年金時代

第57回全国都市国民年金協議会総会及び研修会が仙台市で開催

「国民年金制度改善についての要望書」を承認、厚生労働大臣に提出

研修会では5分科会で都市間・厚労省・機構が意見交換

第57回全国都市国民年金協議会総会及び研修会が、8月22日㈭、23日㈮、宮城県仙台市の仙台国際センターで開催された。1日目の22日は分科会、2日目の23日には総会、基調講演、分科会報告が行われた。国民年金事業に取り組む全国の都市国民年金担当職員、厚生労働省、日本年金機構が一堂に会し、都市間・国・機構の連携強化を図り、国への制度改善の要望や意見交換を行った。

 

第57回全国都市国民年金協議会総会及び研修会

1 分科会(8月22日)
○第1分科会:「制度全般」
○第2分科会:「資格適用」
○第3分科会:「保険料・納付免除」
○第4分科会:「給付1」
○第5分科会:「給付2」

2 総会(8月23日)
1.開会
2.会長挨拶:全国都市国民年金協議会会長 仙台市長 郡 和子
3.来賓祝辞:厚生労働大臣/日本年金機構理事長
4.来賓紹介
5.議長選出
6.議事:(ア)会務報告/(イ)議案審議 ・第1号議案 要望書について ・第2号議案 次期総会開催市について
7.閉会

3 基調講演(8月23日)
講師:古賀紳介・厚生労働省年金局事業管理課課長補佐
テーマ:公的年金等をめぐる動向について

4 分科会報告(8月23日)
分科会報告:前日に開催した分科会での協議の概要を各分科会リーダーより報告
講評:第57回全国都市国民年金協議会総会及び研修会について厚生労働省及び日本年金機構が講評

総会では国民年金制度改善の要望書を厚労省・機構に手交、次期開催都市は津市に決議

第57回全国都市国民年金協議会の事務局は開催市の仙台市、議長団は開催地区である東北ブロックの仙台市・山形市・福島市が務めた。総会では、冒頭、全国都市国民年金協議会会長の郡和子・仙台市長が挨拶。続いて根本匠・厚生労働大臣(代読:日原知己・厚生労働省年金管理審議官)、水島藤一郎・日本年金機構理事長(代読:安部隆・日本年金機構事業推進部門担当理事)が来賓祝辞を述べた。

厚生労働省および日本年金機構の職員が来賓として紹介された後、議長に仙台市の郷家貴光・健康福祉局保険高齢部長を選出した。議事では、会務報告に続いて、議案審議に入り、第1号議案「要望書について」では、4点16項目からなる「国民年金制度改善についての要望書」を審議。総会に出席した会員都市職員の拍手多数をもって承認された。引き続いて、根本匠・厚生労働大臣にあてた要望書が総会に出席した厚生労働省の日原知己・年金管理審議官に議長団の山形市から、日本年金機構の安部隆・事業推進部門担当理事に同じく福島市から手交された。

続いて、第2号議案の「次期総会開催市について」を審議した。全国都市国民年金協議会の総会開催地区は全国9ブロックの持ち回りとされ、来年の第58回は東海ブロックでの開催となることから三重県津市に内定。本総会において正式に決議され、開催市として津市が承認された。次期開催市・津市の松下康典・健康福祉部保険医療助成課担当参事兼課長は「次期総会は来年8月20日、21日の開催を予定しています。本日お集まりの皆様と来年度津の地でお会いできることを祈念します」と挨拶。以上をもって総会は閉会した。

総会終了後、厚生労働省年金局の古賀紳介・事業管理課課長補佐が「公的年金をめぐる動向について」と題して基調講演を行った。古賀課長補佐は、①日本の「今」の姿と「未来」の姿②公的年金制度改正の大きな流れ③公的年金制度における市区町村の役割――について話した。

続いて、前日開催された5つの分科会について、各分科会のリーダーが分科会報告を行い、最後に、厚生労働省の古賀課長補佐、日本年金機構の森山茂・国民年金部国民年金適用グループグループ長及び神陽美・年金給付部給付企画グループグループ長が講評を行い、第57回全国都市国民年金協議会総会及び研修会はすべての日程を終了した。

会長挨拶:全国都市国民年金協議会会長 仙台市長 郡 和子

本年度の全国都市国民年金協議会長を仰せつかりました、仙台市長の郡和子と申します。本日は厚生労働省および日本年金機構の皆様方にご列席をいただき、そして、全国の会員都市から日々年金事務に精励する多数の職員の皆様方のご出席をいただくなかで第57回の全国都市国民年金協議会総会及び研修会が盛大に開催されることを心から御礼を申し上げます。令和初となる本総会がここ杜の都仙台で開催されることは誠に光栄で全国から仙台にお越しの皆様方を心から歓迎します。
いまから8年半前になりますが、東日本大震災の折には義援金や応急物資の提供、応援職員の派遣に加えて、保険料に関わるさまざまな特例措置や被災地の皆様方にも出張相談の実施などこの場にご来場の多くの皆様方から多大なるご支援をいただき、改めて深く御礼を申し上げます。本総会の東北ブロック開催は震災後初ということですが、本日は本市以外の被災自治体の職員も出席をされていますが、この間、全国からいただきました温かいお力添えに対しまして、被災地として改めて感謝を申し上げます。
さて、国民のみなさんが将来のリスクにそなえ安心した毎日を送るためには国民年金制度の着実な運用が必要です。厚生労働省と日本年金機構そして全国各都市のこの三者が諸課題を共有し、連携を強化する本総会、研修会がきわめて重要な場です。昨日は年金制度の課題を掘り下げる分科会が開催され、活発な意見交換がなされたと伺いましたが、それぞれの成果を持ち帰って、年金事務に係る住民サービスの更なる向上などにつなげていただくことをわたくしからも心から期待します。
結びになりますが、本総会及び研修会が実り多きものとなりますとともにご参会の皆様方のますますのご健勝、ご活躍をお祈りしまして、わたくしからの挨拶にさせていただきます。

