年金時代

[雇用労働]令和3年の労働災害は死亡者数、死傷者数ともに増加

厚生労働省は5月30日、令和3年の労働災害発生状況を公表した。死亡者数は前年から65人(8.1%)増の867人で、4年ぶりに増加に転じた。同じく休業4日以上の死傷者数も前年から1万8,762人(14.3%)増えて14万9,918人となり、平成10年以降で最多の水準となった。

31日に公表された令和3年労働災害動向調査結果を見ても、労働災害発生の頻度を表す度数率が2.09となり、前年(1.95)から上昇。調査対象産業に変動があるため単純比較はできないが、平成4年(2.13)以来、約30年ぶりの高水準となっている。

同省の分析によると、労働災害による死亡者数の増加は、新型コロナウイルス感染症の罹患による死亡者数の影響が大きい。令和3年の死亡者数は89人で、前年(18人)から約4倍増になった。新型コロナによる死亡者数を除くと778人となり、前年(784人)を下回っている。

一方、休業4日以上の死傷者数は、新型コロナによる死傷者数(1万9,332人)を除いても13万586人で、前年より5,471人(4.4%)増加した。業種別では、「製造業」「建設業」「陸上貨物運送事業」「小売業」「社会福祉施設」「飲食店」などが前年より増加しているが、特に第三次産業とされる「社会福祉施設」(前年比38.8%増)、「小売業」(同9.9%増)などの伸びが大きい。事故の型別では、「転倒」、腰痛等の「動作の反動・無理な動作」といった行動災害が大きく増加しており、「転倒」による労働災害は全体の22.5%を占めた。このほか、年齢別では60歳以上で死傷者数全体の4分の1(25.7%)を占めている。

こうした傾向は以前から続いており、同省は労働災害を減少させるために国や事業者、労働者等が重点的に取り組む事項を盛り込んだ「第13次労働災害防止計画」(平成30年度~令和4年度)を策定し、「社会福祉施設」「小売業」「飲食店」などを重点業種と定め、平成29年比で「死傷者数を5%以上」減少させることなどを目標に対策を講じてきた。だが、死傷者数を減少させるどころか、「社会福祉施設」は平成29年比で110.8%増、「小売業」も同21.5%増、「飲食店」も同7.9%増と、むしろ状況は悪化しており、対策の見直しが急務となっている。

そこで同省は5月13日に有識者・関係者を参集し、「転倒防止・腰痛予防対策の在り方に関する検討会」の初会合を開催。効果的な行動災害の防止・予防対策のあり方等について、規制の見直しも念頭に検討を続けている。

厚生労働省ホームページ▶令和3年の労働災害発生状況(5月30日)
厚生労働省ホームページ▶令和3年労働災害動向調査(5月31日)
厚生労働省ホームページ▶転倒防止・腰痛予防対策の在り方に関する検討会(5月13日)
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