年金時代

雇用労働 最低賃金引き上げ方針は堅持も新型コロナの影響は考慮

政府は6月3日、全世代型社会保障検討会議(議長=安倍晋三・内閣総理大臣)を開催し、令和2年度の最低賃金改定について、より早期に全国加重平均1,000円をめざすとしたこれまでの方針を堅持する考えを表明した。ただ、新型コロナウイルス感染症等の影響で経済情勢や雇用環境は急激に悪化しており、中小企業・小規模事業者が置かれている厳しい状況を考慮して検討するとした。最低賃金の改定は厚生労働省の中央最低賃金審議会で審議され、7月末頃を目途に改定額の目安が示される予定だ。

最低賃金の引き上げは、安倍政権において成長と分配の好循環を実現するための重要な政策の一つに位置づけられており、これまで4年連続で年率3%を超える引き上げが実施されている。昨年6月21日に閣議決定された骨太の方針2019においても「景気や物価動向を見つつ、地域間格差にも配慮しながら、これらの取組とあいまって、より早期に全国加重平均が1,000円になることを目指す」方針が示されていた。だが、新型コロナウイルス感染症等の影響で経済情勢や雇用環境が急激に悪化。雇用を守ることが最優先課題とされる中で、こうした政府方針をどうするかが論点となっていた。

この日の会議には、日本商工会議所の三村明夫会頭、全国中小企業団体中央会の森洋会長、日本労働組合総連合会の神津里季生会長が参加。日商の三村会頭と中央会の森会長は、当面は事業の継続と雇用の維持が最優先課題であり、今年度の引き上げは凍結すべきなどと主張した。一方で連合の神津会長は、新型コロナウイルス感染症の影響による雇用不安、生活不安を抱える中、最低賃金の改定は社会安定のセーフティネットを促進するメッセージになり得ると指摘。今後の経済再生を展望するためにも、雇用の維持とともに労働条件を引き上げていくことで生活レベルを維持し、消費を喚起していくことが不可欠だと訴えた。

過去の景気悪化時の改定状況を見ると、リーマン・ショック発生後の2009年の最低賃金改定では全国加重平均10円、2011年の東日本大震災時は同7円引き上げられている。ただ、当時は最低賃金が生活保護水準を下回る逆転現象の解消を図るために引き上げられた経緯があり、中央最低賃金審議会が示した目安の額は2011年が2円、2009年は現行水準の維持を基本として目安を示さなかった。

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