年金時代

[雇用労働]雇用調整助成金の不正受給対策を強化へ

厚生労働省は2月25日、労働政策審議会職業安定分科会・同分科会雇用保険部会の合同会合において、雇用調整助成金の不正受給対策を強化する方針を示した。都道府県労働局に通知するとともに、全国社会保険労務士会連合会を通じて各都道府県社労士会にも協力を要請する考えだ。

雇用調整助成金はコロナ禍で特例措置が実施され、申請が増加。迅速な支給決定ができるよう手続の簡素化にも取り組んだ。1日当たりの申請件数(令和3年度の月平均)は1万1,000件~1万6,000件台で推移してきた。支給決定額は5兆3,470億円、支給決定数は579万件に上る(令和4年2月11日時点)。

申請件数が高水準で推移する中、書類審査で不正申請が見つけにくくなる側面もあり、不正受給も増加。令和2年9月から3年12月末までで、不正受給は261件、約32.3億円となっている。このうち回収できたのは218件、約21.5億円だった。

不正受給では、▶雇用関係が無い者を雇用関係があるとしたケースや、休業の実態が無いのに休業としたケースなどが報告されている。

厚労省は不正受給対策を強化するよう都道府県労働局に指示する方針。具体的に、①不正が疑われる事業主への積極的な調査の実施②不正受給に対応するチームの編成③労働局間での不正手口等の情報の共有④警察等の関係機関との連携──を進める。

事業主や従業員に向けた、注意喚起のリーフレットも作成する。リーフレット案によると、不正受給への具体的な対応を明示するとともに、従業員が不正受給に関する情報を把握している場合等に、各都道府県の労働局等に連絡するよう求める考えだ。

具体的な対応では、都道府県労働局による事前の予告なしの現地調査を進める。不正受給を行った事業所名等は積極的に公表する。不正受給における、“指南役”の氏名等も公表の対象になる場合がある。不正受給を行った場合は返還請求が行われるが、具体的に「不正発生日を含む期間以降の全額」と、ペナルティとしての「不正受給額の2割相当額」、延滞金の合計額の返還を求める。さらに雇調金のみならず、他の雇用関係の助成金も5年間は不支給となる。他方、都道府県労働局は不正受給の対応で各都道府県警と連携を強化し、悪質な場合は捜査機関に刑事告発する。不正受給は、刑法第246条の詐欺罪等に問われる可能性がある。

合同会合では、複数の委員が不正受給対策の強化を支持。「従業員が通報した場合に保護されることは重要」と指摘し、通報した従業員への不利益取扱いが許されない旨をリーフレットに記載するよう求める意見も出された。

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