年金時代

[雇用保険]労使が雇用保険の国庫負担割合の引き上げ等を主張

労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会は9月8日、雇用保険制度の見直しに向けて議論を開始した。令和4年度以降の保険料率や国庫負担、新型コロナへの対応などについて年内に報告書をまとめる予定だ。保険料率や国庫負担の見直しには法改正が必要であり、厚労省は報告書を踏まえて雇用保険法等改正案を提出する運び。

雇用調整助成金の支出増等により雇用保険の財政状況が悪化しており、労使代表は国庫負担割合の引き上げを主張。また使用者代表は今後の雇用調整助成金等の財源について国庫負担による対応を強く求めた。

新型コロナの影響で財政状況が悪化

雇用保険については保険料や国庫負担割合が法律上の規定よりも引き下げられている一方、失業等給付や雇用保険二事業の収支状況が新型コロナウイルス感染症まん延の影響により、悪化している。

雇用調整助成金の財源である二事業の雇用安定資金は令和2年度でなくなり、収支は1兆5,410億円のマイナス。失業等給付の積立金も、新型コロナによる失業者増加の影響や二事業への貸出などで、令和3年度予算の段階で4,039億円となる。令和2年度決算から1兆5,787億円も減少する。

雇用保険料率は法律上、一般の事業で1,000分の15.5(失業等給付分1,000分の8、育児休業給付分1,000分の4、二事業分1,000分の3.5)となっている。これが、平成29年度から令和3年度まで失業等給付分を引き下げる暫定措置と、弾力条項で令和3年度の保険料率は1,000分の9となっている(失業等給付分が1,000分の2にまで、二事業分が1,000分の3まで引き下げられている)。弾力条項とは、財政状況に照らして一定の要件を満たす場合に雇用保険料率を厚生労働大臣が変更できるものだ。

また失業等給付には国庫負担がある。給付内容により負担割合が異なる。たとえば求職者給付(基本手当・特例一時金)は費用の25%を国庫負担で賄う。

それを平成19年度から、本来の55%の額に暫定的に引き下げてきた。さらに平成29年度から令和3年度までは、時限的に国庫負担割合が100分の10に引き下げられている。たとえば基本手当の場合だと国庫負担割合は2.5%となっている。なお雇用保険法附則第15条では、令和4年度4月1日以降できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で国庫負担の暫定措置を廃止することが規定されている。

失業給付等の積立金は、景気回復を受け、平成25年度には6兆円を超え、平成28年度には約6兆3千億円になっていた。二事業の雇用安定資金残高も平成27年度には1兆円を超え、令和元年度まで増加し1兆5,410億円になっていた。こうしたことを背景に平成29年度以降、保険料率や国庫負担割合が一層引き下げられた経緯がある。

部会の意見交換で労働者側の委員は「時々の財政状況により国の責任が小さくなるわけではない。労使の保険料を引き上げるよりもまずは(失業等給付に係る)国庫負担割合を引き上げるべき」と発言した。

使用者側の委員は、新型コロナの感染状況や雇用状況、経営状況を踏まえ、雇用調整助成金における新型コロナの特例措置について当面の間はその水準を維持するように要望。さらに財源について「全額一般会計で対応すべき」と主張した。経営状況が厳しいことや10月に最低賃金の引き上げがあることを踏まえ、保険料率の引き上げについては「弾力条項の要因以外で将来に渡り引き上がることがないよう強く要望する」と述べた。さらに失業等給付に係る国庫負担について「令和4年度以降は本則に戻すべき」とし、3年度までの時限的な引き下げを解消するとともに、平成19年度以降続いてきた暫定的な引き下げも廃止するよう求めた。

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