年金時代

公的年金 年金部会が適用拡大と在老について議論

厚生労働省の社会保障審議会年金部会(部会長=神野直彦・日本社会事業大学学長、東京大学名誉教授)は11月13日、被用者保険の適用事業所の範囲や在職老齢年金の支給停止基準額について議論した。

被用者保険については、現行制度では法人事業所の場合、業種や従業員規模にかかわらず被用者保険の適用事業所となる。個人事業所の場合は、法定された16の業種に該当し、常時5人以上の従業員を使用していれば適用事業所となる。法定16業種以外の業種や従業員数5人未満の個人事業所は、労使合意があった場合を除いて非適用となっている。こうした非適用業種のうち、法律・会計に係る行政手続等を扱ういわゆる「士業」は、被用者保険適用に係る事務処理能力が期待でき、全事業所に占める個人事業所の割合が高く、特に常用雇用者数5人以上の個人事業所の割合がほかの業種よりも高いことから、被用者として働きながら非適用となっている人が多いと見込まれる。また、制度上、法人化に一定の制約条件があるか、そもそも法人化が不可能であることから、ほかの業種であれば法人化しているような規模でも個人事業所にとどまっている割合が高い。こうしたことを踏まえて厚労省は弁護士・司法書士・行政書士・土地家屋調査士・公認会計士・税理士・社会保険労務士・弁理士・公証人・海事代理士を適用業種とすることを提案した。

65歳以上の在職老齢年金(高在老)については、現役世代の平均的な賃金収入と平均的な年金収入がある人が支給停止の対象とならないようにし、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図ることができるように給付調整の基準額を引き上げる案が示された。前回の議論では、オプション試算をもとに給付調整の基準額(現行47万円)を62万円に引き上げる例を示していたが、今回は51万円に引き上げることが提案された。この51万円は、現役男子被保険者のボーナスを含む平均月収43.9万円と、65歳以上の在職受給権者全体の平均年金額(報酬比例部分)7.1万円の合計額だ。また、60~64歳の在職老齢年金(低在老)については、就労意欲への影響を考慮し、見直し後の高在老と同じ51万円とする案と、見直し前の高在老と同じ47万円とする案が示された。

委員からは賛成する意見が多数出されたが、被用者保険の適用対象は今回提案された範囲にとどまらず、今後も拡大していくことを念頭に議論していくべきといった意見が出た。在職老齢年金については、基準額の引き上げによって企業が賃金を低く設定するのではないか懸念する声もあった。

 

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