年金時代

雇用労働 2020年版中小企業・小規模企業白書を閣議決定

政府は4月24日、2020年版中小企業白書・小規模企業白書を閣議決定した。中小企業及び小規模事業者の生み出す価値に着目し、求められる取り組みや課題を整理。また、新型コロナウイルス感染症の影響を調査・分析するとともに、具体的な対応事例等についても紹介した。

近年の中小企業・小規模事業者の労働分配率(付加価値額に対する人件費の割合)は80%前後で高止まりしており、同一労働同一賃金や最低賃金の引き上げなど、労働者への分配を高めるよう規制が強まるなか、さらなる付加価値の増大が急務となっている。白書は企業の付加価値を引き上げる有効な手段として、他社との差別化、新事業領域の進出、オープンイノベーション、人材投資などを指摘。新たな製品・サービスの開発など顧客に新たな価値を提供する他社との差別化は、労働生産性の向上に寄与し、新事業領域の進出では約4割(39.8%)の企業で販売数量と販売単価ともに向上する調査結果を示した。また、外部技術やノウハウの活用を促すオープンイノベーションは、新たな技術開発や製品・サービス創出の契機になり得るとし、特に異業種企業や大学との連携が労働生産性の向上につながりやすいと分析。さらに、経営資源として「人材」を重視する中小企業は多いが、人材教育・能力開発投資は他国に比べて少なく、人材投資に取り組むことでさらに生産性を伸ばせる可能性も示した。

一方で、製品・サービスの優位性がありながら、「価格に十分に反映されていない」とする企業が50.3%と約半数を占める調査もあり、価格への反映、取引条件の改善が課題とされている。こうした状況に白書は、中小企業が付加価値額を増やしていくため、優位性を顧客に発信していく取り組みや、価格競争からの脱却、発注側事業者との取引条件の改善が重要になると強調した。

他方、新型コロナウイルス感染症の影響に関しては、マスクなど一部の製品等で需要増があるものの、業況は総じて悪化している。白書によると、全国1,050ヵ所に設置している「新型コロナウイルスに関する経営相談窓口」には、3月末時点で約30万件の相談が寄せられており、その大半が資金繰りに関する内容だという。具体的な影響としては「売上(来店者)が減少」(49.7%)、「イベント、展示会の延期・中止」(49.0%)、「商談の延期・中止」(41.2%)などが上位に挙がっている。白書は、感染症を含むリスクの影響を可能な限り小さくするには、事前の備えが重要だとして、事業継続計画(BCP)の策定やテレワークの導入などの必要性に言及。具体例として、感染症BCPに基づき、テレワークなどの感染症対策を速やかに実施した企業や、学校の臨時休業に合わせて、社内に子供たちを受け入れ、従業員の生活を守った企業の事例などを紹介した。

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