年金時代

雇用労働 複数就業者の雇用保険適用、65歳以上対象に試行実施へ

厚生労働省は11月29日、労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会(部会長=阿部正浩・中央大学経済学部教授)を開催し、検討課題となっていた複数就業者(マルチジョブホルダー)への雇用保険適用について、65歳以上を対象に本人の申出を契機として、2つの事業所の労働時間を合算して適用する制度を試行的に実施する案を示した。数年間規模で実施し、実施状況を検証して制度恒久化の是非を検討する考え。同省は年内に部会の報告を取りまとめ、雇用保険法改正法案を次期通常国会に提出する方針だ。

労働者が雇用保険に加入するには、週所定労働時間が20時間以上であることなどが要件。これまで1つの事業所で週20時間以上なければ加入できなかったが、試行的に2つの事業所を合算して要件を満たせば加入できるようにする。3つ以上の事業所に雇用されている場合であっても、事務負担等を踏まえ合算できる事業所の数は2つまでとし、合算対象となる個々の所定労働時間にも一定の下限を設ける方向で検討する。

合算して週20時間以上となるかを事業所側が把握するのは困難なので、適用は本人の申出を契機とする。また、雇用保険の資格取得届や資格喪失届などの手続についても、たとえば本人が直接ハローワークに行うなど、これまでとは異なる手段を模索する。なお、雇用が継続しているにもかかわらず、本人の申出により任意で脱退することは認めない方針だ。

給付に関しては、1つの事業所の雇用が終了しても、別の事業所での雇用は続いている「部分失業」が多くなると予測され、基本手当のような給付形式はなじまないため、一時金とする。1つの事業所の雇用が終了し、残りの事業所の所定労働時間が週20時間未満となれば給付対象とするが、週20時間以上であれば引き続き適用する方向で整理する。また、賃金日額は離職した事業所の賃金をもとに算出することを原則とするが、複数の事業所を同時に離職した場合などでは、合算した賃金額をもとに賃金日額を算出するとした。なお、賃金日額の下限は適用しない。

65歳以上を対象とするので、現行の高年齢被保険者と同様、教育訓練給付は給付対象とする。育児休業給付、介護休業給付についても給付対象とするが、現行の一般被保険者とのバランスから部分失業の場合は対象としない。

このほか、自己都合離職の給付制限期間は設ける方向で検討する。複数の事業所を同時に離職し、両事業所の離職理由が異なる場合は、ハローワークの窓口で詳細を聞き取り、今後の検証に活用するとした。

こうした厚生労働省の試行案に対し、労働者側は、本来はすべてのマルチジョブホルダーを対象に実施することが望ましい主張したが、将来的な全適用をめざしてトライアルとして65歳以上に限定して実施し、検証を行うことには理解を示した。一方で使用者側は、企業に過重な事務負担を強いることがないよう配慮を求めた。

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