年金時代

国会提出された年金制度改正法案【公的年金編】

3月3日に国会提出された年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案は、①被用者保険の適用拡大②在職中の年金受給のあり方の見直し③受給開始時期の選択肢の拡大④確定拠出年金の加入可能要件の見直し等⑤その他――で構成されている。今回は、公的年金にかかわる①~③、⑤の内容を見ていく。

被用者保険の適用拡大

現行では、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大について従業員数が501人以上の事業所を適用対象とし、500人以下の企業については労使の合意があれば適用できる。今回の改正では、2022年10月に100人超規模の企業まで適用し、2024年10月に50人超規模の企業まで適用することとする。なお、週20時間の労働時間要件や月8.8万円の賃金要件、学生除外要件は現状を維持するが、勤務期間を1年以上の見込みとする要件は撤廃し、フルタイムの被保険者と同様の2ヵ月超とすることも盛り込まれた。

また、被用者保険については、現行制度では法人事業所の場合、業種や従業員規模にかかわらず被用者保険の適用事業所となる。個人事業所の場合は、法定された16の業種に該当し、常時5人以上の従業員を使用していれば適用事業所となる。法定16業種以外の業種や従業員数5人未満の個人事業所は、労使合意があった場合を除いて非適用となっている。こうした非適用業種のうち、弁護士、税理士、社会保険労務士など法律や会計事務を取り扱う士業を政令で定め、適用業種に加えることとしている。このほか、厚生年金と健康保険の適用対象となる人で国や自治体で勤務する短時間労働者に対して公務員共済の短期給付を適用する。これらの施行期日は2022年10月1日。

在職中の年金受給のあり方の見直し

現行では、老齢厚生年金の受給権を取得した後に就労した場合、資格喪失時(退職時・70歳到達時)に、受給権取得後の被保険者であった期間を加えて、老齢厚生年金の額を改定する退職改定を行っている。この改定を65歳以上の人は在職中であっても定時(毎年1回、10月分から)に行うことにするとしている。これにより、高齢期の就労拡大を踏まえ、退職を待つことなく就労を継続したことの効果を早期に年金額に反映し、年金を受給しながら働く在職受給権者の経済基盤の充実を図る。施行期日は2022年4月1日。

60~64歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金(低在老)については、支給停止基準額を28万円から現行の65歳以上の在職老齢年金制度(高在老)と同じ47万円(令和元年度額)に引き上げることとする。施行期日は2022年4月1日。

受給開始時期の選択肢の拡大

現行制度の受給開始時期は、原則として60歳から70歳の間で選ぶことができる。繰上げ受給制度を利用して65歳より早く年金を受給した場合、年金額は減額(1月あたり▲0.5%、最大▲30%)される。一方、繰下げ受給制度を利用して65歳より後に受給を開始した場合、年金額は増額(1月あたり+0.7%、最大+42%)される。

法案では、繰下げ受給の上限年齢を75歳に引き上げることにより、受給開始時期を60歳から75歳までの間で選択可能とする。また、上限年齢以降に請求する場合、上限年齢で繰下げの申し出があったものとして年金を支給する。これらの施行期日は2022年4月1日。

70歳以降80歳未満で請求し、かつ請求時点で繰下げ受給を選択しない場合、5年前に繰下げの申し出があったものとして年金額を算定し、支給する。施行期日は2023年4月1日。

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