年金時代

[公的年金]高橋年金局長が被用者保険の適用拡大の重要性を強調──令和3年度全国厚生労働関係部局長会議 

厚生労働省は1月26日、令和3年度全国厚生労働関係部局長会議の資料および説明動画を公開した。厚生労働省年金局の高橋俊之局長は、▶4月以降に施行される令和2年年金制度改正の内容▶新型コロナウイルス感染症への対応▶国民年金システムの標準化▶第1号被保険者に係る申請・届出のオンライン化──などについて説明。特に「短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大が、今回の制度改正で一番重要である」と強調するとともに、従業員および事業主双方のメリットを解説し、適用拡大の推進に意欲を示した。説明の最後には「年金制度は非常に複雑な制度だが、将来に渡って持続可能な制度としてしっかり運用する」と結んだ。高橋局長の発言概要は次のとおり。

短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大

令和2年6月に「年金制度の機能強化のための国民年金等の一部を改正する法律」が成立した。順次施行することになっている。項目は、①短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大②在職中の年金受給の在り方の見直し③受給開始時期の選択肢の拡大④確定拠出年金の加入可能要件の見直し──などだ。

短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大が、今回の制度改正で一番重要だ。2016年10月から、週労働時間20時間以上30時間未満の労働者について、①週労働時間20時間以上②月額賃金8.8万円以上③勤務期間1年以上見込③学生は適用除外⑤従業員500人超の企業等──の5つの要件を満たす人に対して適用拡大が施行されている。

今回の改正では、この③勤務期間1年以上見込みという要件は撤廃される。⑤従業員500人超の企業等の要件については当面、中小企業への配慮から経過的に設けられたものであり、これを段階的に拡大していく。今回の制度改正ではまず2022年10月から100人超規模の企業まで適用する。2024年10月からは50人超規模の企業まで適用する。こうしたことが今回の法律で定められており、50人以下の企業については検討規定が設けられ、次の年金制度改正の検討課題となっている。

適用拡大は、従業員と事業主でも大変メリットがある。パート・アルバイトの方だと年収106万円の場合で国民年金保険料・国民健康保険料で大体、合わせて月額1万9,100円を本人が納めることになっていた。これからは、被用者保険の厚生年金・健康保険の適用になり、会社が保険料を半分負担するので本人負担が減る(各月額1万2,500円)。しかも未納はなくなるので確実に年金給付につながる。厚生年金は2階部分がつくので、低年金を防ぐことができる。事業主にとっても従業員の労働環境が向上することで人材確保に役立つ。

いわゆる扶養基準130万円の範囲内で働いている人は配偶者の被扶養で保険料がかからない。こういう方々が就労調整を図っているが、これからは「130万円のカベ」を意識しないで働くことができる。これまでは130万円超の場合、本人が国民年金・国民健康保険の保険料を月額2万2,500円負担することになるが、基礎年金は増えない。医療保険も保険料負担は増えるが給付は変わらない。これからは年収106万円(月額8.8万円)で厚生年金・健康保険に加入し、保険料負担は増えるけれど、給付も増える。これはもう「カベ」ではなく、働けば働くほど給付も厚くなる。実際、500人超規模の企業では2016年10月から適用拡大が始まっているが、スタートしたときは就業時間を増やした人の方が減らした人よりもずっと多かった。従業者を確保する意味で事業者にもメリットがある。こうしたメリットをよく理解していただきたい。この10月から適用拡大をしっかりと行っていく。

障害基礎年金は1級、2級しかないが、障害厚生年金は3級まである。保障が2階建てになるだけでなく、ワイドになるのだ。医療保険でも傷病手当金や出産手当金が出る。そうした点で保障が厚くなる。詳しくは厚生労働省の「社会保険適用拡大特設サイト」にて紹介している。

また被用者保険の非適用業種の見直しも行われる。常時1名以上使用される者がいる、法人事業所は被用者保険が強制適用されている。また常時5名以上使用される者がいる、法定16業種に該当する個人の事業所も強制適用されている。農林漁業、士業、宿泊業などが法定16業種に入っていなかった。任意適用はできたが、強制ではなかった。今回の法改正では、弁護士・税理士・社会保険労務士等の法律・会計事務を取り扱う士業を適用する17業種目に追加する。それ以外の業種については今後の検討課題だ。ご理解をいただきながら適用拡大を推進していきたい。

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