年金時代

制度改正 年金改正法案が5月15日参院本会議、19日厚労委で趣旨説明と質疑

 

「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案」は5月15日、参議院本会議で加藤勝信厚生労働大臣が趣旨説明を行い、質疑に対して安倍晋三内閣総理大臣および加藤厚労大臣が答弁した。

参院本会議の年金改正法案の趣旨説明を行う加藤厚労大臣。

加藤厚労大臣は、「今後の社会経済の変化を展望すると、人手不足が進行するとともに、健康寿命が延伸し、中長期的には現役世代の人口の急速な減少が見込まれるなかで、特に高齢者や女性の就業が進み、より多くの人がこれまでよりも長い期間にわたり多様なかたちで働くようになることが見込まれる。こうした社会経済の変化を年金制度に反映し、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図る必要がある。今般こうした社会経済の変化に対応し、年金制度の機能を強化するため、この法律案を提出した」と提案理由を説明した。

また、法律案の内容については――
①被用者保険の適用範囲を拡大するため、短時間労働者を被用者保険の適用対象とすべき事業所の企業規模要件について段階的に引き下げる。また、5人以上の個人事業所にかかる適用業種に弁護士、税理士等の資格を有する者が行う法律または会計にかかる業務を行う事業を追加する。
②高齢期の就労継続を早期に年金額に反映するため、在職中の老齢厚生年金受給者の年金額を毎年定時に改定する。また、特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度について、その支給停止が開始される賃金と年金の合計額の基準を引き上げ、支給停止とならない範囲を拡大する。
③現在60歳から70歳までとされている年金の受給開始時期の選択肢を60歳から75歳までに拡大する。
④確定拠出年金の加入可能年齢を引き上げるとともに受給開始時期の選択肢を拡大する。また、確定拠出年金における中小企業向け制度の対象範囲の拡大、企業型確定拠出年金加入者の個人型確定拠出年金加入の要件緩和など制度面および手続面の改善を行う。
この法律案の施行期日は一部の規定を除き、令和4年4月1日としている――と説明した。

加えて、加藤大臣は、衆院において4つの事項を主な内容とする修正が行われたとして、
「第1に、児童扶養手当と障害年金の併給調整の見直しに当たっては、児童が二人以上である受給資格者に支給される手当の額が児童が一人である受給資格者に支給される手当の額を下回ることのないように、政令で定めるものとすること。
第2に、附則第二条第一項及び第二項の検討は、これまでの財政検証において国民年金の調整期間の見通しが厚生年金保険の調整期間の見通しと比較して長期化していること等を踏まえて行うものとすること。
第3に、国民年金の第1号被保険者の育児期間に係る保険料負担に対する配慮の必要性等について検討を行うものとすること。
第4に、個人型確定拠出年金の加入の要件等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。」
と修正案を説明した。

年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案(政府原案)の附則第二条第一項及び第二項は次のとおり。
「第二条 政府は、この法律の施行後速やかに、この法律による改正後のそれぞれの法律の施行の状況等を勘案し、公的年金制度を長期的に持続可能な制度とする取組を更に進め、社会経済情勢の変化に対応した保障機能を一層強化し、並びに世代間及び世代内の公平性を確保する観点から、公的年金制度及びこれに関連する制度について、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律(平成二十五年法律第百十二号)第六条第二項各号に掲げる事項及び公的年金制度の所得再分配機能の強化その他必要な事項(次項に定める事項を除く。)について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
2 (略)」
附則第二条第一項中の「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律(平成二十五年法律第百十二号)第六条第二項各号に掲げる事項」とは次のとおり。
「第六条 政府は、次に掲げる措置の着実な実施のための措置を講ずるものとする。
(略)
2 政府は、公的年金制度を長期的に持続可能な制度とする取組を更に進め、社会経済情勢の変化に対応した保障機能を強化し、並びに世代間及び世代内の公平性を確保する観点から、公的年金制度及びこれに関連する制度について、次に掲げる事項その他必要な事項について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
一 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)及び厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)の調整率に基づく年金の額の改定の仕組みの在り方
二 短時間労働者に対する厚生年金保険及び健康保険の適用範囲の拡大
三 高齢期における職業生活の多様性に応じ、一人一人の状況を踏まえた年金受給の在り方
四 高所得者の年金給付の在り方及び公的年金等控除を含めた年金課税の在り方の見直し」

これに対し、小川克巳議員(会派(以下同)=自民党・国民の声)、芳賀道也議員(立憲・国民・新緑風会・社民)、梅村聡議員(日本維新の会)、倉林明子(日本共産党)が質疑を行い、安倍総理大臣および加藤厚労大臣が答弁した。

参院本会議で答弁する安倍総理。

5月19日には参院厚生労働委員会で加藤厚労大臣が趣旨説明、衆議院における修正部分については修正案の提出者を代表して岡本充功衆院議員(立国社)が説明。引き続いて本田顕子議員(自民)、平井大作議員(公明)、山本香苗議員(公明)、東徹議員(維新)、梅村聡議員(維新)が質疑を行い、これに対して、加藤厚労大臣、高橋俊之厚労省年金局長、日原知己同省大臣官房年金管理審議官が答弁した。

年金改正法案は5月19日参院厚生労働委員会で審議入りした。
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