 

来賓祝辞:根本匠・厚生労働大臣(代読:日原知己・厚生労働省年金管理審議官)

第57回全国都市国民年金協議会総会の開催にあたりご挨拶いたします。
全国都市国民年金協議会の皆様には日ごろから国民年金事業の円滑な推進と不断のご尽力を賜り厚くお礼申し上げます。また、本日、全国約210都市の国民年金担当者の皆様が一堂に会し、貴協議会総会を盛大に開催されますことを心からお祝い申し上げます。
わが国では少子高齢化の進展など国民生活をめぐる環境が変化するなか、公的年金制度をはじめとする社会保障制度を守り、進化させ、次の世代に受け継いでいくことがますます重要となっています。とりわけ公的年金制度は社会保障給付費約120兆円の5割弱を占め老後の所得保障や万一の場合の備えとして国民生活の支えとなっており、地域住民にもっとも身近な行政主体である市区町村のご協力をいただきながら、制度の運営にあたっています。
本年4月からは産前産後期間に係る保険料の免除制度が始まっており、また来る10月には年金生活者支援給付金の支給が開始されます。初年度である今年度は特に制度の確実な施行のため市町村の皆様との連携が重要となっています。引き続きご協力をいただきますようお願いします。
本年4月20日には3回目となる市区町村国民年金事業功績厚生労働大臣表彰を行いました。今年度は全国から5市を表彰させていただいたところで、今後も先駆的、独創的な取り組みをしていただきたいと考えています。
本日の総会が国民年金事業の安定的な運営に向けて大きく寄与するものとなると同時に、市区町村と日本年金機構、厚生労働省との協力・連携をいっそう推進するうえで実り多きものとなることを強く期待しています。
全国都市国民年金協議会のますますのご発展とお集まりの皆様のご健勝とご活躍を祈念してわたくしの挨拶といたします。

 

来賓祝辞:水島藤一郎・日本年金機構理事長(代読:安部隆・日本年金機構事業推進部門担当理事)

本日、ここに全国都市国民年金協議会が開催されるにあたり、一言ご挨拶申し上げます。
全国都市国民年金協議会の皆様には日ごろより国民年金事業の円滑な推進に特段のご配慮、ご尽力を賜り、厚く御礼を申し上げます。また、令和最初の総会が開催されますことに心よりお祝いを申し上げます。
始めに本年10月より施行される年金生活者支援給付金制度についてですが、まずは所得情報の提供にご尽力賜り厚く御礼申し上げます。そして地域住民の方から寄せられたご相談への対応に日々ご尽力いただいていることと思われます。皆様方のご協力に改めて御礼を申し上げます。
現在、当機構では給付金請求書の送付に向けて準備を進めているところです。受給者となる方より提出された請求書を正確に審査し、一人も漏らすことなく、確実にお支払いするために職員一体となって事務に当たりますので、皆様方には変わらぬご協力を賜りますよう引き続きよろしくお願いします。
さて、当機構の基幹業務である、国民年金事業については、本年6月に公表しました平成30年度分の現年度納付率は全国ベース68.1%、前年度よりプラス1.8ポイントを確保することができ、7年連続で上昇しています。また、平成28年度分の最終納付率は74.6%に達し、統計を取り始めた平成14年度以降、最高値という結果でした。これもひとえに皆様方が地域住民の方に対して国民年金制度についてていねいな説明を行い、資格取得届の受理時に口座振替の利用勧奨や免除勧奨なども積極的に実施していただいた結果であると思います。
本年3月で平成26年4月からの第2期中期計画期間が終了しましたが、この5年間を振り返りますと、基幹業務につきましては国民年金の納付率、受給資格期間の短縮を始めとした制度改正への対応など高い実績を達成してきました。繰り返しになりますが、皆様方のご尽力あっての実績です。改めて感謝を申し上げます。
今年度より第3期の中期計画期間に入っていますが、この間に取り組むべき計画を「未来づくり計画」と名付け、取り組んでいくこととしています。未来づくり計画では平成28年度から3年にわたって集中的に取り組んできた再生プロジェクトを発展的に継承、拡充していくとともに人口の構成や働き方の変化、ICT化の更なる進化、増加が見込まれる外国人への対応など当面の社会経済情勢の変化に適切に対応し、地域社会における機構の果たすべき役割を踏まえ、各種の施策を進めてまいります。
さらに制度改正については、改正面やシステム面など十分な準備をしたうえで制度を実務にする組織として円滑かつ正確な事務遂行をはたすために引き続き職員一体となって取り組んでいきます。そのなかで皆様方とわたしども日本年金機構が協力、連携を図ることは非常に重要であると考えています。
本年度においてはいわゆる無年金者を無くすということを取組方針に掲げ、地域社会の一員として国民生活の安定に寄与するための取組を充実させていきますので、皆様方には引き続きご協力をお願いします。そのほか、市区町村への早期の情報提供や実務的かつ実践的な研修会の実施についても皆様方のニーズに十分にお応えすべく取り組んでいきます。
最後になりますが、引き続き、地域住民の方の年金権の確保に向けて国民年金制度の普及・啓発活動に皆様方のご支援とご協力をお願いするとともに全国都市国民年金協議会のますますのご発展とご列席の皆様方のご健勝とご活躍を祈念しまして、わたくしの挨拶とします。

 

*要望部分のみを抜粋

厚生労働大臣
根本 匠 様

国民年金制度改善についての要望書

1.国民年金事務の一元化

⑴国民年金事務の日本年金機構への一元化
すべての国民年金事務を日本年金機構へ一元化することを要望する。併せて、一元化を図るにあたっては、住民サービスや利便性確保の観点から、希望により日本年金機構の出先窓口を市区町村庁内に設置できるようにすることも、検討すること。なお、国民年金事務の一元化が実現されるまでの間、段階的措置として、次の⑵から⑷までの事項について早急に対応されたい。

