年金時代

雇用労働 障害や病気と仕事を両立できる社会へー平成30年版厚生労働白書

厚生労働省は7月9日、平成30年版厚生労働白書を公表した。今回の白書は「障害や病気などと向き合い、全ての人が活躍できる社会に」がテーマ。障害者雇用や治療と仕事の両立支援に関する現状や課題などを整理するとともに、すべての人が活躍できる社会の実現に向けて、①障害・有病者本人、②身近に障害・有病者がいる者(身近にいる者)、③障害・有病者ではなく身近にもいない者(その他の者)の視点から、取り組みの方向性などをまとめた。

障害者の実雇用率は前年比0.8ポイント増の2.05%と7年連続で上昇している反面、精神障害者の約5割、身体障害者の約4割、知的障害者の約3割が1年以内に離職しており、就労後の定着状況に課題がある。他方、有病者の就労状況を見ると、これまで不治の病とされた「がん」などの病気の生存率が医療技術の進歩等とともに向上しており、病気を抱えながら就労する者が増加。がん患者・経験者の就労状況では、離職した者が34.6%であるのに対し、治療を受けながら勤務を継続した者は47.9%と約半数を占めている。

白書の調査によると、現在働いている人の約9割が障害や病気を有していても仕事を続けたいと回答している。ただ、実際に就労を続けるにあたっては、①障害・有病者本人の66.3%、②身近にいる者の72.5%、③その他の者の75.8%が「治療と仕事の両立、または障害を有しながら働くことは困難だ」と思っていることもわかった。

一方、「地域や職場で障害や病気で困っている者がいたら助けたい」と思う人は、①障害・有病者本人で67.3%、②身近にいる者で76.9%、③その他の者で55.4%と、いずれも5割以上の高い割合を占めている。だが、実際に助けた経験がある者は多いとは言えず、過去1年間にそうした経験がある者は、①障害・有病者本人(39.9%)、②身近にいる者(35.4%)が3~4割、③その他の者は約1割(10.9%)にとどまった。

こうした現状を踏まえ白書は、すべての人が活躍できる社会の実現に向けた取り組みの方向性を考察。①障害・有病者本人に対しては、本人に寄り添いながら関係者と連携・調整して相談支援等を担う「両立支援コーディネーター」の養成や配置を促すほか、ハローワークを中心に地域の関係機関が密接に連携し、就労前の準備から就職後の職場定着まで一貫した支援を行うことが重要などとした。一方、②身近にいる者には、障害・有病者への理解を深めるよう、トップによる意識改革や職場の受け入れ体制の整備などの必要性を挙げた。③その他の者に対しては、障害・病気などを有する者の状況を知り、他人事ではないという意識を醸成するため、誰もが支え・支えられる地域共生社会の実現に向けた取り組みを強化することが重要と指摘。また、①障害・有病者本人や②身近にいる者に比べ、仕事との両立が困難と考える人の割合が高いことから、支援施策の周知を図るとした。

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