年金時代

公的年金 在職老齢年金の見直しと保険料拠出期間の延長を議論

厚生労働省の社会保障審議会年金部会(部会長=神野直彦・日本社会事業大学長、東京大学名誉教授)は10月9日、在職老齢年金制度(在老)の見直しと保険料拠出期間の延長について審議した。65歳以上の在老(高在老)については、財政検証のケースⅢに即して行ったオプション試算をもとに、給付調整の基準額(現行47万円)を62万円に引き上げた場合、マクロ経済スライドによる給付水準調整終了時点の所得代替率が0.2%ポイント引き下がることが示されている。また、高在老を完全撤廃した場合は0.4%ポイント引き下がる試算となる。60~64歳の在老(低在老)については、特別支給の老齢厚生年金が対象であることから、支給開始年齢引き上げまでの間は現行のままとする案と、高在老と基準額を合わせる案が示された。これについて委員からは、高在老の完全撤廃に賛成する意見や基準額の引き上げに積極的な意見が出たほか、年金財政への影響がマイナスになることを懸念する意見が出された。また、所得代替率がプラスに働くと試算された被用者保険の適用拡大を促進することを前提とするならば、在老の見直しも併せて行い、財政についてはそれで相殺できるという意見もあった。低在老については、基準額を高在老に合わせるとわかりやすくなるという意見のほか、就業意欲を高める効果を期待する声があった。

保険料拠出期間の延長については、オプション試算で基礎年金拠出期間を40年から45年に延長した場合、マクロ経済スライドによる給付水準調整終了後の所得代替率はケースⅠで+6.9%ポイント、ケースⅢで+6.8%ポイント、ケースⅤで+6.9%ポイントという結果が示されている。厚生年金については、加入年齢の上限を70歳から75歳に延長した場合、給付水準調整終了後の所得代替率はケースⅢで+0.3%ポイント、ケースⅤで +0.2%ポイントという試算になっている。ただし、基礎年金拠出期間の延長については、60~64歳の保険料拠出能力をどのように評価するかといったことや、延長分に係る基礎年金2分の1の国庫負担に対する安定的な財源を確保すること等の課題がある。厚生年金被保険者期間の延長については、被用者保険の適用拡大に関して企業負担が課題の一つとなっている。委員からは基礎年金の拠出期間延長について、保険料拠出が終わるタイミングと受給開始のタイミングがそろうとわかりやすいという意見のほか、所得代替率にプラスの影響が大きいことから積極的に実施するべきという意見が出た一方で、国庫負担2分の1の財源を懸念する声もあった。

次回の年金部会では、高齢期の就労と年金受給の在り方について審議する予定だ。

 

年金時代