年金時代

公的年金 年金制度改正法案について報告―令和元年度全国厚生労働関係部局長会議

厚生労働省は1月17日、令和元年度全国厚生労働関係部局長会議を開催した。この会議は、厚生労働行政の次年度の政策や現状と課題について、都道府県や指定都市、中核市に周知し、円滑な事業運営を図ることを目的に毎年開かれている。年金局からは、高橋俊之年金局長が今年の通常国会に提出する法案の内容について報告した。

被用者保険の適用拡大

被用者保険の適用拡大については、現在従業員数が500人超規模の企業で労働時間が週20時間以上の短時間労働者に被用者保険を適用しているが、これを今後2022年に100人超規模、2024年には50人超規模の企業に適用することにしている。高橋局長は「適用拡大については、被用者保険を適用されないよう就業調整が発生するのではないかということや、事業主負担が増えることを懸念する声があるが、労働時間が週20~30時間の人のうち45%は国民年金第1号被保険者であるため、自分で国民年金や国民健康保険の保険料を支払っている。これが適用拡大によって事業主が保険料を半分負担することになれば、保険料が安くなりかつ厚生年金の2階建て部分がついてくることになる」とし、「保険料が安くなって給付が厚くなるのは非常にいいこと」と述べた。また、「国民年金第3号被保険者についても、適用拡大によって、基礎年金だけでなく2階部分の厚生年金がついてくるため、これは長い目で見て意味があるという説明をていねいにすることが重要」と強調した。

また、高橋局長は、2016年の適用拡大では労働時間を変えなかった人が多かったが、変えた人のなかには厚生年金の適用を受けないように労働時間を短くした人よりも、増やした人のほうが多い結果だったことを報告した。年収170万円くらいの平均的な短時間労働者に対しては、年間24万円ほどの事業主負担が発生するが、特に外食産業やサービス業などパート比率の高い業種はインパクトが大きいのではないかと心配する向きがある。ただ、実際に前回の適用拡大でいままでの被保険者に対しどのくらい事業主負担が増えたかというと、比較的影響の大きかった飲食店でもだいたい人数ベースで約7%、保険料負担ベースで約3%の増加だった。そのほかの業種ではもっと少ないため、平均的には数%の増加であることを指摘した。「最低賃金が上がったり、消費税が上がったりといろいろな意味で事業主が大変だという話をよく聞く。どのような負担やインパクトがあるかということをていねいに説明して浸透させていけるように取り組みたい」と述べた。

年金生活者支援給付金

昨年10月から施行されている年金生活者支援給付金については、昨年9月から800万人に申請書を送付し、すでに97%の申請率となっている。施行初年度は地方自治体から提供された所得情報に基づいて日本年金機構が判定し、対象者に申請書を送付することが法律上経過措置で規定されている。しかし、来年度以降の新規申請者は法律上自分で申請しなければならない扱いとなっている。そのため、法案に改正事項として引き続き市町村から所得データを提供してもらい、機構で判定して申請書を送付するしくみにすることを盛り込んだ。

国年等事務取扱交付金の改善

国民年金の事業については、市町村の窓口で受け付けている。これについて事務費交付金を国から交付しているが、従前より市町村から超過負担が生じていると改善要望があった。そこで、来年度の予算を316億円に増額し、交付の仕方も免除者数や受給件数、被保険者数などいくつかの指標を組み合わせて交付金額を算定する形式に来年度から改める。

高橋局長は「年金制度についてはしっかりとした運営を行いながら、そのしくみや今後の展開についてわかりやすく説明していくことが大事だと考えているため、そのような情報発信をしていきたいと」と締めくくった。

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