年金時代

公的年金 経済前提の設定に用いる経済モデルの取りまとめへ向け議論

厚生労働省の年金財政における経済前提に関する専門委員会(委員長=植田和男・共立女子大学教授、東京大学金融教育研究センター長)は2月21日、財政検証で使用する経済前提の設定に必要な経済モデル等について議論した。財政検証に用いる経済モデルは、国立社会保障・人口問題研究所による将来人口推計と労働政策研究・研修機構による労働力需給推計、内閣府による中長期の経済財政に関する試算を受けて設定される。将来人口推計は2017年4月に公表されていたが、労働力需給推計は1月15日に、中長期の経済財政に関する試算は1月30日に公表された。内閣府の試算は、アベノミクスで掲げたデフレ脱却・経済再生という目標に向けて、政策効果が過去の実績も踏まえたペースで発現する姿を試算した成長実現ケースと、経済が足もとの潜在成長率並みで将来にわたって推移する姿を試算したベースラインケースを設定。成長実現ケースでは、資本や労働といった量的な生産要素の増加を除く質的な成長要因である全要素生産性(TFP)の上昇率が足もとの水準である0.4%程度から1.3%程度まで上昇すると設定した。労働力については、労働力需給推計で「経済成長と労働参加が進むケース」を踏まえて推移するとしている。ベースラインケースのTFP上昇率は、将来にわたって0.8%程度で推移すると設定し、労働力は「経済成長と労働参加が一定程度進むケース」の労働力需給推計を踏まえて推移するとしている。

各種パラメータの設定について同部会では、TFP上昇率が内閣府試算の設定を基礎により低い方向に幅広く設定することが適当だとし、労働力については労働力需給推計に準拠しつつも労働参加が進まないケースについても幅広い前提のなかで設定することが望ましいとしている。そのため厚労省は、TFP上昇率について成長実現ケースからより低い方向に1.3%(ケースⅠ)、1.1%(ケースⅡ)、0.9%(ケースⅢ)、ベースラインケースからより低い方向に0.8%(ケースⅣ)、0.6%(ケースⅤ)、0.4%(ケースⅥ)と設定することを提案。労働力投入量の設定については、成長実現ケースと接続するケースⅠ~Ⅲを「経済成長と労働参加が進むケース」、ベースラインケースと接続するケースⅣ~Ⅵを「経済成長と労働参加が一定程度進むケース」と設定する案を示した(図表参照)。

図表

厚生労働省資料より。

委員からは、経済成長しなくても労働参加が進むケースや経済成長するが労働参加が進まないケースを設定するべきかどうかといった指摘のほか、将来人口推計や労働力需給推計、内閣府試算の詳細な内容を求める意見が出た。また、財政検証や経済前提は将来の予測ではなく、あくまでも投影であることをわかりやすく打ち出すよう要請する意見もあった。

専門委員会は次回取りまとめを行い、年金部会に報告する予定だ。それを受けて厚労省は財政検証に着手することにしている。

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