年金時代

[社会保障]勤労者皆保険の実現に向け議論を開始──全世代型社会保障構築会議に当面の論点が示される

政府は3月9日、全世代型社会保障構築会議の第2回会合を開催し、「勤労者皆保険の実現」など大きく6項目による当面の論点を示し、議論を求めた。会議では、勤労者皆保険の実現について、複数の構成員が厚生年金・健康保険の適用拡大を進めることを支持。さらにフリーランス等の就労実態にふさわしい新たな被保険者類型の検討が提案された。同会議は今後、6月にまとめられる予定の骨太の方針や、新しい資本主義実現会議のグランドデザインへの反映を念頭におきながら議論を深めていく。

首相官邸。

当面の論点では、「人への投資」の観点から、①勤労者皆保険の実現②女性の就労の制約となっている制度の見直し③男女が希望どおり働ける社会づくり・子育て支援④家庭における介護負担⑤地域共生社会づくりについて⑥医療・介護・福祉サービスについて──の大きく6項目があげられている。

このうち①勤労者皆保険の実現については、令和2年年金制度改正法に基づき、厚生年金・健康保険の適用拡大を着実に進めるとともに、適用拡大をさらに進めるため、対象範囲を規定する各要件等や、長期的な課題としてフリーランスやギグワーカーへの社会保険の適用への検討を提起した。

また②女性の就労の制約となっている制度の見直しでは、適用拡大後に社会保険料負担が生じる年収106万円の「壁」など、「既婚女性の働くインセンティブを阻害する仕組み(社会保険や企業慣行等)の問題」があげられている。

会議では、複数の構成員が①勤労者皆保険について適用拡大を進めることを支持。上智大学の香取照幸教授(元厚労省年金局長)が資料を提出した。資料では、勤労者皆保険の実現のため、「厚生年金・健康保険の適用拡大を着実に進める」よう求める一方、現行の被用者保険制度が「フルタイム常用労働者」を前提として設計されていることから、雇用形態・就労(就業)形態が多様化する中では、限界があることを指摘。フリーランス・ギグワーカー等を含め、現行制度の適用拡大では包摂しきれない非典型労働に従事する就労者(就業者)については、「就労実態にふさわしい別の形の被保険者類型(いわば『第4号被保険者』)の創設を検討すべき」と提案している。

また香取教授は、②女性の就労の制約となっている制度の見直しについては、「勤労者皆保険の考え方に立てば、稼得金額や労働時間、就労形態(雇用形態)の如何を問わず、働いていれば被用者保険の適用があり、就労収入の多寡を問わずその収入に応じた保険料を負担し、負担に見合った給付を受ける、という制度設計が基本になるのではないか」と指摘している。

その他、会議では、厚生年金では短時間勤務を適用除外としていることから、企業からみると事業主負担がなく労働コストが安くなるので、結果的に非正規雇用を進めているのではないかという指摘も出された。

内閣官房▶全世代型社会保障構築会議(第2回)議事次第
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