協議会の開催は中止となってしまいました。町田市が所属していた第2分科会では「日本年金機構との連携強化」をテーマに、東北ブロックからは「届出人がわかりやすい様式への変更について」として、適用関係では「法定免除」と「外国への転出」について、また給付関係では「障害年金請求」「老齢年金請求」について、意見提案が示されました。また、関東ブロックからは「年金事務所への電話回線及び年金加入者ダイヤルに関する対応策について」、九州ブロックからは「電話の自動音声案内をやめて、高齢者に優しい電話応対に変更してほしい」といった意見提案がなされました。
法定免除については、平成30年3月5日から様式が新しくなり、1枚の申請書で、各種申請ができる汎用性のある様式になりました。ところが、法定免除の該当者(生活保護受給者や障害年金受給者等)でも希望すれば保険料を納付することができるのですが、その場合は、「国民年金被保険者関係届」と、「国民年金保険料免除期間納付申出についての確認(チェックシート)」(障害年金を受給し続けると、保険料納付を給付額に反映した老齢年金ではなく、障害年金を選択することになるので、納付した保険料が障害年金額には反映されないということを承知しているかなどを確認)、さらには「国民年金保険料免除期間納付申出書」の3種類の様式を提出しなければなりません。従来は2枚(免除理由該当届+ チェックシート)で済んでいたものが3枚に増えてしまったことで、より煩雑になってしまいました。そこで、現在の様式から法定免除の様式を独立させて、一枚で完結するようにしてはどうかと提案しました。
「届出人がわかりやすい様式への変更」が意見提案の主旨ではありますが、市区町村の職員は短期間で部署を異動することもありますし、出先の市民センターでは、年金に詳しい職員は少なく、各種取り扱う業務のなかの一つが年金であったりするので、年金について不慣れな職員もいます。届出書類が一つにまとまっていたほうが、事務処理も煩雑にならずに、事務処理ミスも防げます。
そのほか、年金事務所の電話が非常につながりにくいという問題についての対応や、年金事務所の自動音声案内では「○○の方は1番を押してください」と言った案内をしていますが、高齢者にとっては不自由に感じたり、戸惑ったりするお客様もいるので、高齢者にもわかりやすく、優しい対応をしてほしいという要望が出されていました。

■資料5 日本年金機構との連携強化に関する意見提案

(クリックして拡大)

 

(クリックして拡大)

 

(クリックして拡大)

<出所:第56回全国都市国民年金協議会分科会資料>

マイナンバー導入の事務説明会開催を巡り、国と自治体との間に新たなしくみの必要性を痛感

――分科会の意見提案については、実現に向けて、今後どう年金機構に働きかけていくのでしょうか。

青木係長 年金機構からは、意見提案については分科会資料に記されているように、一通り回答をいただいていますが、そのなかには各市の要望が受け入れられていなかったり、改善が図られてはいなかったりする提案もあります。そこで、中止になってしまった第2分科会の代替手段として、非公式のかたちではありますが、10月下旬に年金機構本部に伺い、意見交換を予定しています。その場において、改善要望の主旨を直接お伝えして、意見提案の実現に少しでも近づけていければと考えています。

――そのほか、厚労省や年金機構にはどんな要望がありますか。

青木係長 これから産前産後の免除申請や年金生活者支援給付金の制度が相次いで始まりますので、大きな制度改正や事務の変更があるときには、きちんと説明会を開いてほしいという要望をしています(今年の都市協の要望書にも入っています。)。
マイナンバーを年金事務に導入するときも、平成29年度は町田市が東京都国民年金協議会の幹事長市であったことから、厚労省と年金機構に説明会の開催を要望してきましたが、結局は、マイナンバーの利用が始まった3月5日前には開催することができず、その後の3月23日に、関東ブロックの4つの都市協理事市区が主催するかたちで、新宿年金事務所を借り、厚労省と年金機構から講師を派遣してもらい、ようやく開催にこぎつけることができたのです。そのときは、関東ブロックでの開催だったので、関東信越厚生局の管轄になることから、厚生局から信越の自治体も説明会の対象に加えてほしいという話があり、新潟市と長野市にもお声掛けをいたしまして、近隣市もお誘いいただき、最終的には150を超える自治体の国民年金の担当者にお集まりいただくことができました。
しかし、そのとき感じたのは、自治体が主導して国の制度である年金の事務説明会を実施したり、全国の自治体で開催したりすることは非常に難しいということでした。それは、国民年金以外の業務では、国と市町村の間に都道府県が入るので、国の説明を都道府県が聞き、それを市町村に伝えるしくみができていますが、国民年金の業務では、都道府県が関与せず、国・年金機構から直接、各自治体に指示が伝達される関係なので、自治体が全国規模で連携した説明会などを開催する取り組みができにくいのです。全国都市国民年金協議会が厚労省に説明会の開催を要望していますが、各市町村がそれぞれ個別に国に要望し、実現が難しいのであれば、都市協のような組織を通じて、法定受託事務についての説明会は国が開催する方向で考えていただきたいと思います。
そして、町田市の事情を言えば、町田市では市民センターの窓口に手続きに来るお客様もいますから、市民センターの担当者にもマイナンバーの事務取扱について指導や説明をしなければなりません。3月5日からマイナンバーの利用が始まるのに、正式な通知が出たのが直前の2月下旬ですし、説明会が実施後の開催ということでは、現場は混乱してしまいます。やはり、大きな制度改正や手続きの変更があるときには、事前に早めに説明会を開いていただきたいですね。

――実際に、国民年金の事務ではスムーズにマイナンバーが利用されているのでしょうか。

青木係長 平成30年3月5日から原則として、年金の手続きについてもマイナンバーで申請等をしていただくことになりましたが、マイナンバーカードや通知カードを持参して窓口にお出でになるお客様よりも、従来通り基礎年金番号での手続きが依然多い状況です。とは言え、お客様から届書をお預かりしたときに、マイナンバーが記入されていなくても、市から年金機構に電子進達するときには、マイナンバーを付与していますので、お客様の不利益になるようなことはありません。また、今後、年金機構ともマイナンバーによる連携が進んでいけば、所得情報についても市から情報提供する必要もなくなるので、情報連携されることにより負担も軽減されるのではないかと期待しています。

――今後の抱負についてお聞かせください。

清水課長 産前産後の免除や年金生活者支援給付金などの新しい制度が始まるので、電話や窓口での丁寧な説明が重要になってくると思っています。特に高齢の方ほど、わからないことがあれば市役所に聞こうと思う方が多いように感じています。職員全員が正確な知識をしっかりと持ち、お問い合わせいただく方々に的確なご案内ができるよう窓口サービスの向上に努めていきたいと思います。


左がいきいき生活部保険年金課の清水聡司高齢者医療・国民年金担当課長、右が青木和巳国民年金係長。
年金時代