⑵障害年金事務の窓口一元化
窓口一元化の第一歩として、年金記録を保有し、専門的な職員体制の構築が可能な日本年金機構における障害年金事務の窓口一元化の早期実現を強く要望する。併せて、次の段階的措置として、給付全般の窓口一元化についても検討を進めること。

⑶障害年金請求書不備の場合の本人への直接返戻
市区町村での受付時に不備がない場合は、障害年金センターから本人へ直接返戻するよう変更すること。

⑷研修及び情報提供の充実
住民サービスの向上を図るため、市区町村職員の知識確保の機会として、厚生労働省及び日本年金機構主催の研修をより充実されたい。今年度は、新規制度の説明会の開催が実現しているが、引き続き、従来制度の運用に関しても研修を実施するなど、さらなる充実を図るよう要望する。なお、研修等の開催にあたっては、市区町村の予算計上が可能な時期までに周知することを重ねて要望する。また、被保険者および受給者へ送付される書類について、問合せが多数寄せられる市区町村に対しても引き続き情報提供をされたい。

2.国民年金事務交付金について

⑴国民年金事務に要した経費の全額支給
国民年金事務に要した経費全額を支給するよう強く要望する。併せて、超過負担が解消されないのであれば、法定受託事務内容の縮減もしくは簡素化を図るよう検討すること。

⑵算定基礎及び算定項目の見直し
本年実施の実態調査に基づき、市区町村の実際の事務量を反映する仕組みへの変更を強く要望する。また、「マイナンバー制度」の導入に伴い国民年金事務費交付金が急激に下がらないよう特段の配慮を行うこと。

⑶事務費交付金等の事務軽減
交付金申請や決算にかかる事務は複雑かつ膨大であり、短い期間での報告となることから、市区町村の負担が非常に大きいため、簡略化を図ること。また、交付金変更にかかる通知については各市区町村の予算編成時期を考慮すること。また、年金生活者支援給付金支給業務市町村事務取扱交付金についても、別途申請書の作成で一層事務が煩雑化することを避け、事務費交付金等と一括で申請できるよう要望する。

⑷システム改修費用の全額交付
改修の必要性の判断や、予算措置や回収作業の期間を確保するためには、仕様書等で回収内容を把握することが不可欠であり、適切な時期に具体的な仕様や改修についての情報提供を行うことを強く求めるとともに、システム改修費用について全額交付できるよう対策をとられたい。

3.国民年金制度に係る要望について

⑴情報連携について
日本年金機構において管理する住民情報と、住民基本台帳情報とが合致せず、所得情報の提供事務や、納付書未送達者についての照会、転入事実調査等が効率的に処理できない原因となっている状況を改善されたい。被保険者及び受給者の情報管理について、同様に改善を検討されたい。また、被保険者が海外に転出した際の職権による資格喪失については、情報連携で取得した情報に基づいて日本年金機構が対応されたい。

⑵年金生活者支援給付金制度について
ターンアラウンド請求書を2年目以降も支給対象候補者へ送付することを検討されたい。また、郵送にかかる費用を支給対象候補者に負担させないこと。生活保護部局との情報共有を適切に行うことが出来る事務処理方法や仕組みについて早急に検討されたい。

⑶法定免除について
希望により納付を優先できるよう、制度の改正を検討されたい。また、障害基礎年金を受給しているが法定免除が適用されていない方を抽出し、制度の周知と手続きの勧奨を行うように要望する。

⑷障害基礎年金の子(施設入所者)の加算に係る生計維持関係の適正化
障害基礎年金受給権者本人が自ら子育てできず、かつ、施設入所の費用負担がないのであれば「生計維持関係なし」として取り扱うなど、適正化を図ること。

⑸老齢基礎年金請求書内への支給開始年齢確認ページの設定
老齢基礎年金の請求書本体に、機構独自様式である繰上げ・繰下げ意思の確認ページを設けられるよう法整備等を行うこと。

4.日本年金機構への要望

⑴事務処理体制の強化
日本年金機構は、年金事務所、ねんきんダイヤル及びねんきん加入者ダイヤルにおいて正確な応答ができるようスキルの抜本的改善を図るとともに、人員体制を整え、回線数を大幅に増加して応答率の向上を図ること。多くの電話問い合わせが予想される郵便物の発送数の平準化や相談期間の見直しなども検討し、確実な対応を図られたい。併せて、高齢者も電話しやすいよう自動音声案内ガイダンスを見直すよう強く要望する。また、ねんきん加入者ダイヤルについては氏名検索・配偶者情報等回答項目を追加し、迅速に照会対応することを検討されたい。

⑵組織内連携の強化と適正な事務処理
今後、全国で集約化を進めるにあたり、市区町村にも照会先を明確に示すとともに、照会に対して速やかに対応できるよう、組織内連携の強化を図ること。また、書類の誤発送等の事務処理上の問題も散見されることから、適正な事務処理が行われるよう体制の強化を求める。

⑶外国人住民への対応について
今後一層の増加が見込まれる外国人住民への対応について、各種様式、パンフレット等の多言語対応はもちろん、日本語に不案内なことによる不利益が生じることの無いような強力なサポート体制を要望する。また、氏名の読み方が異なる場合等は、過去の記録と繋がらないといった事態が容易に起こり得ることから、入国時の登録やマイナンバー情報連携を用いた一貫した対応について早急に検討されたい。

令和元年8月23日
全国都市国民年金協議会
会長 仙台市長 郡 和子

議長団(左側)から厚生労働省・日本年金機構に要望書を手交。

 

基調講演:古賀紳介・厚生労働省年金局事業管理課課長補佐「公的年金をめぐる動向について」

本日は、①日本の「今」の姿と「未来」の姿②公的年金制度改正の大きな流れ③公的年金制度における市区町村の役割――の3点についてお話します。

昔、わたしが厚生労働省の先輩に言われた年金制度は大きな船のようなものだと言う話をきっかけとして、お話をさせていただきます。これから少子高齢化を迎えていく中で、日本が少子高齢社会を乗り切るにあたってはまさに年金こそがその筆頭になる船であるということを教えてくれた先輩がいました。日々の業務の中で見失いがちになってしまうが、この船がどこに向かっているのかを考えたほうがいいと教えてくれました。そこで、今日は日本がどこに向かっていて、年金はどういう役割を果たすべきなのかということを話したいと思います。

