年金時代

年金局長に高橋俊之氏が就任

年金制度に対する正しい理解の普及に向けた取り組みについて

年金制度は必ず負担があって給付がある。負担なくして給付のことだけを考えるわけにはいかない。負担と給付をどういうふうにして成り立たせるかということだ。平成16年改正で財政フレームが完成し、平成26年財政検証でも示されたが、経済を成長させて労働参加を促進することや適用拡大を行って支え手を増やすこと、長期間働いて長期間保険料を拠出すること、繰下げ受給を選択することが年金の水準確保に効果的だ。こうした大きな枠組みのなかでどのようにしていくかということを国民にわかりやすく説明していく。それぞれの人にとって年金がどうなるかということを一人ひとりに理解していただけることが大事だと思っている。

わかりやすい通知や言葉づかいなどいろいろ取り組んでいるが、年金の基本的なしくみを知らない人にはわかりにくい説明が多い。そういうところを直していく工夫が必要だ。今年から年金ポータルを開設したが、わかりやすくするための工夫をしたつもりだ。ねんきんネットもいまよりもわかりやすくするため、サイトの改善を行い、来年ぐらいに公開する予定だが、それをさらによくしていきたい。日本年金機構で年金セミナーを年に3,000回ほど開いているが、講師を務める人のプレゼンテーション技術を高めるためのコンテストも行っている。どうしたらわかりやすく、伝わりやすく、伝わるような言葉で話せるかといったことも工夫していく。

こうした取り組みを組み合わせながらていねいに説明していくことが大事だと思っている。

事業運営面の課題について

当面は、年金生活者支援給付金を円滑に施行することが現在の年金局で最大の課題となっている。年金の新規裁定に合わせた申請書の提出は4月から始まっているし、市町村から所得情報を集めるプロセスはすでに動いている。7月末に機構にデータが届くので、要件を判定したうえで9月上旬をめどに該当者へはがき形式の申請書を送付する。対象者数が多いため、間違いや滞りがないように進めたい。

業務上の課題はいくつもあるが、デジタル化を推進してとにかく紙による作業をなくしていく。年金業務の現場は膨大な紙であふれており、データ入力など膨大な業務に追われている。デジタルでのデータ連携で迅速かつ正確に、業務コストも低減させ、利用者の利便性を向上することを徹底して追求していく必要があると思っている。来年には1億円以上の大法人の電子申請の義務化も順次スタートする。届出書作成プログラムに電子申請機能をつけて法人共通認証基盤(gBiz ID)を使用する。有料の電子証明書と違って「gBiz ID」は無料のため、中小企業や従業員が数人の事業所でも簡単に電子申請ができるようにしていきたい。電子申請は経過管理システムにつないで自動チェックできるようなシステム改修を行っている。

業務の迅速化のほか、事務センターの業務内容や作業手順なども見直す。健康保険証の迅速交付に取り組んでおり、繁忙期を除いて3営業日以内に交付するという目標を掲げ、ほとんどクリアできている。今後はそれをさらに磨いていきたい。

厚生年金の適用促進・未適用対策にも取り組む。未適用となっている人は156万人と推計されているが、厚生年金を適用することでより厚い年金を確保していただきたい。被用者で未適用の人について国税庁からデータ提供を受け、だいぶ適用が進んできているが、まだまだ未適用の人はいる。だんだん小さい事業所が対象になってくるので、大変だが進めていく。また、適用事業所だが適用していない従業員がいるという問題もあるため、事業所調査で毎年一定数適用に結びつける成果が出ているが、こうした取り組みを続けていく。

国民年金保険料の収納対策の推進も行う。平成30年度に過年度2年目となる平成28年度分の最終納付率は74.6%だったが、さらに納付率を上げていく。一定以上の収入がある人には、納付督励のあとも納付がなければ強制徴収を行う。免除基準に該当しながら長期未納の人にはしっかり免除勧奨をしていく。納付しやすい環境づくりも行う。

未納のまま低年金となってしまう人をなんとしても防ぎたい。保険料を納めていただくか、納められなければ免除手続をしてもらう。

こうした年金の基幹業務をより改善できるような法改正項目も検討しており、取り組んでいきたい。

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