年金時代

【ねんきん最前線 市区町村VOICE】東京都福生市 市民部保険年金課保険年金係

月2回発行の市の広報紙『広報ふっさ』には
毎号、年金制度の情報を掲載
年1回保険年金課発行の『国民年金だより』を
市の広報紙とともに配布
熟練の年金相談員が
住民の相談ニーズにしっかり対応

地方分権一括法により市町村が行う国民年金事務が法定受託事務に限定され、国民年金事務が縮小されたことから、市区町村では国民年金を担当する職員数が減らされてきた。そうしたなか、法定受託事務に整理されなかった資格取得時等における保険料納付案内、口座振替、前納の促進事務や相談等は年金事務所と協力・連携のもと実施されることとされた。これが協力・連携事務と言うものだ。しかし、年金制度の案内や相談には、法定受託事務に限らず、年金制度全般、それにともなう事務全般についての知識もなければ対応できない。そこで、福生市が取り組むのが、ベテランの年金相談員による充実の年金相談と、市の広報紙と保険年金課独自の発行紙による積極的な広報活動だ。福生市の国民 年金事業の取り組みを市民部保険年金課保険年金係の和地康孝係長に聞いた。

「ねんきん最前線 市区町村VOICE」は、株式会社年友企画ホームページの「年金広報2020年4月号vol.85(通巻730号)」(https://www.nen-yu.co.jp/ppr/)に掲載された記事を転載しました。

 

福生市ってどんな市?

福生市は都心から西へ約40キロ、武蔵野台地の西端に位置する、人口約6万人の都市です。市の西端を流れる多摩川の東側に東西約3.6キロ、南北約4.5キロにわたって広がり、面積は約10.16平方キロメートルです。
地形の特徴として、横田基地のある市の東側から多摩川に向かって河岸段丘が緩やかに続き、市内に分布する段丘面の境には崖線いわゆるハケが連なり、その斜面には地下水が流出し、各所で湧水が見られます。また、地質は大部分が関東ローム層で、多摩川の低地は沖積土です。
美しい奥多摩の山並みを望み、清流が戻りつつある多摩川では多くの野鳥を見ることができます。
JR福生駅を中心に市全域に市街地が広がり、東は立川市・昭島市・武蔵村山市、西は多摩川を隔ててあきる野市、南は八王子市、北は羽村市・瑞穂町に接しています。市の東北部には米軍横田基地があり、 行政面積の32%を占めています。

出所:福生市ホームページ https://www.city.fussa.tokyo.jp/municipal/aboutfussa/profile/1003153.html

出所:福生市ホームページ https://www.city.fussa.tokyo.jp/municipal/aboutfussa/profile/1003155.html
福生市の国民年金事業関係データ

○人口*2020年3月1日現在
合計: 57,459人(うち20~59歳:30,322人、65歳以上:15,087人)

○第1号被保険者*2020年3月1日現在
合計: 8,380人(うち任意加入被保険者: 97人)

○免除者数*2020年3月1日現在
合計:2,986人
・法定免除:616人
・申請免除:1,404人(うち全額免除:1,145人、一部免除:259人)
・納付猶予:313人
・学生納付特例:653人

○国民年金受給者 *2019年3月31日現在
・老齢基礎年金: 13,874人
・障害基礎年金: 847人
・遺族基礎年金: 78人

○国民年金担当者数 *2020年3月1日現在
・本庁:2人(年金係長:1人、正規担当職員:1人)
・再任用職員:0人 ・非常勤嘱託職員4人

日本語学校に入学するベトナムからの留学生が急増
機構の「国民年金制度の仕組み」(ベトナム語)を活用

――福生市は、国民年金事業ということから見てどのような特徴がある自治体なのでしょうか。

市の東側をアメリカ空軍の横田基地が占めています。そうしたことから、以前から外国人の住民が多かったのですが、最近は留学生が増えています。日本語学校が福生市にはいくつかあるので、日本語学校に入学する留学生が多く来ています。なかでもベトナムから来られる方が近年多くなっています。4月になると、日本語学校の関係者が新入学の学生を引き連れて、一斉に市役所に手続にやってきます。その場合、学校の先生や外国人の上級生などが新入生の外国人を引率していっしょに来てくれることが多いので、市のほうでも、まとめて案内ができ、助かっています。

