年金時代

公的年金 財政検証に用いる経済前提の報告案について審議、取りまとめへ

厚生労働省の社会保障審議会年金部会年金財政における経済前提に関する専門委員会(委員長=植田和男・共立女子大学教授・東京大学金融教育研究センター長)は3月7日、これまで議論を重ねてきた財政検証に使用する年金財政における経済前提について取りまとめ、検討結果を次回の年金部会へ報告することとなった。報告案では、経済前提の基本的な考え方として、財政検証の結果が人口や経済を含めた将来の状況を正確に見通す予測(forecast)ではなく、人口や経済等に関して現時点で得られるデータを一定のシナリオに基づき将来の年金財政へ投影(projection)するものという性格に留意が必要であるとした。また、財政検証では長期的に妥当と考えられる複数のシナリオを幅広く想定したうえで複数ケースの前提を設定し、その結果についても幅をもって解釈する必要があるとした。また、長期的な前提の幅を設定するにあたっては、財政検証がおおむね100年にわたる超長期の推計であることを踏まえ、足下の一時的な変動にとらわれず超長期の視点に立ち妥当と考えられる範囲で設定する必要があることも指摘している。

こうした考えの下、2028年度までの足下の経済前提は、内閣府による中長期の経済財政に関する試算に準拠して成長実現ケースとベースラインケースの2とおりを設定。2029年度以降の長期の経済前提は、経済成長と労働参加が進むケースⅠ~Ⅲと経済成長と労働参加が一定程度進むケースⅣ~Ⅴ、経済成長と労働参加が進まないケースⅥを設けることとし、資本や労働といった量的な生産要素の増加を除く質的な成長要因である全要素生産性(TFP)の上昇率をケースⅠで1.3%、ケースⅡで1.1%、ケースⅢで0.9%、ケースⅣで0.8%とした。(図表参照)。

図表

*厚生労働省資料より。

委員からは、これまでの審議の中で示されてきた過去の資料から、財政検証結果が投影であることを強調するものや、厚生年金の財源の内訳として財政検証で前提としているおおむね100年間を平均すれば給付の約9割が保険料と国庫負担で賄われることを示すものを報告の参考資料集に追加するよう要請する意見などが出た。この日出された意見は、委員長と厚労省で相談したうえで報告に反映されることとなった。

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