年金時代

公的年金 資金運用部会がGPIFの次期中期目標を審議

厚生労働省の社会保障審議会資金運用部会(部会長=神野直彦・日本社会事業大学学長、東京大学名誉教授)は12月19日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の次期中期目標策定に向けて留意するべき点などについて審議した。GPIFでは、長期的かつ安定的に運用収益を確保するための取り組みとして、環境・社会・ガバナンスを考慮した投資であるESG投資の推進を検討している。これについて厚労省は、あくまでも被保険者の利益のために長期的な収益確保を図る目的で行われるものであるといった年金積立金の運用の基本的な考え方に留意しつつ、取り組みを進めることが必要であるとした。併せて、GPIFの運用に求められる基本的な考え方に則って行われているか継続的に検証していく必要性も強調した。

委員からは「ESG投資すべてが善ではない。飛行機を利用しない企業に投資する例があるが、これが島国である日本で現実的なESGなのか考えてみてほしい。適切なものを採用するように意識して進めてほしい」、「ESGの判断基準が日本国内と海外で異なることもある。日本では特に問題がないようなことでもESGの観点から見たときに「GPIFは世界的な投資機関なのに、なぜこのような企業に投資しているのか?」という目で見られることもありえなくもない。どのようにうまく取り入れていくかということを慎重に検討する必要性も中期目標に加えてはどうか」などの意見が出た。

また、資金運用部会では、株式や債券などの伝統的資産を運用する以外の投資方法であるオルタナティブ投資の規模の拡大も検討事項として議論してきたが、これまで慎重に検討するべきという意見が多く出されてきた。厚労省は、伝統的資産との投資手法の違いや固有のリスクを踏まえ、体制強化を図りつつ、伝統的資産とは異なるオルタナティブ資産固有の考慮要素について十分に検討したうえで進めることが必要であると説明。また、リスク管理および収益確保の観点からの検証を継続的に行う必要性も示した。

委員からは「分散投資で進めていくのはいいが、一方でかなりのリスク管理が求められる。オルタナティブ投資の規模拡大については特に人員体制も踏まえて慎重な検討をしっかりしなければならない」という意見のほか、オルタナティブ投資の情報発信について「被保険者としては不透明な取り扱いがされているように感じることが不安につながる。一般の人にもわかるような情報開示をするべき」という意見もあった。

今後は、2020年1月~2月に同部会で次期中期目標(案)について審議。2月~3月に諮問・答申を行ったうえで厚生労働大臣がGPIFへ次期中期目標を指示、3月にGPIFから提出された次期中期計画(案)を同部会で審議と諮問・答申を行う予定だ。

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