年金時代

制度改正 令和元年財政検証結果を踏まえた年金改正法が5月29日参院本会議で可決、成立

年金改正法は5月29日、参院本会議で可決、成立した。

「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」は5月29日、参議院本会議において可決、成立した。より長くの人がより長く多様な形で働く社会へと変化するなか、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るため、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大、在職中の年金受給の在り方の見直し、受給開始時期の選択肢の拡充、確定拠出年金(DC)の加入可能要件の見直し等の措置を講じていく。

参議院に送付された年金改正法案は、5月15日参院本会議で加藤勝信厚生労働大臣が趣旨説明を行い、質疑に対し、安倍晋三内閣総理大臣と加藤厚労大臣が答弁した。19日には厚生労働委員会で加藤大臣が趣旨説明を行い、質疑が行われた。質疑は21日にも行われ、24日午前の厚生労働委員会では、参考人として、社会保障審議会年金部会長の神野直彦氏(日本社会事業大学学長、東京大学名誉教授)、井上隆氏(日本経済団体連合会常務理事)、西沢和彦氏(日本総合研究所主席研究員)の三氏が意見陳述。それに対する質疑が行われた。同日午後の質疑では、安倍総理が出席、答弁した。28日、厚生労働委員会は質疑を終局。共産党の委員が反対の討論を行った後、採決となり、賛成多数で可決した。なお、法案には附帯決議が付された。そして、29日参院本会議において採決、年金改正法が成立した。

より長く多様な形となる就労の変化を年金制度に反映し、長期化する高齢期の経済基盤を充実

今後は、より多くの人がより長く多様な形で働く社会へと変化していくことが見込まれている。そうしたなか、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図っていくため、以下のような措置を講じていく。改正内容について見ておく。(施行期日は以下に記す以外は令和4年4月1日)

①被用者保険の適用拡大

短時間労働者を被用者保険の適用対象とする事業所の企業規模要件について、現行の500人超を令和4年10月1日に100人超、令和6年10月1日に50人超に段階的に引き下げる。
5人以上の個人事業所の適用業種に、弁護士、社労士等の資格者が行う法律または会計に関係する業務を行う事業を追加する。(令和4年10月1日施行)
厚生年金・健康保険の適用対象である国・自治体等で勤務する短時間労働者に対して、公務員共済の短期給付を適用する。(令和4年10月1日施行)

②在職中の年金受給の在り方の見直し

高齢期の就労継続を早期に年金額に反映するため、65歳以上の在職中の老齢厚生年金受給者の年金額を毎年定時に改定する。
60歳から64歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度について、支給停止とならない範囲を拡大する。具体的には、支給停止が開始される賃金と年金の合計額の基準を、現行の28万円から47万円(令和2年度額)に引き上げる。

③受給開始時期の選択肢の拡大

現在60歳から70歳の間となっている年金の受給開始時期の選択肢を、60歳から75歳の間に拡大する。原則の65歳より前に繰り上げて受給する場合の減額率は1月あたり▲0.4%(60歳0ヵ月まで繰り上げた場合最大▲24%)、原則の65歳より後に繰り下げて受給する場合の増額率は1月当たり+0.7%(75歳0ヵ月まで繰り下げた場合最大+84%)とする。

④確定拠出年金の加入可能要件の見直し等

確定拠出年金(DC)の加入可能年齢を引き上げる。具体的には、企業型DCについては厚生年金被保険者で65歳未満であった加入可能年齢を70歳未満に引き上げ、個人型DC(iDeCo)については公的年金の被保険者で60歳未満であった加入可能年齢を65歳未満に引き上げる。また、現行60歳から69歳までとされている受給開始時期の選択肢について、75歳まで受給可能の上限年齢を引き上げる。(令和4年4月1日・同年5月1日等施行)
中小企業における企業年金の実施率が低下傾向にあることから、中小企業向けに設立手続を簡素化した簡易型DCや、企業年金の実施が困難な中小企業がiDeCoに加入する従業員の掛金に追加で事業主掛金を拠出することができる中小事業主掛金納付制度(iDeCoプラス)について、制度を実施可能な従業員規模を現行の100人以下から300人以下に拡大する。また、企業型DC加入者がiDeCoに加入しやすいよう要件緩和するなど、制度面・手続面の改善を図る。(公布日から6月を超えない範囲で政令で定める日・令和4年10月1日等施行)

⑤その他

新たに国民年金第1~3号被保険者となった者(20歳到達者、20歳前に厚生年金被保険者となった者等)に対する資格取得のお知らせとして、国民年金手帳の交付から基礎年金番号通知書の送付に切り替える。
国民年金保険料の申請金額免除基準は個人住民税非課税基準に準拠しているが、平成31年度地方税法改正により、令和3年度分の個人住民税(所得割・均等割)から、単身児童扶養者(未婚のひとり親)が、個人住民税の非課税措置の対象に加えられることとなったことに伴い、国民年金保険料の申請全額免除基準においても対象に追加する。(令和3年4月1日施行)
平成31年4月に施行された改正出入国管理法により、期間更新に限度のある在留資格における在留期間の上限が5年になる(特定技能1号)とともに、制度創設当時と比べて3~5年滞在した者の割合が外国人出国者全体の約5%から約16%に増加していることから、支給上限年数を現行の3年から5年に引き上げる。(令和3年4月1日施行)
年金生活者支援給付金の支給要件の判定は、日本年金機構が国保中央会を経由して市町村から所得・世帯情報を取得したうえで実施している。施行初年度は、支給要件に該当する者に対して、はがき型の簡易な請求書を送付した。しかし、施行後の当該所得・世帯情報の調査は、年金生活者支援給付金の支給に関する法律第37条によれば、既存の支給対象者(受給資格者)のみに限定されている。このため、たとえば、所得額が前年より低下したことなどにより、新たに支給対象となる可能性のある者に対しては、同条の規定による情報取得ができないことから、簡易な請求書を送付することができず、自ら要件に該当することを確認することがむずかしい人は請求漏れとなる可能性がある。そこで、受給者の手続の簡素化と、給付金の請求漏れを防止するため、支給要件に該当する可能性のある人に対して、簡易な請求書が送付できるよう、年金生活者支援給付金の支給に関する法律第37条に規定する所得・世帯情報の取得の対象者の範囲を、支給要件に該当する可能性のある者(基礎年金受給者等)に拡大する。また、簡易な請求書の送付に伴い、所得情報の切替時期を8月~翌年7月から、10月~翌年9月に変更する。(公布日施行)
そのほか、児童扶養手当と障害年金の併給調整の見直しなどを実施する。(令和3年3月1日施行)

 

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令和2年5月29日に成立した「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」について、改正項目ごとに実施時期とその内容をコンパクトにまとめています。今回の改正は公的年金・企業年金・個人年金にまたがっています。表紙に目次を入れていることで、該当する部分だけを確認することも可能です。
表紙には、ご名称を刷り込むこともできます。

令和2年 年金制度改正のポイント

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発行:令和2年6月8日発刊
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