年金時代

“がん”になったときの国の障害年金

がんも障害年金の支給対象です

障害年金は、病気やケガによる障害が原因で働くことや日常生活が制限される場合に受け取ることができる年金です。障害というと、手足や目、耳などの障害をイメージしがちですが、糖尿病や心疾患、高血圧などの内部障害や、うつ病などの精神障害も障害年金の対象です。

「がん」も対象となっており、国の定める障害認定基準以上の「障害の状態」が認められると、障害年金を受け取ることができます。がんそのものによる障害に限らず、がんに対する治療の結果として起こる全身衰弱または機能障害なども考慮されます。たとえば、抗がん剤の副作用による倦怠感や衰弱なども障害の状態とみなされます。

【参考】

国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/ninteikijun/20140604.html

がんの障害 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/ninteikijun/20140604.files/3-1-16.pdf

働いていても障害年金を受けられる可能性があります

就労していたら障害年金は受けられないと誤解されがちですが、働いているからといって必ず不支給になるわけではありません。がんの治療を受けながら、障害年金を受け取ってある程度の収入を確保できれば、働く時間を短くして働き続けるといった選択肢も視野に入ってきます。障害年金(1級・2級)を受け取っている期間中、国民年金保険料は免除されます。

障害年金を受け取りながら働いて、その後、病状が進行して働くことができなくなった場合には、障害年金の額を改定する請求ができます。より重い障害の状態が認定されれば、より手厚い障害年金に改定されます。

障害年金を受け取るための条件

障害年金を受け取るには、国の定める障害認定基準以上の障害の状態が認められなければなりません。ここで言う障害の状態とは、初診日から1年6ヵ月経過した時点の状態のことで、障害の状態を確認するこの日を「障害認定日」と言います。初診日は、障害の原因となった傷病により初めて医療機関などを受診した日のことです。

また、公的年金に加入して保険料を納付していないと障害年金を受けることはできません。肝心なのは「初診日に公的年金に加入していること」です。初診日に厚生年金保険に加入していれば、国民年金よりも有利な障害年金を受け取ることができます。

過去に未納期間があったとしても特例により、令和8年3月31日までの初診日については、初診日の直近1年間に未納期間がなければ保険料納付要件を満たしたとされます。

がんだからといって、1級になるわけではありません

障害認定基準の定める障害の状態は、1級、2級、3級、3級より軽い程度の4つに分けられ、これにより受け取る障害年金の金額が異なります。障害年金を請求して審査を受けると、国が障害の状態に該当するかどうか、どの等級に該当するのかを決定します。また、初診日に加入していた公的年金制度によって、受け取る障害年金のかたちが決まります。

図表●障害年金のかたち

 

障害基礎年金は40年間保険料を納付した場合の老齢基礎年金と同額を受け取れます

金額の目安として、2級の障害基礎年金が満額の老齢基礎年金と同額で、2019年度は78万100円です。1級はその1.25倍です。老齢基礎年金は保険料を納付した期間で金額が決まりますが、障害基礎年金は初診日前1年間に未納期間がなければ、40年間保険料を納付したのと同額(2級の場合)を受け取ることができます。子どもがいれば子の加算がつきます。

障害厚生年金は2級と3級が報酬比例の年金額、1級はその1.25倍です。障害の状態になるまでの加入期間と給与等に応じて金額が決まります。入社したばかりで障害の状態になったとしても、最低限25年間加入したとみなしてもらえます。1級、2級は配偶者がいれば加給年金額がつきます。障害手当金は年金ではなく、報酬比例の年金2年分の額を一時金で受け取ります。

なお、障害年金も老齢年金も遺族年金も、年金額は毎年度、改定されます。障害の状態が変わって該当する等級が変わったり、子どもや配偶者が新たにできたり条件を満たさなくなったりと、年金額は一定ではなく変動します。

障害年金を受け取るための手続はけっこう複雑です

障害年金は自分で請求しなければ受け取ることはできません。年金事務所や街角の年金相談センター(国民年金のみに加入しているときは市区町村役場)で請求手続をして審査を受け、審査に通れば障害認定日の属する月の翌月分から受け取ることができます。

手続は初診日を確認することから始まりますが、初診日には例外規定がたくさんあります。たとえば、10年前に会社で受けた定期健診の日が初診日として認められる場合もあります。すでに会社を退職していても初診日に厚生年金保険に加入していたことになりますから、障害厚生年金を受け取れる可能性が出てきます。

ただし、受け取れる障害年金は請求時点から溯って5年前までです。請求時に5年を経過した分については時効となり、受け取れません。

また、障害認定日にもたくさんの特例があります。たとえば新膀胱を造設したとすると、造設した日が障害認定日となり、その翌月から障害年金の受給が可能となります。初診日から1年6ヵ月を経過する前でも障害年金を受け取り始めることができます。

こうした例外規定や特例に加え、障害年金の請求にはたくさんの書類が必要です。年金請求書のほか、障害の状態を確認するための「診断書」が必要で、障害の種類に応じて8つの様式があります。請求が遅れて障害認定日から1年以上経過している場合には、診断書は2種類が必要になります(請求日前3ヵ月以内のもの、障害認定日から3ヵ月以内のもの)。「病歴・就労状況等申立書」は必ず提出し、戸籍謄本などの添付書類は必要に応じて提出します。

 

受け取るメリットの大きい障害年金ですが、さまざまな条件によって年金額が変わってきます。あてが外れることのないようしっかり確認しましょう。また、請求手続が複雑で労力がかかります。必要なことを整理してなるべく効率的に手続を進めましょう。

障害年金の金額の条件や請求手続をコンパクトにまとめた「障害年金マニュアルシート」

https://www.shaho.co.jp/shaho/shop/detail.php?Bc=33467


 

 

 

 

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