年金時代

企業年金 老後の資産形成で金融機関からヒアリング――政策対話

厚生労働省では、2040年を見据えた社会保障改革を進めるにあたって、従来の厚生労働行政の枠組みにとらわれず、関連分野の展開の視点を取り込むことを重要視し、根本匠厚生労働大臣主催で関係業界等と直接対話を行っている。4月15日には、第3回目として金融政策関係として政策対話を実施し、主に老後の資産形成についてヒアリングを行った。出席者からは、確定拠出年金(DC)の加入可能年齢を引き上げつつも健康状態や就労状態が多様化していることを考慮して60歳の給付開始年齢は維持してほしいといった提言や、制度のシンプル化、申請のデジタル化について提言があったと、対話終了後に厚生労働省企業年金・個人年金課の記者発表があった。また、企業年金・個人年金改革には普及率の目標設定が必要ではないかという提案や、終身年金の普及促進についての提言もあった。このほか、高齢者特有の経済行動から高齢期において金融面で気をつけたい事項や、高齢期の認知機能の低下に備えて任意後見制度と信託が有効という指摘があったという。
根本厚労相は、各金融機関の商品についての質問や、終身年金を義務化することの障害について質問した後、「社会保障改革を進めていくうえで非常に有益な時間だった。老後に向けた資産形成に関しては、とかく公的年金の話になりがちだが、私的年金についても高齢期の長期化に対応し、DCの加入可能年齢、中小企業へのDCの普及・拡大、普及に向けたオンラインによる手続の簡素化などさまざまなご提言をいただいたことに対して検討を加速化して実現を図っていきたい。さらには、認知症高齢者の増加を踏まえ任意後見などの成年後見制度の利用の促進を図るとともに、金融・福祉等の各種サービスの連携を進めていきたい」と取りまとめた。

企業年金・個人年金課は、積立NISAと個人型確定拠出年金(iDeCo)の役割分担について、「DCは老後に向けた引き出し不可能な自助努力であり、積立NISAは住宅の購入や教育費といった多様化するライフイベントに対応するための自助努力の促進として住み分けていきながら、長期化する高齢期へ対応していけるのではないか」との考えを示した。また、今回の政策対話をきっかけに新たに検討する場を設けるようなことはしないとしつつ、金融庁の市場ワーキンググループへの参加をはじめ引き続き金融庁との連携を密に取っていく姿勢を示した。

ヒアリングの出席者は以下のとおり(敬称略)。

高田 創
みずほ総合研究所株式会社 エグゼクティブエコノミスト
野村 亜紀子
株式会社野村資本市場研究所 研究部長
安藤 慎
東京海上日動火災保険株式会社 確定拠出年金部長
浦嶋 良仁
明治安田生命保険相互会社 法人営業企画部 審議役
石崎 浩二
三菱UFJ信託銀行株式会社 執行役員
八谷 博喜
三井住友信託銀行 プライベートバンキング部 成年後見・民事信託分野専門部長
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