①日本の「今」の姿と「未来」の姿

日本は、少子高齢社会と言われていますが、なかなか数字のインパクトは大きくて、1億人を超える人口をだいぶ長く日本は維持してきたのですが、2065年には9,000万人を下回ると言われています。そのなかで65歳以上の人口割合が38%台の水準になると推計されています。そこで、社会全体の支え合い構造の見直しが必要になってきます。今日これからお話ししようと思っている年金生活者支援給付金やマイナンバー制度が社会全体の支え合い構造の見直しをするにあたって必要になってくるのです。

②公的年金制度改正の大きな流れ

こういう社会構造になってくることが予想される中で日本政府はどういうかたちで公的年金制度を改正してきたかを説明します。昭和17(1942)年の労働者年金保険法(昭和19(1944)年に厚生年金保険法に改称)の発足から、さまざまな改正をしてきましたが、高齢化への対応ということで、今回の話の肝となるのは平成16(2004)年に行いました平成16年改正と言われているものと、平成24(2012)年の社会保障・税の一体改革です。

平成16年改正は、画期的な改正だと言われていますが、それまでは、年金制度はこれから迎える高齢社会においてどれだけ保険料が高くなるのかということが制度改正におけるメインの議論でした。ところが、16年改正後はまず保険料率を厚生年金で言えば18.3%で固定する。そのうえで基礎年金国庫負担割合を2分の1に引き上げることを決めました。積立金を活用することも決めました。概ね100年間で財政均衡を図る方式とし、財政均衡期間の終了時には給付費1年分程度の積立金を保有することとして、積立金を活用し後世代の給付に充てることにしたのです。そして、今申し上げたようなかたちで確保される財源の範囲内で給付水準を自動調整する仕組み、つまりマクロ経済スライドを導入して、現役世代の人口減少とともに年金の給付水準を調整することにしたのです。

そして、国庫負担割合の2分の1への引き上げということが年金制度という船を安定させるために必要な財源だったのですが、消費税率5%による財源ではどうしても国庫負担割合2分の1の財源を確保することができなかったので、平成24年に社会保障・税一体改革が当時の民主党政権のもとで行われました。それによって消費税財源も基礎年金の国庫負担割合2分の1の財源に充てるという改革がなされました。消費税率を5%から10%に引き上げるとともに、消費税財源を社会保障の充実・強化と財政再建に充てるとことにしたのです。

ところが、消費税率の引き上げには、年金生活者支援給付金が必要となってくる素地がありました。というのも、消費税は逆進性が強いと言われます。逆進性というのは所得が低い、いわゆる貧しいと言われる層がより負担が大きくなるという仕組みです。したがって、低所得者に対して年金に一定の加算をしたらどうかという話が出てきました。そこで、低所得者年金加算を盛り込んだ年金機能強化法案が平成24年通常国会に提出されたのです。

ところが国会審議の中で、年金給付は本来、現役世代の保険料納付に応じて額が決まるものであるという点に着目し、次のような懸念があげられました。事後的に年金額を決める年金加算は社会保険方式になじまないのではないか、一律の年金加算は保険料納付意欲に悪影響を与える可能性もあるのではないかなどの理由で、民主・自民・公明の3党協議を経て、年金加算を法案から削除し、次のように修正することとしました。一つが年金額への加算ではなく、年金制度の外に新たな仕組みを設けること、もう一つが保険料納付意欲に悪影響を与えないよう保険料納付済み期間に応じた納付額とすること。そうしたことから、3党合意の結果に基づき、年金受給者である低所得高齢者に対し、消費税を財源とした給付金を支給する制度を創設することとして、年金生活者支援給付金の支給に関する法律が第181回臨時国会において成立、消費税引き上げ年度から実施することとされたのです。

年金生活者支援給付金は所得の逆転を生じさせないよう、低所得高齢者の範囲に該当しない一定範囲の者に対しても、補足的な給付を行うことから、市区町村の皆様にも所得情報の提供などでご協力いただいているのはこういった背景があるからなのです。そして10月1日に消費税率が10%に引き上げられるときに、年金生活者支援給付金が施行されることになります。したがいまして、皆様には引き続きご協力をお願いします。

年金生活者支援給付金の広報スケジュールですが、10月1日の制度施行に向けて様々な広報を始めています。テレビでのCMであったり、厚生労働省のHPで特設サイトを設けたり、給付金の専用ダイヤルなども7月から開始しています。
年金生活者支援給付金のターンアラウンドの請求書は対象となるであろう方には8月末から発送を始めます。9月には市町村にポスターを配付する予定です。皆様方のお手元に届きましたら周知をお願いします。ターンアラウンドの請求書には氏名、電話番号など最低限のことを書いていただき、提出していただくだけで給付が受けらえるようになっています。8月末から順次対象者に配りますので、皆様のところに対象者となる方がお問い合わせに来ましたら、ご説明をお願いします。

ターンアラウンド請求書に同封されたリーフレットには給付金のお問い合わせの「給付金専用ダイヤル」が記載されています。これも順次、回線を拡大しているところです。もしご説明に困った場合は、専用ダイヤルをご案内ください。

つぎにマイナンバーについてですが、これも社会保障・税の一体改革で導入されたものです。消費税率の引き上げは国民の皆様に負担をかけることになりますので、そこで必要とされていることは、「真に手を差し伸べるべき人に対する社会保障を充実させる」べきではないか、無駄のない社会保障を充実させるというメッセージです。そこで社会保障・税共通の番号制度を導入するということが、社会保障・税一体改革の議論の中で出てきたのです。そして、平成23年6月の社会保障・税番号大綱において、番号制度の目的が規定されました。平成24年2月にはマイナンバー関係3法案が閣議決定されて第180回国会に提出。継続審査となった第181回国会で衆院解散に伴い廃案となってしまったのですが、平成25年3月、マイナンバー関係4法案が第183回国会に提出され、同年5月、4法案は可決公布されました。

