年金時代

[雇用労働]雇調金の産業別課題を整理、対策提案に向け検討開始──厚労省がPT設置

厚生労働省は4月25日、「アフターコロナ期の産業別雇用課題に関するプロジェクトチーム」の初会合を開催した。PTでは、雇用調整助成金の支給動向からみる産業別の傾向や産業雇用安定助成金の活用の課題等を分析するとともに、飲食店など雇調金の活用実績が多い産業分野の関係団体や個別企業等からのヒアリングを踏まえて、産業別の課題を整理し、対策の方向性を提案する方針。6月に議論を取りまとめる予定だ。アフターコロナ期の経済回復を見込み、人手不足分野や成長分野への円滑な労働力移動も視野に入れて検討していく。なお、厚労省では雇調金の特例措置の延長等については別途検討し、5月中に示す予定だ。

PTのリーダーには古賀篤厚労副大臣。サブリーダーを深澤陽一大臣政務官が、事務局長を職業安定局雇用開発企画課長がそれぞれ務める。職業安定局雇用開発企画課や雇用政策課の職員などが参加。古賀副大臣の声掛けにより立ち上がったという。

前列向かって左から2人目が古賀厚労副大臣、右隣が深澤大臣政務官。

雇調金の長期継続は運輸業で多い傾向

厚労省の資料によると、雇調金の支給決定額は令和3年夏以降減少傾向にあり、昨年6月に2,294億6,800万円であったのが、今年3月に921億1千万円になった。また1件当たりの支給決定額も減少傾向にあり、昨年7月には102万3千円であったのが、今年3月には65万8千円になった。ただし業種別に支給決定に違いが出ている。たとえば累計支給決定額が最も大きいのは飲食店であり、今年3月末までの支給決定額は5,252億8,300万円。1件当たりの支給決定額が最も大きいのは航空運輸業で、2,394万2千円となっている。また令和2年6月以降、1回でも雇調金を受給したことがある企業は約48万社あり、13.4%は1年を超えて受給しており、長期継続受給の割合が高いのは航空運輸業などの運輸業であることなどを説明した。

他方、産業雇用安定助成金を活用した在籍型出向の申請状況について、昨年2月5日の制度創設から今年3月18日までの速報値が示された。出向労働者は1万1,658人で、出向労働者の多い業種では同業種への出向が多いが、全体では異業種への出向が6割となった。業種別でみると、出向元で最も多いのは運輸業・郵便業で4,763人で、出向先で最も多いのは運輸業・郵便業(1,314人)となっている。申請状況の推移についてみると、雇調金の月別支給額が減少傾向であるのに対し、産業雇用安定助成金の月別出向労働者は横ばいで推移している。

こうしたデータ等を踏まえ、厚労省は▶1件当たり支給決定額が高い分野で長期化の割合も高い傾向が一部で見られた▶航空運輸業など運輸業を中心に長期継続受給事業所の割合が高い▶産業安定助成金を活用した在籍型出向の申請状況は運輸業・郵便業での出向労働者が全体の4割を占める──などと分析。さらに、雇調金の支給動向からみる産業別の傾向も示した。

その上で、ヒアリングにおける視点として、①雇調金の活用が多い産業で職種の構成や職種別の賃金水準の特徴②休業者はどのように休業させているか、休業を余儀なくされる理由③受給を止めた企業の背景、受給のメリット・デメリット④産業雇用安定助成金と雇調金を併用している企業の理由⑤アフターコロナ期の需要回復に向けた人材確保上の課題、業界または個別企業の取組状況──などを示した。ヒアリング先は現時点では未定で、飲食店や航空運輸業、道路旅客運送業、宿泊業、輸送用具器具製造業などの関係団体や個別企業を中心に検討していく。

PTの終わりに古賀副大臣は、「コロナが落ち着いてきたので雇調金を縮減するといった趣旨では全くない。まだまだ厳しい業種がある。また人手不足の中で次の展開を悩んでいるところがある。そうした状況を丁寧に拾いながら次の展開を後押しできるような議論を行いたい。雇調金について決める場ではない。現状をしっかりと把握し、次の雇用政策を考える場にしたい」と述べた。

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