年金時代

[雇用保険]労使代表が教育訓練給付の効果検証の必要性を指摘

労働政策審議会職業安定分科会の雇用保険部会(部会長=守島基博・学習院大学経済学部教授)は10月13日、雇用保険制度の見直しに向け、教育訓練給付などについて意見交換を行った。労使双方の代表委員が教育訓練給付の効果検証の必要性を指摘。厚労省は対応を検討していく。同部会は年内に雇用保険制度の見直しについて意見をとりまとめる予定だが、教育訓練給付では、今年度末で暫定措置が終了する「教育訓練支援給付金」の扱いが焦点になる見込みだ。教育訓練支援給付金の暫定措置を延長する場合は雇用保険法の改正が必要になる。

教育訓練支援給付金の暫定措置は今年度末まで

教育訓練給付は、労使の保険料で賄われ、国庫負担はない。類型は、⑴専門実践教育訓練給付⑵特定一般教育訓練給付⑶一般教育訓練給付──の三つがある。いずれも受給には雇用保険の被保険者期間が原則3年以上必要だ(初回の場合、⑴は2年以上、⑵・⑶は1年以上でも可能)。

このうち、⑴専門実践教育訓練給付は、中長期的なキャリアアップを支援するもので、看護師・介護福祉士など業務独占または名称独占資格に係る養成施設の課程など7類型に該当し、一定の要件を満たす場合に受講費用の50%(上限年間40万円)を6ヵ月ごとに支給する。要件として、業務独占または名称独占資格に係る養成施設の課程の場合、受験率や合格率、就職・在職率の実績が一定以上であることが求められる。訓練終了後1年以内に資格を取得し、就職した場合には受講費用の20%(上限年間16万円)を追加で支給する。現在、2,584講座が対象だ。令和2年度で約8万人が受給しており、支給額は約116億円である。

さらに、専門実践教育訓練(通信制・夜間制を除く)を受講し修了する見込みがある45歳未満の若年離職者には「教育訓練支援給付金」が2ヵ月ごとに支給される。支給額は、基本手当日額の80%。これは今年度末までの暫定措置となっている。令和2年度で約3万7千人が受給し、支給額は約85億円である。

教育訓練支援給付金は、平成25年の日本再興戦略を受け、26年10月から30年度末までの暫定措置として導入された。支給額は当初、基本手当日額の50%であったが、29年改正により30年1月から現行の水準となり、実施期限も今年度末まで延長された経緯がある。

専門実践教育訓練受給者のうち6割が45歳未満であり、そのうち2割程度が教育訓練支援給付金を受給している。

⑵特定一般教育訓練給付は、速やかな再就職および早期のキャリア形成に資する教育訓練の受講が対象となり、講座の期間は1年以内と短い。一定レベル以上の情報通信技術に関する資格取得を目標とする課程など3類型のいずれかに該当し、受験率や合格率、就職・在職率の実績が一定以上などの要件を満たす場合、受講費用の40%(上限20万円)を受講修了後に支給する。2019年10月から開始した制度であり、現在、484講座が対象だ。受給者は令和2年度で1647人と2千人に満たない。支給金額は約1.1億円だ。

⑶一般教育訓練給付は、⑴および⑵以外で雇用の安定・就職の促進に関する教育訓練受講を対象としている。受講費用の20%(上限10万円)を受講修了後に支給する。現在1万1,177講座が対象である。受給者は令和2年度で約8万9千人であり、支給金額は約34億円だ。

骨太の方針2021では、リカレント教育の推進が打ち出されており、▶教育訓練給付の効果検証により、その内容が労働市場のニーズに、よりマッチするよう不断の見直しを行うこと▶教育訓練給付におけるIT分野の講座の充実に向けた関係府省の連携推進や職業訓練のデジタル関連分野への重点化を図ること▶教育訓練給付制度におけるオンラインや土日・夜間の講座の充実を図ること―─などが示されている。

こうした状況を踏まえ、厚労省は教育訓練給付のあり方や、暫定措置として導入されている教育訓練支援給付金の扱いについて意見を求めた。

一般会計による負担を求める意見も

労働者代表委員は、教育訓練給付の対象となっている講座について失業の防止や離職者の早期再就職に効果があるのかを検証し、それに資するものに対象を限定すべきことを主張。「制度の効果が提示されないままに今後の制度のあり方を議論しても何も言えないのではないか」と述べた。また訓練の内容等によっては経産省や文科省など他省庁の制度を活用することも含めて検討していくことを提案した。

使用者代表委員は、一般教育訓練給付についてリカレント教育に資するよう夜間や土日の講座の充実およびデジタル分野の対象講座を増やすよう要請。また教育訓練給付は給付内容の拡充を志向するのではなく、「雇用や生活、労働生産性の向上などの効果をしっかりと検証し、更なる制度改善につなげていくことが重要だ」と訴えた。財源について雇用保険のみならず一般会計で支援するよう要望するとともに、安易な複数回受講を防ぐことも求めた。

教育訓練支給給付金について、現在の厳しい雇用保険財政等を踏まえ、恒久化はすべきではなく、効果検証を行った上で措置の内容や延長について検討していくことを主張。また「基本手当に類するもの」と指摘し、一般財源の負担がないことは制度としての整合性に欠けるとした。

その他、この日の雇用保険部会では、求職者支援制度についても意見交換を行った。同制度について労使代表委員双方から一般会計での実施を求める意見が出された。

厚生労働省ホームページ▶第156回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 資料
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