本来であれば、日本に在留する外国人の方々も国民年金には強制加入することになっていますが、日本語のわからない留学生にいきなり資格取得届の提出を求めたり、強制加入させたりするのはどうかと思います。しかし、制度をご理解いただけていないからと言って加入勧奨を怠りますと、本人が不利益を被ることにもなります。そのような悩みやジレンマを抱えるのですが、日本年金機構のホームページを見ると、外国人向けの国民年金を説明したパンフレットに昨年ベトナム語も加わり、たいへん助かっています。それをお渡しして、通じる範囲内で国民年金制度について、日本に初上陸された外国人の方にはご案内しています。

https://www.nenkin.go.jp/pamphlet/kokunenseido.html

――外国人の方々は、どのように行政手続をされているのでしょうか。

初上陸され、初めて市役所に来た外国人で、国民年金の被保険者の資格取得届を提出される方はほとんどいません。一方、国民健康保険はみなさん加入します。病気になったときのために保険証が必要だということもあるのですが、外国人の方々にとっては、保険証がないと金融機関で口座が作れないということで、身分証明書の代わりに保険証が必要だという事情もあるようです。

年金について現在は、日本年金機構が職権適用をしていますが、そうすると、日本語学校を卒業後にそのまま日本の企業にお勤めになり、厚生年金に加入すると、さかのぼって職権適用され、国民年金の被保険者資格を取得することになるのです。そうすると、日本年金機構から国民年金加入のお知らせが届きます。そのとき、保険料は2年間分さかのぼって払うことができるのですが、厚生年金加入前の2年分の保険料を払うよう催告がくるのです。そうすると、事情がのみ込めない外国人の方々は、「これは何ですか」と、催促状を持って市役所の窓口に見えられる方が増えているのです。こうした場合の対応については、市としても現在考えているところですが、いまのところは、日本に来て所得がなかった人には免除申請をしていただき、アルバイトなどをしてちょっとでも所得があると、全額免除にはならないので、一部免除を受けて、一部保険料を払う仕組みであることをご案内するしかないのです。

市民部保険年金課の和地康孝保険年金係長

協力・連携事務としての年金相談には業務に精通した非常勤嘱託職員が対応

――年金事務所との協力・連携の関係はいかがでしょうか。

福生市は青梅年金事務所の管轄となるのですが、年金事務所とは気軽に相談できる関係にあり、電話で問い合わせ等をしています。ただ、市町村用のねんきんネットは昨年12月で終わってしまったので、その代わりに年金事務所から2台のウィンドウマシーンを貸与していただいていますが、年金相談員は電話のほうが使い慣れているようで、基本的には電話で照会等はしています。

また、協力・連携ということでは、青梅年金事務所が管轄するこの地域を西多摩地域と言うのですが、福生市のほか青梅市、羽村市、あきる野市、西多摩郡の瑞穂町・日の出町・檜原村・奥多摩町の4市3町1村からなり、西多摩地区国民年金事務研究会を組織して、年2回青梅年金事務所の職員に講師として来ていただき、研修会を開催しています。そうしたことから、年金事務所の方の顔もわかっているので、お互いにつながりを持てる関係にあり、気軽に問い合わせができると感じています。

研修会は、毎年持ち回りで会長となった市町村で、役所や会館を会場に、毎年春と秋に開催しています。各市町村からは、基本的に課長、係長が出席して、そのほか実務担当者も出席することになっています。しかし、福生市の場合は、国民年金の担当はわたしともう1人の主事の2人なので、なかなか2人そろって出席することができません。また、福生市では、保険年金課保険年金係が国民年金事務を担当するのですが、それとともに国民健康保険も担当しています。国保担当のほうが大所帯で、国年は先ほど申し上げた2人だけなのです。

また、今年度は、西多摩地区国民年金事務研究会の研修会のほかに、年金事務所が独自に研修会をやって くれました。今後も年金事務所独自の研修会の機会も設ける予定だと年金事務所の方もおっしゃっていましたので、年金事務所を直接訪問して顔を合わせる機会も少しは増えるのではないかと思います。

――福生市におきましても国民年金担当の人員が減らされているのでしょうか。

そうですね、以前は保険料徴収業務もやっていましたが、それがなくなったので、人数が減らされるのもしょうがないかなと思っています。わたしは12、3年前にも保険年金課にいて、そのときは国保を担当していたのですが、当時も年金担当の職員は2人で、この体制はここ10年ずっと変わっていないですね。

――年金相談では、お客様からいろいろなことを聞かれることかと思いますが、とくに障害年金については専門的な知識が必要となりますが、どうご対応されているのでしょうか。

シンプルな制度となっている20歳前障害については、一般的な知識で対応できますが、ちょっと複雑になってしまうと経験が生きてくるというか、経験がないとなかなか対応できません。そこで、国民年金担当の非常勤職員4名のうち3名に年金相談員になっていただいています。年金相談員の勤務時間は9時から16時までなので、その時間帯に合わせて国民年金の相談の受付時間としています。そうしたことから、障害年金 のような複雑な相談は年金相談員が中心となって対応しているのですが、年金相談員は3名のうち2名が社 会保険労務士の資格を持っています。もう1名は社会保険事務所に長年勤めていたOBの方です。そして、年金相談員にはいずれも10年ほどにわたって長く勤めていただいているので、豊富な経験をお持ちです。そうしたことから、相談業務についてもお客様にきっとご満足いただけるサービスをご提供できているのではないかと自負しています。