そして、今年7月からは年金分野でのマイナンバー制度の利用及び情報連携で本格運用が開始され、機構から地方自治体等への照会が始まっています。主に市町村の皆様には添付書類が省略されたり、照会業務が簡素化されたりしています。今後は10月を目処に、国民年金保険料の免除・納付猶予の申請及び学生納付特例の申請で、情報連携により所得証明書、離職証明書等が省略できるようになりますので、引き続き、ご協力をお願いします。また、免除業務におけるマイナンバーの本格運用に伴い、「情報連携の結果、未申告者であるとの地方税関係情報を取得した場合においては、所得の申告義務が課されている者は適切に申告義務が課されている者は適切に申告を行っているとの理解等の下、当該未申告者を全額免除の基準額以下の所得の者として取り扱うことを予定している」ということで準備をしています。

社会保障・税一体改革のなかで政府は社会保障制度改革プログラム法を成立させています。そのなかでは、公的年金制度の検討課題として、①マクロ経済スライドの在り方②被用者保険の適用拡大③高齢期の多様な年金受給の在り方④高所得者の年金給付の在り方や年金課税の在り方の見直し――の4つが検討課題としてあげられていました。①マクロ経済スライドの在り方②被用者保険の適用拡大――は平成28年改正法で対応しました。

そして、平成28年年金改革法成立後の検討規定には短時間労働者の適用拡大について検討することなど、4つの課題について検討していくことを規定していますが、これがいまの安倍政権における社会保障、年金制度改正の方向性です。年金制度改正の方向性としては、大きく2つありまして、ひとつはフルタイムだけでなく多様で柔軟な働き方の受け皿を作るということ、もうひとつは「人生100年時代」の到来ということで、より長い期間働くことがマクロ経済の面からも、また、長期化する個々人の高齢期の経済基盤の充実の面からも重要になってきているということです。そして、いま年金制度で対応しようとしている方向性が、年金制度の担い手としての被保険者範囲の拡大と高齢期の就労拡大への対応ということなのです。

短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大については、平成28年10月から、501人以上の企業で、月収8.8万円以上の要件を満たす短時間労働者に適用を拡大。平成29年4月からは500人以下の企業で、労組の合意に基づき、企業単位で、短時間労働者への適用拡大を可能としました。501人以上の企業を対象とした、平成28年10月から実施の改正では、約3万事業所で37万人近くが厚生年金のグループに入ってきています。平成29年4月実施の適用拡大については、だいたい2,000事業所、3,000人近くが労使の合意に基づき申請をしていただいたうえで厚生年金の適用拡大の対象となっています。

高齢期の働き方に対して中立的な年金制度のあり方ということで、在職老齢年金が高齢者雇用に与える影響を分析してみますと、60歳台が就労形態を選択する際に影響を与える要因分析によると、60歳台全体では、在職老齢年金による支給停止がなかった場合フルタイム就業を選択する確率は2.09%ポイント(約14万人相当)上昇するとされています。他方、年齢別に見た場合、65歳以上では年金支給の基準額が高いことなどから在職老齢年金制度による年金停止が比較的起きにくいため影響は小さいのです。今後の年金制度改正のなかで働き方を阻害しないような中立的な年金制度の在り方を検討しているところです。

次に、外国人への適用についてですが、今年の4月1日から特定技能という新しい枠組みで外国人の受入れを始めています。新たな在留資格を取得した外国人については、特定技能外国人の受入れに関する審査に当たり、社会保険制度上の義務の履行状況などを確認することとし、過去にその納付すべき社会保険料を一定程度滞納するなどした受入れ機関については受入れを認めないとしています。そこで、法務省から厚生労働省等に対して、特定技能外国人の氏名・性別・生年月日・住所や帯同家族の情報や受入れ機関に係る情報の提供を受け、外国人の社会保険加入促進に取り組んでいます。また、保険料を一定程度滞納した者からの在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請については不許可とすることを徹底し、こうした対策については市町村にも周知徹底を図り、法務省とも連携して対応していくこととしています。

③公的年金制度における市区町村の役割

年金は、地域経済を支え、介護保険、国民健康保険、後期高齢者医療の保険料や住民税は、年金から特別徴収されていることから市区町村の基幹行政を支えています。また、一人ひとりの住民の生活を支えていることから、市町村行政とも深い関わりがあります。そこで、市区町村ともこういった全国都市国民年金協議会のような場を通じて連携していきたいと思っています。

皆様と意見交換や分科会に参加して感じたことをお話しさせていただこうと思います。私はアメリカに留学経験があるのですが、そこで感じたことは、アメリカと日本の違いは公務員制度に対しての信頼感だと思いました。日本は公務員制度に対しての信頼が非常に高い。そして、厚生労働省では市区町村国民年金事業功績厚生労働大臣表彰をやっていますが、市町村が工夫をして独自でユニークな取り組みをしていることは、日本の強みだと思いますし、日本のお宝だと思っています。日本が年金制度を軸にして、皆様が年金生活者支援給付金やマイナンバーに日々取り組まれているご尽力が年金制度には必要です。そして世界中が、日本がこの少子高齢社会を乗り越えるかどうかを注目しています。そうしたなか皆様の存在が日本の強みなのです。引き続き皆様からのご意見をお聞きしたいと思っていますし、皆様からのご指導ご鞭撻をいただきたいと思っています。

