年金時代

オプション試算はさらなる適用拡大と保険料拠出期間の延長・受給開始時期の選択――2019年財政検証

オプション試算はAとBの2種類を実施

前回同様、財政検証結果とともに制度改正の議論の参考とするオプション試算を実施。今回は被用者保険をさらに適用拡大した場合の所得代替率の変化を試算した「オプションA」と、保険料拠出期間の延長や受給開始時期の選択による所得代替率の変化を試算した「オプションB」の2種類が示された。

被用者保険のさらなる適用拡大

オプションAでは適用拡大の対象者や要件を3つのケースに分けて設定した。いずれも試算上、適用拡大の実施は2024年4月とした。オプションA‐①は、被用者保険の適用対象となる現行の企業規模要件を廃止した場合だ。従業員数が501人未満の企業で、所定労働時間が週20時間以上の短時間労働者の中で一定以上の収入(月8.8万円以上)のある125万人に適用拡大し、その後は短時間労働者のなかで適用される人の比率が一定と仮定している。

ケースⅠを見ると、現行制度のままではマクロ経済スライドによる給付水準の調整が2046年度に所得代替率51.9%で終了するのに対し、オプションA‐①の制度改正が行われると2045年度に所得代替率52.4%を確保して調整が終了する(図表4参照)。

オプションA‐②は、被用者保険の適用対象となる賃金要件、企業規模要件を廃止した場合だ。従業員数が501人未満の企業で、所定労働時間が週20時間以上の短時間労働者325万人に適用拡大を行う試算となっている。ただし、学生や雇用契約期間が1年未満の人、従業員数が5人未満の非適用事業所の雇用者については対象外としている。

オプションA‐③は、一定の賃金収入があるすべての被用者へ適用拡大した場合だ。企業の従業員数や所定労働時間にかかわらず、月5.8万円以上収入のある人に対して適用拡大する。オプションA‐②で対象外になっていた学生や雇用契約期間が1年未満の人、従業員数が5人未満の非適用事業所の雇用者も適用の対象となる。

オプションAの試算結果からは、ケースⅠ・Ⅲ・ⅤおよびオプションA‐①・②・③のいずれにおいても、現行制度に比較してマクロ経済スライドによる給付水準調整期間の終了時期を早めるとともに、給付水準も高めに確保できることがわかった。

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