――保険年金課の窓口には1日どのくらいの人が訪れていますか。

件数にして、平均30件くらいです。福生市は人の異動が多いところで、それにともない保険年金課では5つのブースがあるのですが、混雑していることが多いです。そうしたこともあって、今年1月、総合窓口課が発券機を導入しました。2月からは本格稼働となったのですが、そのときに保険年金課の窓口を訪れるお客様も多いことから便乗させてもらい、発券機を使ってお客様のご相談に対応しています。

――総合窓口課の設置によりワンストップサービスが図られているのですね。

そうですね、ワンストップサービス自体はかなり以前から導入していて、住民異動が関係する手続は総合窓口課が起点となってワンストップサービスを実現しています。手続の流れとしては、まず総合窓口課で受け付けた届書で、ワンストップサービスに組み込まれている部署については、総合窓口課で受け付けした内容の異動票が各課に回りますので、手続の案内についてはそれぞれの担当職員が、お客様がお待ちの場所に 順番に足を運んで行きご案内します。手続が終わったら、異動票にある自分の課の印を外して、次に担当する課の職員を呼びに行きます。たとえば、国保、国年、後期高齢者医療制度、介護保険、子育て関係、学校教育は、ワンストップサービスに組み込まれている課なので、そうした部署に関係する手続については職員のほうからお待ちのお客様のところにやってきて、その場で手続ができるようにしています。

図表● 福生市役所庁舎の配置図

出所:福生市ホームページ https://www.city.fussa.tokyo.jp/map/shiyakusho/1001595.html

交付金の活用を模索しながら効果的な広報のあり方を追求

――相談業務とともに、保険料納付の案内も年金事務所との協力・連携のもと実施される取り組みとして重要ですね。そこで、広報活動にはどのように取り組んでいますか。

保険年金課では、「国民年金だより」を2014年から年1回発行しています。保険年金課では「国保だより」という広報誌を以前から発行していたのですが、国民年金についてもやろうということで始めました。わたしは2015年度に保険年金課に異動してきたので、2回目の発行から関わってきました。これも当時は協力・連携事務とし て、国の交付金で費用を負担してもらえるということで始めたのですが、最近は必要となる費用がすべて財政措置されなくなってしまいました。新しい制度の解説や、日本年金機構が市区町村国民年金担当者向けに発行している「かけはし」に掲載されている記事などが交付金の対象になるということになってしまい、そうしたことから、2年前までは4頁でしたが、今年度と昨年度はちょっとなかなかそこまでは新制度の記事だけでは賄えないということで、半分の裏表1枚ものの2頁にしました。

「国民年金だより」(2019年12月1日号)

出所:福生市ホームページ https://www.city.fussa.tokyo.jp/life/procedure/pension/1001895.html

――「国民年金だより」はどのように、住民のみなさんのお手元に配布されているのですか。

市の広報紙「広報ふっさ」が毎月1日と15日に発行されるので、そのタイミングに合わせて、いっしょにシルバー人材センターに委託して市内全戸に配布しています。配布後には市のホームページにもアップしています。

配布のしかたについても、「市の広報紙といっしょに配ってしまうと、そのなかに紛れ込んでしまうので、別の日に配ったらどうか」という意見も課内にはあったので、市の広報紙とは別途配布したところ、厚生労働省年金局のほうからあくまでも市の広報紙といっしょになっているかたちでないと交付金がでないと言われました。また、パンフレットのひな型は国のほうですでに作ったものがあるので、それ以外に市が独自に作ったものには国は費用負担の対象にはしないということでした。そうしたことから、現在は市の広報紙といっしょに同時配布することにしています。

新しく導入される制度を説明する「国民年金だより」については、制度改正や新しく制度が変更される時期に合わせて発行しています。たとえば、「産前産後の保険料免除制度」については、2019年4月から始まるということでしたから、同年3月1日号に掲載しました。また、同年12月1日号については「年金生活者支援給付金制度」を掲載しました。その年の10月に年金生活者支援給付金制度はスタートしていたのですが、12月末までに対象となる方は請求書を提出しないと遡及して支給できなくなってしまうからです。

また、「広報ふっさ」にも国民年金のインフォメーションは必ず入れています。2020年3月15日号には、「年金だより▶国民年金保険料の納付書による2年前納について」を掲載しています。ここには月2回、年24回、 毎回国民年金の情報を入れています。年度当初だと今年度の年金額、また学生納付特例については4月からなので、4月1日号には「学特申請できます」などの情報を提供しています。

――きょうは、いろいろとお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

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