分科会報告:5つの分科会で都市間・厚生労働省・日本年金機構が意見交換

●第57回全国都市国民年金協議会「分科会議題」一覧

名称  テーマ 分科会ごとに選定した主な議題
第1

分科会

制度全般 ○国民年金事務費交付金について
○産前産後期間保険料の免除・マイナンバー・年金生活者支援給付金事務について
○可搬型窓口装置の取扱いについて
第2

分科会

資格適用 ○外国人対応(新規付番・適用推進・海外転出時の事務)
○未加入期間の取扱い
○マイナンバー情報連携開始に伴う事務の変更
第3

分科会

保険料・ 納付免除 ○申請免除の退職特例の根拠資料
○加入時に免除申請している方への納付書送付について
○産前産後期間の保険料免除事務
第4

分科会

給付1 ○生計同一証明(証明書の簡素化・未支給年金請求者の認定要件)
○障害年金(却下後の再請求)
○年金生活者支援給付金事務
第5

分科会

給付2 ○障害年金(却下の際の通知文・却下後の再請求)
○未支給年金(別戸籍の場合の請求・請求者の認定要件)

 

第1分科会テーマ「制度全般」
報告者:大分県大分市国保年金課国民年金室・那須尚美室長(第1分科会リーダー)

はじめに厚生労働省からマイナンバー、情報連携および年金生活者支援給付金についてパワーポイントを使って説明していただいたのち、第1分科会「制度全般」に関する分科会テーマ7項目のうち、事前調査により皆様から要望の多かった3つのテーマについてパネルデスカッションを行いました。3つのテーマは①産前産後期間保険料の免除・マイナンバー・年金生活者支援給付金について②国民年金事務費交付金について③可搬型窓口装置の取扱いについて――で、その3点についてパネラーを中心に意見・要望をいただいたのち、厚生労働省および日本年金機構から回答・説明をいただきました。
分科会は内部研修会という位置づけであったため、自由な雰囲気のなか活発な意見が示されました。会の最後には短い時間でしたが、小グループに分かれて都市ごとに名刺交換、意見交換を行いました。
分科会テーマの3つについて主なディスカッションされた内容を紹介します。
1点目のテーマである産前産後期間保険料の免除・マイナンバー・年金生活者支援給付金については、マイナンバー・情報連携に関するものを紹介します。厚生労働省の最新の制度説明では、本年10月以降のマイナンバー・情報連携の本格運用の開始に当たり、免除申請事務における前年度所得状況については添付書類が省略されることになること、それに伴い、未申告者の取扱いを見直し、年金生活者支援給付金と同様に未申告者を非課税者として取扱うことになること。このために本年11月から使用する免除申請書の様式を変更し所得の申請欄を削除したものとする省令改正案のパブリックコメントを8月19日から実施していることなどの説明がありました。
それについて、都市側からは申請書の様式の変更の場合、都市によってはシステムから様式を直接出力しているためシステム変更しなければならなかったり、窓口での事務取扱いの変更等を支所に案内しなければならなかったり、都市にとっては大きな問題であることから情報提供をもっと早くしてほしいといった意見が出されました。
これに対して厚生労働省からは免除申請書の所得欄の削除はマイナンバー情報連携に伴う様式の変更であるため、このタイミングとなったが今後も可能な限り早めに情報提供していくとの回答をいただきました。なお、今回第1分科会にて配布された最新制度説明のパワーポイント資料についてはできるだけ早く厚生局を通じて全市区町村に配布していただくよう厚生労働省にお願いしました。
次に2点目のテーマの国民年金事務費交付金についての主なものとしては来年4月から導入される会計年度任用職員制度についてです。本制度のスタートにより現在嘱託員として報酬で支払っている者が来年度以降は給与として支払われることとなるため、これまで物件費に計上していたものが人件費での計上となります。そのため現時点で人件費が算定額を上回っている場合、人件費は頭打ちのため増額せず、単に物件費が減ることにより交付金額が今より減少する実態も多いかと思います。そこで都市側から早めの対応をお願いしたところ、厚生労働省からは、交付要件も含めて今後の対応を検討しているとの回答をいただきました。あわせて窓口業務を外部に委託している市区町村もあることから同様に検討していただくよう要望しました。
3点目の可搬型窓口装置の取扱いについてですが、今年に入り全国的に機器が更新され、IDが個人単位となって以降、1都市に1台の配置であるため、窓口にて複数人で使用する場合にサインアウトに時間がかかり、再度立ち上げるまでにかなりの時間を要することから、目の前に来られている市民を待たせなければならない状況が生じています。第1分科会に出席者の約半数の都市で窓口対応に使用しているとのことなので、至急改善していただくよう要望したところ、日本年金機構からは機構本部内でも事態を共有しており、システム担当部署も都市の担当者が困っている状況を把握しているとの回答をいただきました。これについてもセキュリティとの関係もあるが市区町村の窓口において、目の前の市民の迷惑にならない方法を検討していただき至急改善してほしいと強く要望しました。

第2分科会テーマ「資格適用」
報告者:千葉県松戸市国民年金課・佐野晋作主査(第2分科会リーダー)

