年金時代

[雇用保険]雇用保険法等一部改正法案の国会審議が開始

雇用保険料率の段階的な引き上げなどを盛り込んだ「雇用保険法等の一部を改正する法律案」の審議が3月3日から開始された。同日の衆議院本会議において、後藤茂之厚生労働大臣が法案の趣旨を説明し、それに対して公明党や立憲民主党などの議員が質疑を行った。後藤大臣は翌4日、衆議院厚生労働委員会で法案の提案理由説明を行った。法案の審議は今後、同委員会において本格化する。

答弁する後藤厚生労働大臣(3月3日、衆議院本会議)

雇用保険料率を段階的に引き上げ

後藤厚労大臣は、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大が雇用に大きな影響を与える中、雇用の安定と就業の促進を図ることが重要な課題だ。また、雇用保険財政の安定確保を図るため、その費用負担について所要の措置を講ずる必要がある。こうした状況を踏まえ、失業等給付の特例の継続、求人メディア等のマッチング機能の質の向上、地域のニーズに対応した職業訓練の推進等の措置を講ずるとともに、雇用保険について、保険料率の暫定的な引き下げ、機動的な国庫負担の仕組みの導入を行うため、この法律案を提出した」と趣旨を説明した。

同法案には、①雇止めによる離職者への基本手当の給付日数を最大330日まで拡充する特例措置の延長や、②雇用保険料率を段階的な引き上げ、③失業等給付の国庫負担について雇用情勢等に応じて繰入を可能とする仕組みの導入、④Webを活用した新たな求人メディア等が対象となるよう職業安定法の「募集情報等提供」の定義を拡大するとともに、求職者情報を収集している募集情報等提供事業者への規制を強化することなどが盛り込まれている。施行は一部を除き、4月から。

②雇用保険料率の段階的な引き上げでは、一般の事業の雇用保険料率は令和3年度の1000分の9から、令和4年度は4月~9月までは1000分の9.5、10月~来年3月までは1000分の13.5とする。このうち失業等給付の保険料率は原則、1000分の8であるが、令和4年度は9月までは現行の1000分の2に据え置き、10月から来年3月までは1000分の6に引き上げる(改正法が成立した後、見直しがなければ令和5年度から1000分の8になる)。他方、雇用保険二事業の保険料率は財源の枯渇から現行の1000分の3から4月には1000分の3.5に引き上げる。育児休業給付は1000分の4のままで変更はない。

雇用保険料率の引き上げの事務負担軽減で計算支援ツールを作成 

公明党の角田秀穂議員は、失業等給付の保険料率の年度途中の変更について事業主等への丁寧な周知等の必要性を指摘した。

後藤大臣は、「変更内容のお知らせや説明会の実施などによりできる限り早期に事業主への周知が行き届くようあらゆる機会を通じた周知の徹底に努めていく。保険料納付の際の事務負担の軽減で申告に当たって活用できる計算支援ツールを作成しホームページにて周知するとともに、都道府県労働局における丁寧な相談対応を行う」と答弁した。

また角田議員は、雇用保険制度の見直しで導入される失業等給付の国庫負担の新たな繰入の発動について質した。

後藤大臣は、「新たな国庫負担の繰入の要件は、失業等給付にかかる保険料率が法律上の本則である1,000分の8である場合に加え、翌年度に保険料率が1,000分の8となる場合や、雇用情勢や雇用保険財政が急激に悪化した場合も対象となるよう政令で定める予定だ。これにより失業者の増大等による財政リスクの発生の際により国庫を機動的に投入できる仕組みとなる。こうした仕組みを設けることで雇用保険財政の安定的な運営を図っていく」と答えた。

立憲民主党の井坂信彦議員は、雇用保険制度の国庫負担水準の在り方等について質した。

後藤大臣は、「雇用保険財政はコロナ禍の対応により極めて厳しい状況にあることから、令和3年度補正予算において一般会計からの約2.2兆円の繰入を実施し、また今般の法案において国庫負担・保険料の両面から見直しを行う」と説明。国庫負担については「雇用情勢や雇用保険の財政状況に応じた仕組みとする。雇用保険および雇用保険財政が悪化したときには4分の1、それ以外のときには40分の1としたうえで、これに加えて機動的に国庫からの繰入を可能とする仕組みを常設化する。政府としては雇用保険のセーフティネット機能を果たすため、このような仕組みにより、雇用保険財政の安定的な運営を確保する必要があると考えている」と改正の意義を強調した。

さらに40分の1の国庫負担割合について、「現行の国庫負担割合を基にしており、雇用情勢等にかかわらず、政府の経済政策、雇用政策の結果としての失業の発生に対する国の責任を継続的に果たすために設定したもの」と説明した。

なお雇用保険制度の国庫負担は現在の法律の本則では4分の1だが、平成29年度以降、当時良好だった雇用情勢・雇用保険財政を踏まえ、40分の1に軽減されている。

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