年金時代

雇用労働 副業・兼業の労働時間は通算しない案を示すー厚労省検討会

厚生労働省の副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会(座長=守島基博・学習院大学経済学部経営学科教授)は7月25日、同省が示した報告書案を一部修正して了承した。報告書は8月上旬に公表される予定。副業・兼業を行う労働者の労働時間管理については、企業側が複数の事業場の労働時間を日々厳密に管理するのは難しいため、労働時間の規制や割増賃金の算定にかかる労働時間の通算規定については一部緩和する案を示した。一方で、労働者の健康管理は規制強化を求める。同省は今後、副業・兼業における労働時間規制のあり方について、検討会の報告書を踏まえて労働政策審議会で検討を進める考えだ。

これまで副業・兼業を行う労働者に対する企業側の労働時間管理は、労働基準法第38条及びその解釈通達によって、他社で働いた分の労働時間も通算することが求められ、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」において、「労働者の自己申告により副業・兼業先での労働時間を把握する」とされていた。だが、検討会が実施した企業ヒアリングによると、日々の労働時間管理を労働者の申告により行うのは実務上難しく、また申告の真偽も確認が難しく、裁量労働制やフレックスタイム制などを採用している事業場ではさらに実務が難しくなることから、副業・兼業を認めている企業であっても、労働時間の通算の問題が生じないような働き方(非雇用や法定労働時間内での副業・兼業)しか認めていない場合が多いことがわかった。

こうした状況を踏まえ報告書は、副業・兼業を容認する企業の労働時間管理が容易になるしくみを提案。具体的には、▽あらかじめ事業主が副業・兼業が可能な上限時間を月単位などで設定し、その範囲内で副業・兼業を認めるしくみとすること、▽通算規定に関して副業・兼業の場合は厳密な遵守を求めず、適切な健康確保措置を講ずることを要件に、企業ごとに労働時間の規制を適用することなど、複数の選択肢を挙げた。また、割増賃金の算定に関しても、▽他社での労働時間は、週や月単位などの長い期間における所定労働時間のみを通算し、割増賃金の支払いを義務づけるしくみとすること、▽労働時間の通算はせず、事業主ごとに法定労働時間を超えた場合のみ割増賃金の支払いを義務づけるしくみとすることなどの選択肢を示した。

他方、副業・兼業を行う労働者の健康管理の観点からは、これまで通算規定がなかった労働安全衛生法上の健康確保措置について、通算した労働時間の状況に基づき対象とするなど、副業・兼業によって過重労働を招かないよう、現行の規制よりも強化した案を提案した。

年金時代