第2分科会では「資格適用」をテーマに、外国人の適用事務を中心に、未加入者の適用事務、マイナンバーによる情報連携の3つのテーマについて、議論の進め方としては、小グループにわかれ、意見交換を行い、各自治体の対応方法、課題点、疑問点などを話し合い、その内容を共有するとともに厚生労働省、日本年金機構にコメントをいただく形で進めました。
まず外国人の適用事務ですが、自治体から示された主な意見は以下の6点です。
「外国人対応については言語の問題もあり、年金制度を理解してもらうための説明、書類を一つ書いてもらうにしても時間を要してしまう」
「社会保障協定について協定対象者からどのような証明が必要なのかという照会に苦慮している」
「転入してきた外国人を住民票担当部署から国民年金担当窓口に確実に引き継ぐことで資格の適用漏れを防いでいる」
「言語の問題については翻訳等のタブレットを用いる工夫をしている」
「日本年金機構によってJ-LIS(地方公共団体情報システム機構)の情報を活用して新規で転入した外国人を適用できないか」
「留学生等の適用についてはボランティアに加えられている現状が多いので、学校側に協力を得られないか」
というような意見がありました。
厚生労働省、日本年金機構からの主なコメントは、以下のとおりでした。
「外国人の適用については今後、J-LISより海外転入、海外転出の情報を取得できるようになる予定なので、どのような取り組みができるのか検討したい」
「社会保障協定については今後も関係機関に積極的に周知を行っていく必要があると認識している。また、出入国管理法が4月に改正して、より一層外国人制度の周知が大切と認識している」
「免除申請のパンフレットなど各市町村で利用するもので、どのようなものが必要になるのか検討したい」
「社会保障協定については、日本年金機構のホームページの情報を参考にしてほしい」
「留学生の多い学校については、学特事務法人を拡大することを検討したい」
等があげられました。
次に未加入者の適用事務ですが、自治体からの主な意見は、
「年金事務所との連携により未加入期間の確認を行っているが、遡りの期間が長いと本人の記憶もあいまいとなり対応に時間がかかり、その場で解決できず、結果後日、年金事務所を案内することになってしまう」
「海外転出をした場合、住民票手続のみで国民年金窓口に来ないため、国民年金の資格が適用されたままとなってしまう」
という意見がありました。
厚生労働省、日本年金機構からのコメントは、
「国民年金手続を行わず海外転出を行ったことがわかった場合は、その情報を日本年金機構に情報提供してほしい。年金機構のほうで調査を行う」
最後にマイナンバーによる情報連携についてですが、こちらについては自治体より情報連携の仕組みやタイミングがわからないという意見が多く出されたので、厚生労働省からご教授をいただきました。また、情報連携において住民票のふりがなをそのまま年金情報に使用していいという認識が少なく、お客様の記入誤りや職員の入力誤りの影響範囲を住民票担当部門とも共有する必要があるという課題を分科会のみんなで共有することができました。

第3分科会テーマ「保険料・納付免除」
報告者:長野県長野市国民健康保険課国民年金室・紅粉康弘係長(第3分科会リーダー)

第3分科会は「保険料・納付免除」をテーマに、ブロックごとに開催して、はじめは小グループでテーマに沿った意見交換を行い、各自治体の意見や事業の実施状況などが示されました。そこに厚生労働省、日本年金機構も加わり、各自治体の状況を聞いてもらいました。後半は3つの意見提案について、事前に厚生労働省、日本年金機構から回答をいただいていたので、その回答を基にさらに各自治体が意見交換するかたちで行いました。
1つ目の意見提案は、「申請免除の退職特例の根拠書類として、私企業が発行する退職証明書も認めて頂きたい」というものでした。
厚生労働省からは事前に、「個人住民税が特別徴収から普通徴収に切り替わったことの事実確認と合わせた形であれば、私企業が発行する退職証明書でも添付は可能」という回答をいただいておりました。
それに対して、自治体側からは、私企業が発行する退職証明書や個人住民税の納税通知書の必要書類を添付する事務については、なかなか被保険者の負担が多いということもあり、被保険者の申請の負担を減らしてほしいということでした。
厚生労働省からは、被保険者の簡便性と情報の信頼性の双方を担保することが必要であるとの意見をいただきました。ついては今後検討していくものと思っています。
2つ目の意見提案は、国民年金加入時に、免除申請をしている人についての納付書発送の抑止についてですが、日本年金機構の回答は、免除の審査結果が出るまで、納付書発行を抑止してしまうと未納期間が発生し、被保険者に不利益になるということでした。被保険者に納得していただけるよう窓口でお配りいただけるチラシ等を発行していただききたいという意見が自治体側から出されました。これについては、日本年金機構から前向きに検討するとの回答がありました。
3つ目としては、今年度から新たに開始されました産前産後期間保険料免除、マイナンバー情報連携、年金生活者支援給付金についての事例研究が示されました。産前産後期間の免除について概ねの自治体において混乱なく円滑に実施できているという意見がありました。独自に対象者となる方に勧奨を実施している事例なども自治体から報告がありました。また、自治体からはこうした勧奨事務に対して、交付金の対象にならないかという提案がありました。また、マイナンバーの情報連携については、連携後、省略可能な添付書類について示された事務処理要綱ではわかりづらいという意見がありました。年金生活者支援給付金については、設置されている対象者向け専用ダイヤルの広報が不足しているなどの指摘がありました。
また、これらについては、自治体と日本年金機構の情報連携不足を指摘する声が多く出され、こうした情報共有の問題意識を自治体、厚生労働省、日本年金機構の三者で確認しました。

第4分科会テーマ「給付1」
報告者:岐阜県岐阜市国保・年金課・柴田律子係長(第4分科会リーダー)

第4分科会では、3つの議題について検討を行いました。
1つ目の議題となった生計同一証明書の簡素化について報告します。生計同一証明に何を書けばいいのかわからないという苦情に対して、改善策として、経済的援助について詳しい事例を案内してほしい。全国共通で同じ記載例をホームページなどで示していただきたい。また、証明書のレイアウトについて変更していただきたいといった意見が出されました。具体的には、②受給権者から①請求者への経済的援助だけでなく、①請求者から②受給権者への記入欄を設けること。また、住所、氏名を書く欄を表面にすることなどの意見提案がありました。
厚生労働省、日本年金機構からは記載例ではなく、文章の意味や詳しい事例などを示す方法も含め、対応方針について検討の余地がある。レイアウトについても検討の余地があるという回答をいただきました。
2つ目の議題となった障害年金の却下後の再請求について報告します。
書類を電子化してはどうかという意見がありました。それについて厚生労働省、日本年金機構から電子化するなどの対応については現在、前向きに検討しているとの回答をいただきました。
3つ目の議題は年金生活者支援給付金の事例研究ですが、所属の修正、世帯変更など様々なケースで給付金に該当するケースがありますが、本人が請求できるよう制度についての周知をしていただきたい。また、様々な観点から年金受給者に対して広報していただきたいという意見がありました。厚生労働省からは、日本年金機構と具体的な内容について検討していきたい。また、受給者目線のよりよい広報については持ち帰って検討したいという回答をいただきました。

