年金時代

今後の財政検証の進め方について議論――第7回年金部会

厚生労働省の社会保障審議会第7回年金部会(部会長=神野直彦・日本社会事業大学学長・東京大学名誉教授)が1月30日に開催され、今年行われる財政検証の進め方について議論した。この日は、年金財政における経済前提に関する専門委員会での議論の経過や年金数理部会で財政検証のピアレビューを行う際の着目点について報告を受け、意見交換を行った。今後は、経済前提に関する専門委員会が取りまとめを行い、年金部会への報告が行われたうえで厚労省が財政検証に着手する。

経済前提専門委が議論の経過報告をまとめる

年金部会の下に設置されている年金財政における経済前提に関する専門委員会(委員長=植田和男・共立女子大学教授・東京大学金融教育研究センター長)では、平成31年財政検証に用いる経済前提等について昨年7月から検討を進めているが、このほど議論の経過報告を取りまとめて年金部会に提出した。経過報告では、財政検証に用いる経済前提の基本的な考え方として、財政検証の結果は将来の状況を正確に見通す予測(forecast)ではなく、現時点で得られるデータを一定のシナリオに基づいて将来の年金財政へ投影(projection)するものであるとした。また、財政検証では複数のシナリオを幅広く想定したうえで複数ケースの前提を設定し、その結果についても幅をもって解釈する必要があるとしている。このほか、運用利回りについては、GPIFの運用利回りの実績を活用することが適当だとしている。

権丈委員は「将来は不確実で予想ができないからこそ、投影を行い、PDCAサイクル(「Plan=計画」「Do=実行」「Check=評価」「Action=改善」)で言えばCの部分にあたる財政検証を行う。予測ではなく投影であることをまず認識することが重要だ。複数のシナリオに基づいて将来を投影するのだから、オプション試算は当然あってしかるべきだ」と強調。そのうえで「実質賃金上昇率と運用利回りのスプレッドという2つのポイントをしっかり理解していただきたい。それと同時に、賃金が上がれば給付も上がり、賃金が下がれば給付も下がるという自動調整メカニズムでは賃金上昇に連動しない部分が年金財政に大きな影響を与えるということも大切である。また、積立金から得られる財源は向こう100年くらい9%くらいだということをしっかり抑えておく必要がある」と述べた。

平成26年の財政検証では、一定の制度改正を仮定して将来的な給付水準がどの程度変化するかを見るオプション試算が行われ、①マクロ経済スライドのしくみの見直し②被用者保険のさらなる適用拡大③保険料拠出期間と受給開始年齢の選択制――を行った場合を試算した。年金部会や年金数理部会ではオプション試算が重要な役割を果たしたものと評価しており、今回の財政検証でもオプション試算を実施することとしている。

出口委員からは「オプション試算については、さらなる適用拡大を行う方向性であれば、所定労働時間や一定の収入があることを前提にするのはおかしい。本来のオプション試算の基本は、被用者全体を適用対象としたうえで一定の労働時間や収入を置くことにある。適用拡大という大きな理念や方向があるのであれば、条件をつけたオプション試算を行うのは根本的に違う気がする」、小林委員からは「オプション試算の内容は在職老齢年金を縮小あるいは廃止した場合の影響や、年金の受給開始可能期間を70歳以降に拡大した場合の影響、マクロ経済スライドによる調整がフルに発動した場合の試算も加えてほしい」、小野委員から「保険料拠出期間の延長に関しては、第2回の年金部会で過去のオプション試算をベースにしながらいろいろ工夫してほしいと言ったが、たとえば労働力調査によると、国民年金の第1号被保険者だと想定される自営業者や家族従業者のうち60歳以上の人が半分を超えている。これらの人を支え手からはずすという現行のしくみは非常にもったいないと思う。国庫負担の問題等あると思うが、こうした観点で試算してほしい」といった意見が出された。

 

経済前提専門委員会の議論の経過
昨年11月26日 / 昨年12月25日
年金時代