年金時代

[雇用労働]厚生労働省が労働者協同組合法の指針案などを労政審分科会に提示

労働政策審議会勤労者生活分科会(分科会長=山本眞弓・弁護士)は10月29日、労働者協同組合法の来年10月からの施行を見据えて、政令・省令・指針案に関して具体的な検討に入った。厚生労働省は政省令骨子案や指針案を提示し意見を求めた。分科会は年度内に複数回の議論を行い、政省令・指針案の具体的な内容を固める。政省令・指針は、労政審への諮問・答申を経て来春公布される予定だ。

政令は2本制定の予定

労働者協同組合法は昨年12月の臨時国会で成立したもので、労働者協同組合は、組合員が出資し、それぞれの意見を反映して組合の事業が行われ、組合員自らが事業に従事することを基本原理とする組織だ。施行は来年10月1日から。

厚生労働省が10月29日に示した政省令骨子案や、指針案の主な内容は次のとおり。

政令は、(1)労働者協同組合法施行令と(2)企業組合及び特定非営利活動法人の組織変更の登記に関する政令の2本を制定する予定だ(名称は仮称)。このうち(1)で規定するのは、①組合が行うことができない事業(労働者派遣事業)②組合員等以外の者から監事の選任を要する組合の範囲③準用する会社法の規定の技術的読み替え──など。また(2)で規定するのは、①法施行の際、現に存する企業組合が労働者協同組合に組織変更する際の登記手続・登記手続の期限、必要となる書面等と②①について特定非営利活動法人の組織変更について準用すること──など。

省令案は、大きく▶第1章・組合名簿における電磁的記録等▶第2章・設立▶第3章・管理▶第4章・解散及び清算並びに合併▶第5章・労働者協同組合連合会▶第6章・雑則──の6章立てとなることが示された。このうち第3章・管理では、役員や決算関係書類、事業報告書、監査、会計帳簿、総会の招集手続きなどについて規定する。

「小規模な組合」の明確化が求められる

指針は、厚生労働大臣告示として示される予定だ。指針案(労働者協同組合の適正な運営を図るための指針案)は、労働者協同組合法および国会審議での法案提案者の答弁などを踏まえて作成された。指針案は大きく、▶第1・趣旨▶第2・組合の性質▶第3・組合に関する事項▶第4・組合員に関する事項▶第5・設立等に関する事項──の5つで構成される。

このうち第4・組合員に関する事項では、「組合員の性質」について説明。法第1条で「組合員自らが事業に従事する」と規定していることについて、「組合員が事業者であることを意味するものではなく、組合が事業者であり、個々の組合員は組合と労働契約を結んで組合の事業に従事する者であるという趣旨」と説明されている。

「労働契約の締結等」にも触れており、労働契約の締結に係る法第20条第1項の規定の趣旨について、「組合員を労働者として保護する観点から、組合員との間で組合が労働契約を締結しなければならないものとしていること」と紹介。組合員に労働基準法や最低賃金法、労働組合法などの労働関係法令が基本的に適用され、具体的な適用に当たっては個々の実態に応じて、各労働関係法令に定める労働者に該当するか否か等が判断されるとしている。

この点について厚生労働省は、「労働関係法令が適用され、何か違反や相談があれば、労働基準監督者や労働局で対応することが考えられる」と説明した。

他方、第6・管理に関する事項では、役員の数を規定しており、「小規模な組合を除き、役員の数は総組合員数の1割を超えることがないようにすることが望ましい」としている。この「小規模な組合」について、分科会では複数の委員が基準を明確にするよう求めた。

労働者協同組合の税制については現在、税務当局と相談を進めている。また労働者協同組合には社会保険制度が適用される。分科会では、指針において税制や健康保険・年金の適用について示す必要がないのか指摘された。厚生労働省は、指針や施行通知、FAQ、ホームページ上の掲載について方法を検討することを説明した。

また、法施行後1年程度で実態を把握するよう求める意見も出された。

その他、この日の会合では、ワーカーズ・コレクティブネットワークなど関係4団体からのヒアリングも実施した。各団体から設立の経緯や活動内容などが説明された。団体に参加する組織の取組では、介護福祉が多いことが示された。

ワーカーズ・コレクティブネットワークは、労働者協同組合への組織変更や新規取得を推進しており、9月末に同ネットワークに参加する全340団体に行った調査の中間集計について報告した。それによると、回答197団体のうち労働者協同組合法の認知度は97%と高く、組織変更は28団体が、新規取得は18団体がそれぞれ検討しており、69団体が政省令・指針等の詳細な情報が入手できれば具体的な検討に入る意向を示している。最終集計は10月末であり、組織変更・新規取得を目指す団体は増える見込みであるとした。こうした状況を踏まえ、同ネットワークは、「1日も早く政令・省令・指針が公布されることを望んでいる」と要望した。

分科会の次回会合は12月3日の予定。今回の意見や質問を踏まえ、政省令案・指針案について、より詳細が示され、さらに議論を深めていく方向だ。

厚生労働省ホームページ▶第24回労働政策審議会勤労者生活分科会 資料
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