第5分科会テーマ「給付2」
報告者:山形県米沢市国保年金課・橋本香織主任(第5分科会リーダー)

第5分科会では「給付」をテーマに、障害年金、未支給年金を中心に議論を進めました。
1つ目の障害年金については障害年金の却下の際の通知文書についてと、一度却下になった障害年金を再度請求する場合の受診状況等証明書の取扱いについて議論しました。
却下の通知文については、却下の通知のほかに却下の理由を詳細に書いた文書を合わせて送付していただきたいという意見がありました。また、再請求の相談を受けることが想定されるため、お客様だけでなく市区町村にも詳細な却下の理由を教えていただきたいという意見もありました。
厚生労働省、日本年金機構からは時期は未定であるが改善していきたい、検討していきたいとの回答をいただきました。
受診状況等証明書については一度請求し、却下となった人が再度請求する際は日本年金機構で保管しているデータで対応し、再度提出する必要はない取扱いにしていただきたいという意見がありました。また、却下通知があるということは初診日の確定や納付要件の確認は済んでいるため、却下の通知を添付する対応とするのはどうか、また、それがむずかしいのであれば、却下通知に初診日、障害認定日を明記した様式とするのはどうかという意見がありました。
それに対して、一度請求し却下となった人が再請求するケースについては受診状況証明書等を省略できる方向で検討していきたいが、再請求があった際に速やかに情報を引き出せるように保存方法などの改善が必要との回答をいただきました。
2つ目の議題の未支給年金につきましては、請求時に必要な戸籍の明確化と生計同一関係について議論しました。戸籍の明確化については請求者と死亡者の続柄によっては、父母等の離婚や養子縁組により一律に必要な戸籍の決定はできないため、難しいと思われますが、判断のポイントを示していただけないか、という意見がありました。また、類似のケースであっても地域によって、案内に差があるため、地域差をなくしてほしいという意見がありました。それに対して、戸籍はあくまで死亡者と請求者の身分関係を確認するものだが、認識の通り個別のケースにより、事実の基準を示すのは困難であるとの返答をいただきました。
つぎに生計同一関係についてはお客様へ生計同一申立書の説明をする際にどんな支援があったか、それを記入していただいているため、記載例解説があるといいのではないかという意見がありました。また、選択式の様式であった場合は、それが容易になる反面、未支給となった場合の説明が困難となるため、選択式と記述式を合わせた様式の検討をお願いしたいという意見がありました。
それに対して、生計同一申立書については、国民にとってよりわかりやすいものとなるよう総合的に検討していきたい。そして、第三者証明は住民票が異なるケースなど法的な証明書類のみで生計同一関係が証明できない場合に添付いただくため引き続き添付書類として求めるものとなるとの回答をいただきました。

最後に総会及び研究会について厚生労働省・日本年金機構が講評

○古賀紳介・厚生労働省年金局事業管理課課長補佐

第1分科会は、可搬型窓口装置(ウインドウマシーン)の対応で、時間がかかり、お客様を待たせてしまうことに苦慮しているとの発言がありました。お客様対応に直面している皆様だからこそ示されたご意見だと感じました。また情報共有、情報連携も綿密にやっていただきたいというご意見もありました。
第2分科会は外国人の対応がメインでしたが、特に言語の問題、住民異動での対応は非常に大切だと考えています。今後さらに受入れが予想されますので、引き続き日本年金機構と連携して市町村の皆様が外国人と対応しやすいよう厚生労働省でも検討していきたいと考えています。
第3分科会では、保険料・納付免除がテーマでしたが、窓口での説明で苦労されているということですが、出来るだけ自治体の窓口業務で苦労されないように周知の方法などを日本年金機構でも検討していただきたいと思っています。
第4・5分科会では、どちらも障害年金の生計同一証明について議論があったと伺っています。繰り返し出てくる問題ですが、自治体が説明しやすくなるような工夫を厚生労働省でも取り組んでいきたいと考えています。
第1から第5のすべての分科会の議論において、地域差というものがあるのではないかいう指摘がありました。関係機関の情報共有をもっと進めていただかないと市町村の皆様が苦労するということには、非常に大きな学びがありました。そうしたことにも着手しながら、今後も年金局としては企画立案をしていきたいと考えています。

○森山 茂・日本年金機構国民年金部国民年金適用グループグループ長

第1、2、3分科会について、日本年金機構の業務に関係することについて講評します。
第1分科会ですが、可搬型窓口装置を複数人で使用する場合、IDが個人単位化され、立ち上がるまでに時間がかかり、お客様を待たせてしまうことについて市町村が苦慮されているといった課題を、機構でもそうした状況の共有を図っていきたいと思っています。
第2分科会では、外国人の適用の事務についていろいろなご意見がございました。外国人もきちんと国民年金に適用することは機構でも大切なことだと考えています。そこで、国民年金パンフレットも14か国語に拡大するなど対応しているところです。これからもご要望を聞きつつ取り組んでいきたいと思っています。今後、海外転出入について何かできれば検討していきたいと思っています。
第3分科会での免除の申請が出るまでの間の納付書の送付についてですが、未納期間が発生するので、これへの対応はむずかしいと思いますが、なぜ納付書を送るのかということをお客様にご理解いただくために、なにかしらご案内ができるのではないかと思っているので、そういった工夫は検討していければと思っています。

○神 陽美・日本年金機構年金給付部給付企画グループグループ長

第4、5分科会「給付」についてお話をします。
特に障害年金の却下通知、未支給通知、こういった通知についての改定、生計同一証明書の簡素化、こういったものについて具体的な提案を含め、まさにたくさんのご意見をいただきました。これらの意見については持ち帰り、特に具体的な提案もありましたので、参考にさせていただき、前向きに改善策を検討していきたいと思っています。
初めて同協議会に参加しましたが、市町村との連携が重要だということを改めて認識しました。今後どのように連携を強化すべきかを含め、いろいろな政策を検討していきたいと考えていますので、引き続き、ご理解、ご協力のほどお願いしたいと思います。

年金時代