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[雇用労働]労政審分科会が「リカレントガイドライン」の策定に向け議論を開始

労働政策審議会人材開発分科会(分科会長=武石惠美子・法政大学キャリアデザイン学部教授)は10月20日、労働者の主体的なキャリア形成の促進に役立つ「リカレントガイドライン」の策定に向けて議論を開始した。年内に分科会として企業内や労働市場全体における人材開発に向けた考え方をまとめ、それを踏まえて年度内にガイドラインを策定する予定だ。

デジタル化への対応やコロナ禍の影響を踏まえて議論

「リカレントガイドライン」の策定は6月18日に閣議決定された規制改革実施計画等に盛り込まれている。規制改革実施計画には、正社員にとどまらない多様な働き手の自律的・主体的なキャリア形成の促進を主眼に置き、実務につながる教育訓練の実施など、働き手・企業が取り組む事項や人材開発施策に係る諸制度を体系的に示すものとしている。厚労省は現時点で主に企業内で活用することを想定しているが、具体的な内容等については分科会で議論していく。

令和3年度から5ヵ年で第11次職業能力開発基本計画がスタートしているが、この半年ほどで、コロナ禍によりテレワークの実施をはじめデジタル化が急速に進展する一方、デジタル化に対応できる人材が不足しており、デジタル分野への労働力の移動とともに人材の育成が大きな課題になっている。また長引くコロナ禍で非正規雇用労働者の雇用状況に影響も出ている。こうした状況を踏まえ、厚労省は、企業による人材開発の推進と同時に、労働者の主体的・継続的な学びが重要になっているとして、議論を要請した。なお厚労省は第11次基本計画の修正等は想定していないとしている。

議論を進めるに当たって厚労省は、社会変化に対応した人材開発施策のあり方・検討の視点として、①求められる人材要件やスキルの明確化・共有、②①を踏まえた効果的な教育訓練プログラムの開発・提供、③労働者が目標を持ち効果的な学びを進めるための伴走支援──のプロセスが重要になるのではないかと提起。そのうえで、①~③に対応して必要な取組や、労使・国などの関係者が果たす役割について企業内と労働市場全体を分けて整理することを提案するとともに、リカレント教育でキャリアコンサルタントの活用を考える厚労省は、企業内と労働市場全体において、キャリアコンサルティングに期待される役割に関して意見を求めた。

分科会の委員からは、次のように幅広い意見が示された。

▶デジタル人材を含めて人材開発については、企業・業界によって多種多様な要件・スキルがある。デジタル人材についてはデジタル技術の導入前、あるいは後で求められる要件・スキルは異なるし、業界によっても異なる。一括りにしてスキルを考えるのではなく、各業界の状況を踏まえて多角的な検討が必要。

▶第11次計画の開始後の状況変化の一つに雇用保険財源の枯渇を明確に位置付けるべき。

▶中小企業ではデジタル人材・IT人材が不足している一方、教育訓練費には限りがある。在職者訓練をはじめとした公共職業訓練でデジタル関連のプログラムを拡充していく視点が大事。

▶改正高齢者雇用安定法を踏まえシニア層に対するキャリアコンサルティングの重要性が高まるのではないか。

▶求められるのは自律型の人材。自分のスキルを明確化することによって自律型の人材になって自律型の学びにつながる。そうした視点で議論することが重要。

▶教育費用をどのように確保していくのかという視点が重要。

▶労働者の自主性は重要だが、リカレント教育を含めた人材育成は基本的に企業の責任において実施されることが重要。そうした観点から労働者の教育訓練の機会を保障する環境整備の重要性をガイドラインに盛り込むべき。

▶デジタル分野など長期的・安定的な雇用につながるプログラムとしていくことが重要。

▶労使の連携だけでなく、省庁間の連携も重要だ。厚労省の雇用保険財源だけでなく、他省庁の財源を積極的に活用することも必要ではないか。

厚生労働省ホームページ▶第29回労働政策審議会人材開発分科会 資料
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