年金時代

公的年金 年金部会経済前提専門委が報告案を審議

厚生労働省の社会保障審議会年金部会年金財政における経済前提に関する専門委員会(委員長=植田和男共立女子大学教授・東京大学金融教育研究センター長)は昨年12月25日、これまでの議論の経過を年金部会に報告するため、報告案について審議した。財政検証に用いる経済前提の基本的な考え方としては、財政検証の結果は人口や経済を含めた将来の状況を正確に見通す予測(forecast)というよりも、人口や経済等に関して現時点で得られるデータを一定のシナリオに基づき将来の年金財政へ投影(projection)するものという性格に留意が必要であると指摘。また、財政検証では長期的に妥当と考えられる複数のシナリオを幅広く想定したうえで複数ケースの前提を設定し、その結果についても幅をもって解釈する必要があるとした。また、長期的な前提の幅を設定するにあたっては、財政検証がおおむね100年にわたる超長期の推計であることを踏まえ、足下の一時的な変動にとらわれず超長期の視点に立ち妥当と考えられる範囲で設定する必要があることも加えた。

経済モデルの建て方とパラメータの設定については、資本や労働といった量的な生産要素の増加を除く質的な成長要因である全要素生産性(TFP)上昇率の設定を2014(平成26)年財政検証と同様、今後公表予定の内閣府「中長期の経済財政に関する試算」の設定を基に、より低い方向に幅広く設定することが適当としている。運用利回りについては、GPIFの運用利回りの実績を活用することが適切としているが、GPIFの運用実績はGPIFの運用目標や基本ポートフォリオの設定に依存する一方、GPIFの運用目標は財政検証の経済前提に基づき設定されているため、運用利回りの実績を活用するにあたっては年金積立金の市場運用開始後17年間の平均値のみを活用するのではなく、実績の変動の幅を踏まえる方法等により保守的な設定とすることが望ましいとしている。

委員からは、「前回も議論したが、保守的という言葉をパーセンタイルの下というような表現にして年金部会の委員がわかるようにしたほうがいい」など文言の修正を求める意見が出た。これらの意見については委員長と事務局で相談したうえで内容を固め、次回の年金部会に提出する予定だ。

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