年金時代

第203回国会審議から――脱炭素社会に関連して(11月10日 衆院環境委員会)

小泉進次郎環境大臣は、11月10日の衆議院環境委員会において、脱炭素社会についての考えを述べた。

○小泉進次郎環境大臣
我々は今、2つの歴史的危機に直面している。1つは、近年、異常気象が頻発する中で、今年6月に環境省が政府として初めて宣言した気候危機だ。もう1つは、新型コロナウイルス感染症だ。これら2つの危機に直面し、時代の転換点に立っている今こそ、我々が、コロナ以前の経済社会に戻るのではなく、2050年に向かって、持続可能で強靱な社会への変革を実現できるかどうかが問われている。
こうした中、先般の菅総理の所信表明演説において、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわちカーボンニュートラルをめざすことが宣言された。これまで政府目標の引上げを訴えてきた一人として、うれしく思うと同時に、身の引き締まる思いだ。そして、グリーン社会の実現が、デジタル社会の実現と並び、政権の中心課題に位置づけられるとともに、もはや、温暖化への対応は経済成長への制約ではなく、積極的に温暖化対策を行うことが、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要であることがうたわれた。環境省として、グリーン社会の実現に積極的に貢献していく。
水俣病を原点とする環境庁創設から来年で50年の節目を迎える環境省は、社会変革担当省として、各省との連携を強化し、2050年に向けて、脱炭素社会への移行、循環経済への移行、分散型社会への移行という3つの移行を通じて、持続可能で強靱な経済社会へのリデザイン(再設計)をいっそう強力に進めていく。
第1に、3つの移行のうち、脱炭素社会への移行について申し上げる。
10月30日に開催された地球温暖化対策推進本部において、総理から私に対し、新たな地域の創造や国民のライフスタイルの転換など、カーボンニュートラルへの需要を創出する経済社会の変革や、国際的な発信に取り組むよう指示を受けた。
すでに足もとでは、地方自治体や民間企業などのさまざまな主体により、脱炭素化の動きが始まっている。また、世界では約120の国々が2050年までのカーボンニュートラルをめざし、新たな成長のエンジンとすべく動き始めている。アメリカでは、パリ協定への復帰と2050年までのカーボンニュートラルを公約に掲げるバイデン氏が大統領選挙の勝利宣言をした。バイデン氏が大統領に就任すると、アメリカの気候変動政策の大きな転換が予見される。アメリカの動向を注視し、気候変動問題のみならず、さまざまな環境分野で日米両国の関係をいっそう強化していく。
2050年までのCO2排出量実質ゼロをめざす地方自治体であるゼロカーボンシティーは、私が環境大臣に就任した昨年9月時点では4自治体、人口規模で約2,000万人だったが、すでに170自治体に増加し、人口規模で8,000万人を超えた。菅総理が指示された国と地方で検討を行う新たな場も活用しながら、再生可能エネルギーの導入拡大とエネルギーの地産地消に向けて、地域との合意形成や設備導入などへの支援を行うとともに、こうした地域における脱炭素化の取組を後押しするため、地球温暖化対策推進法の改正に向けた検討を行う。
民間企業においては、事業に必要な電力を再エネ100%で賄うRE100への参画をはじめとして、脱炭素経営が広がっており、こうした取組を後押ししていく。加えて、ローカルSDGSの実現に向けた地域金融機関によるESG地域金融など、ESG金融の普及、展開も促進していく。

RE100とは、企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアティブがあり、世界や日本の企業が参加している(環境省ホームページ

また、コロナ後の新たなライフスタイルへの転換の機会をとらえ、カーボンニュートラルへの需要を創出する経済社会の変革に取り組む。我が国では、入浴時にヒートショックなどで亡くなる方が毎年最大で約2万人に及ぶとの推計がある。CO2排出を削減するのみならず、国民の健康と命を守るためにも、高い断熱性能を有するネット・ゼロ・エネルギー住宅(ZEH、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)やネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)の普及を促進していく。また、世界でガソリン車の販売禁止が拡大する中、EV(電気自動車)に注目が集まっている。EVなどの電動車を動く蓄電池としてとらえ、関係省庁とも連携しながら電動車の普及加速にも取り組む。加えて、リモートワークの普及などでデジタル化が進む中、再エネ100%によるゼロエミッションデータセンターの構築にも取り組んでいく。
さらに、2050年カーボンニュートラルに向けた具体的な行程を検討する。このため、すでに作業を開始している地球温暖化対策計画の見直しにおいても、この新たな目標を踏まえて、2030年に向けた取組について議論を進め、来年11月の気候変動枠組み条約のCOP26までに国連に通報することをめざす。加えて、パリ協定に基づく長期戦略にも新たな目標を位置づけ、必要な見直しを行う。我が国の目標や取組を積極的に世界に発信し、環境先進国日本としての確固たる地位を築くとともに、世界全体でのカーボンニュートラル達成に貢献していく。

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